マーケティング・アナリティクスとは何か
概要と重要性
マーケティング・アナリティクスはチャネル横断でデータを収集・統合し、顧客を全方位的な視点から捉えた包括的な顧客理解を関係部署で共有できる環境を提供します。360°全ての視点から顧客を深く理解していくことで、マーケティング活動の推進に役立つ貴重な知見・洞察を導き出すことができるのです。
ここ数年、企業は新しいマーケティングチャネルやテクノロジーをいくつも採用してきました。それらが別々に導入された結果、連携のとれていない複数のデータ環境が混在する状況が生まれています。
そのため多くのマーケティング担当者はマーケティング全体を考慮することなく、Webサイトの指標といった個々のチャネルのデータにもとづいて意思決定を行っています。ソーシャルメディアのデータだけでは十分とは言えません。Webアクセス解析のデータだけでも不十分です。1つのチャネルの特定の時点の状況だけを表示するようなデータは問題外です。マーケティング・アナリティクスではチャネル横断ですべてのマーケティング活動を考慮し、一元管理を行います。確信をもって意思決定を行い、マーケティング・プログラムを効果的かつ効率的に実行するためには、こうしたデータの一元管理が不可欠です。
マーケティング・アナリティクスを活用すると、以下のことを理解することができます。
マーケティング・アナリティクスから最大の効果を引き出すためには、次の3つのステップが重要です。
マーケティング・アナリティクスから最大の結果を引き出すためには、複数の分析手法をバランスよく組み合わせることが必要です。
マーケティング部門が目標を達成するためのさまざまな分析ツールが提供されていますが、多くの場合、充分に活用できていないのが現状です。こうしたなかでマーケティング・アナリティクスに取り組むために何より重要なのは、自分たちの分析業務における成熟度、分析レベルを知ることです。その結果を踏まえて目標とのギャップを特定し、そのギャップを埋めるための戦略を策定するのです。
例えば、現在、オンライン販売データやPOSデータは収集しているものの、ソーシャルメディア上での口コミやコールセンターのログといった非構造化情報は収集していないとします。この種のソースは重要な情報の宝庫であり、現在ではマーケティング担当者が自力で非構造化データから実用的な洞察を導き出すことのできるソリューションも登場しています。こうした新たなデータを加えた分析の目的や目標を整理し、実現するためのシステムや機能、人材を把握することで、このギャップを埋める具体的な施策を策定することができるようになるのです。どこから始めてよいか分からない場合でも、難しくはありません。最も大きなニーズが存在するところから開始し、新しいニーズが発生するたびにそのギャップを埋めていけばよいのです。
マーケティング・アナリティクスから得られる知見や洞察の価値は、それにもとづいて施策を実施しない限り発揮されません。マーケティング・アナリティクスで得られた顧客に関する知見や洞察に基づいてキャンペーンを設計しPDCAサイクルを継続的にまわしていくことにより、マーケティング・プログラム全体のパフォーマンスを向上させ、よりよい成果を生み出すことができるのです。例えば、次のような作業を行います。
マーケティング・プログラムの成功度を評価する仕組みがない場合、効果的な施策と効果のない施策を判別できないため、いつ何をどのように改善すべきかを理解することもできません。またマーケティング・アナリティクスを用いて成功度を評価しても、そこで得られた知見・洞察を活かした施策に落としこみ実行しなければ何の意味もありません。
マーケティング・アナリティクスはマーケティングの全てのプロセスで総合的に活用してこそ、より効果的で成功につながるマーケティングを実現できます。例えば、マーケティング・アナリティクスを活用すると、見込み客を効率よく獲得・管理できるようになり、それが収益増と収益性の向上につながります。見込み客を効果的に管理して売上に結びつけることができた場合は、どのマーケティング活動が収益に貢献しているかを分析し、その結果を次の活動に反映することができます。こうしたサイクルに沿って行う分析は「クローズド・ループ・マーケーティング分析」などと呼ばれます。