帝人ファーマ株式会社

臨床試験プロセスの最適化に向けて
「SAS® Visual Analytics」を導入
情報共有の効率化と意思決定の迅速化を加速

帝人ファーマ株式会社(以下、帝人ファーマ)は、医薬品臨床開発のBI基盤としてSASのデータ・ビジュアライゼーション・ソフトウェア「SAS® Visual Analytics」を導入。臨床試験プロセスにかかわるすべての人に、わかりやすく表現力豊かなグラフとリストで情報を提供することが可能になった。今後は、医薬品開発にとどまらない全社的な情報活用にSAS Visual Analyticsの利用を加速させたい考えだ。

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SAS Visual Analyticsの導入で臨床試験を円滑に実施するための支援体制が整いました。臨床試験にかかわるさまざまスタッフの要望をシステムに反映しており、データを直接見ながら議論できることのメリットが周知されてきています。

齊藤 康一氏
医薬開発業務部
統計・データマネージメントグループ
IT推進チームリーダー

今後の用途拡張も期待できるシステム

帝人ファーマは、「Quality of Lifeの向上」を企業理念の一つとして掲げる帝人グループの一員として、医薬品事業と在宅医療事業に取り組む企業だ。骨・関節、呼吸器、代謝・循環器の3領域に強く、ユニークなヘルスケア・ソリューションを提供している。風通しの良い企業文化で、やりたいと手を挙げれば自由にやらせてくれる風土がある。同社の「SAS® Visual Analytics」導入もスタッフの自由な発想から成功に至ったものだ。

臨床試験では、症例報告書データ、解析用データ、治験手続情報、進捗管理情報など様々なデータが発生し、これらのデータは複数のシステムに分散して格納されている。これらのシステムに蓄積された情報を統合して可視化し、最適なタイミングで最適な人と共有することで、業務効率及び業務精度の向上が期待できる。

IT推進チームリーダー 齊藤 康一氏は、「臨床開発業務においては、さまざまなレポートを作成するニーズがあり、以前は試験ごとに各データソースに対して各々プログラムを作成・実行・出力を繰り返すことでデータの視覚化と分析をしていたため、手間と時間を要していました。業務効率の向上と、臨床試験を円滑に実施する支援体制の整備を目的に、新システムの導入を検討しました。その結果、既存のデータ資産を活用できて、汎用性が高く、今後の用途拡張も期待できるシステムとして「SAS Visual Analytics」の導入を決めました」と話す。

2015年3月、SAS Visual Analyticsのインストレーションが完了。既にデータは十分にそろっていたため、それをSAS Visual Analytics用に加工して、プロジェクトがいつ始まってもいいように準備を整えた。

最初のプロジェクトで成果を

統計チーム/ IT推進チーム 中島 章博氏は、SAS Visual Analyticsを活用してできることについて、同期入社の臨床試験担当者に話をしてみた。手ごたえは良く、ちょうどそのころ始まるプロジェクトのリーダーに実装内容を提案。賛同を得た。

本格的に実装を開始したのは、このプロジェクトで新たにプロトコール(臨床試験実施計画書)が完成した試験からとなる。同社としては中規模の試験で、初めてのプロジェクトとして手頃なサイズだった。基本的なユーザー・インタフェースはあらかじめ作成しておき、現場からの要望を聞きながら修正と追加開発を実施した。

「データ加工とアップロードについては、集中してやれば数日でできます。画面については現場の要望を聞きながら作り込みましたが、SAS Visual Analyticsの機能を学ぶまでに何度かトライ&エラーを繰り返したくらいで、慣れればその場ですぐに直したり調整が効くので助かります。グラフを作る上ではSAS言語の知識は全くいりませんし、レポートもとても作成しやすいツールです」(中島氏)

要望は、臨床試験にかかわるさまざまなスタッフから挙がってきた。例えば、臨床試験が適切に行われているかどうかを確認するモニタリング担当者(CRA)には、その仕事に役立つような画面設計が必要になる。同様に、データの見方は役職や役割によって異なるため、人によって違う画面を使えるような設計にした。

統計チーム/ IT推進チーム 眞野 博貴氏は、「グラフだけでなく、データを同時に見たいというニーズが強いため、同じ画面にデータとグラフを表示するようにしています。一部を修正すると、その結果が即座にグラフに反映される機能は現場から評判が良いです。ドリルダウンしていくと、該当症例にすぐにたどりつける仕組みも実装し、これも高く評価されました」と話す。

RBM(Risk Based Monitoring)では、施設ごとのリスクを詳細に把握し、そのリスクに応じたモニタリングを行う必要がある。同社の場合、将来のRBMへの展開を想定し、リスクを施設だけでなく、プロセスの進捗や安全性などさまざまな指標に割り当て、総合的なリスク判断をできる仕組みとして実装した。この指標についても、役割によって別の角度で見たいという要望を反映した。

データマネ-ジメントチーム奥 玲子氏は、「データを統合し、すべてのプロセスをSAS Visual Analyticsで見られるようにしたことで、大きな変化がありました。これまではデータが集まってから一気にデータをクリーニングし、分析していたのですが、このプロジェクトではプロジェクトの進捗と私たちの気づきが同時に生まれるのです。早く気づいて、軌道修正できるメリットは大きかったです。これまでは、データが分散していたため、”集団として見る”ことが困難でした。症例の外れ値をすばやく見つけられることも大きなメリットです」と話す。

プロジェクト管理にも、SAS Visual Analyticsの活用を進めている。工数管理やスケジュール管理を、スケジュールチャート機能を使って実装し、臨床試験にかかわるすべての部署で共有。繁忙期の予測により、事前に適切な準備も可能になると考えている。

製薬企業らしく、セキュリティには気を配っている。そのため、システムには社外からアクセスできない仕様にせざるをえなかった。とはいえ、アウトソーシング先の医薬品開発業務受託機関(CRO)への提供用にPDF資料をボタンひとつで出力できるようにするなど、セキュリティを担保しながら業務を円滑に進めるための工夫がなされている。

幅広い業務に貢献できる仕組みへ

プロジェクトは2016年6月に終了し、SAS Visual Analyticsは現場からタイムリーかつグラフィカルにデータを把握できるという点で評価を受けた。進捗と歩調を合わせてデータが集まってくるため、結果のイメージがつきやすくなった。また、データ間の整合性を確認することで、その情報の頑健性(エビデンスの強さ)を確認し、理解の促進につながったという。

「他のプロジェクトでもさまざまなシステムが蓄積する生データをSAS Visual Analyticsで見られるようにしてほしいという依頼も来ています。データを直接見ながら議論できることのメリットが周知されてきた結果だと考えると、うれしいですね」(中島氏)

「レポート作成のためのディスカッションを通じて、開発担当者と統計・データマネージメント担当者の間での情報共有や新たな知見の創出も活発になり、意思決定と是正のためのアクションも以前より迅速にできるようになりました。これらの取り組みによって、臨床試験実施中に生じる有害事象などのイベントを早期に把握し、モニタリング及び評価の効率化や開発期間の短縮、コスト低減にも寄与することが期待できます」(齊藤氏)

帝人ファーマでのSAS Visual Analytics活用は始まったばかりだが、今後さまざまな臨床試験で使われることで、画面や機能は更に洗練されていくだろう。まずは、社内の啓蒙活動からスタートし、幅広い業務に適用する可能性を探っていく。将来的には、レセプトデータなど、リアルワールド・データを用いたビッグデータ分析への活用や、治験参加医師への情報提供などへの活用も視野に入れ、SAS Visual Analyticsの活用範囲を広げたい考えだ。

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課題

臨床開発業務の効率化と精度向上を実現するために、新たなBI基盤が求められた。

ソリューション

利点

複数のシステムに蓄積された臨床試験データを統合して可視化・分析し、プロジェクトメンバー間や社内の情報共有を加速することができた。

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