GE Consumer & Industrial

Consumer Home Services部門はSAS導入から1年で510万ドル(5億1,000万円)分の不正請求を防止

GE Consumer & Industrial(C&I)は、数千に及ぶサービス代理店に支えられ、家電製品部門だけで年間100万件を超えるサービス請求に対応している。SASのソリューションを導入するまで、Consumer Home Services部門では決められたパラメータに適合した請求の一部分しか審査できていなかった。しかしSASを利用するようになった今では、不正の疑いが認められた請求を100%審査できるようになった。

Service Support Operations担当ゼネラル・マネージャーを務めるGary Hewes氏は「SASのおかげで審査担当者は予見力を持って業務を進められるようになりました。SASは疑わしい請求者を除外してしまうのではなく、どんな理由で、どの請求を詳しく調査すべきか、という判断を助けてくれます」と説明する。

通常、Home Services部門へのサービス請求は、調理用レンジや冷蔵庫、洗濯機、乾燥機といった保証期間中の家電製品の修理を担当する技術者経由で入ってくる。次に審査担当者が、提供したサービス内容について疑わしい報告をしてきたサービス代理店を見つけるという流れになる。疑わしい報告の中身は製品、顧客、苦情、作業内容など多岐にわたっている。SASは、これまで見過ごされてきた、あらゆる種類の不正の可能性を探し出すことに成功していた。「SASを使えば、すでに提出されている1週間~2週間分の請求の中から、相当量の不正を発見してくれるだろうと期待しました」とClaims and AuditingマネージャーのJeff Moore氏は振り返りる。

Field Service Solutionsでプログラム・マネージャーを務めるRichard Miller氏は「旧システムには、パターンを見つけ出すことが難しいという問題点がありました。データ量のあまりの多さに、進行中の異常行動に気づく審査担当者はいませんでした。ですから、われわれが求めていたのは人の手でデータを探す必要のないツール。つまり、問題のある請求を自動的に提示してくれるシステムが必要だったのです」と話す。またGE C&Iは、既存プロセスの統合が可能なホスティング型のソリューションを希望していた。


SASは例外的な請求を見つけ出し、純然たる不正の検知をサポートしてくれます。

Jeff Moore氏
Claims and Auditingマネージャー

テストによる検証

GEチームはSASのソリューションをテストするのに最適なシナリオを用意した。前年に、不正行為を働いたことを理由に警告を受けたサービス代理店のデータをピックアップしたのだ。Miller氏は「問題のある代理店が存在することは分かっていますので、SASがそれを探し出せるか知りたいと考えました」と説明しする。まさに、打ってつけのテストシナリオであり、GEチームはSASにデータを渡して結果を待った。「あえてSASには詳しく説明せず、問題の代理店を探せるかどうか試すことにしました」。

不正は複雑な現象だ。しかし、どの不正請求にも、それを見分けるための手がかりや兆候が存在する。SASは馴染みのないデータを使ったブラインド・テスト(盲検法)で分析機能を駆使してGEが期待した結果を出した。テスト結果はどう評価されたのか?Miller氏は「SASは疑わしい代理店として3件全部を探し当てることができました。業界知識や背景説明もない状態でしたが、それでもSASは見事に問題を検出したのです」と話す。

現在、GEに送られてきた請求データはすべて不正検知システムにアップロードされ、あらかじめ分析用に設定された26の請求レベルに沿って自動的に振り分けられる。平均値との比較によって、複数の項目で通常の値を外れた請求には、審査対象としてのフラグが立てられる。フラグが立つと、GEの審査担当者にレポートが送信され、疑わしい請求は詳細な調査に回される。

将来に向けての準備

GEでは、時間の経過とともにSASによって検知される不正の件数は減っていくだろうと見ている。そして、それは歓迎すべきことだと説明した。「サービス代理店は、われわれが新たなプロセスを導入したことを知っていますので、自主管理を強化しています。自らの修理業務を見直し、問題点を明確にしたという代理店もあります」とMiller氏は続けた。「このツールが抑止力を発揮してくれることを期待します。」

GEはSASを使って、単に不正請求を見つけ出すだけでなく、家電製品や電気機器の修理業務において十分な機能を果たしていないと見られる代理店を拾い出し、トレーニングの機会を提供しようと考えている。

Consumer ExperienceマネージャーのJulie Tisera氏は、「この成功はほんの始まりにすぎません」と話す。「われわれはビジネス・アナリティクスがもたらす素晴らしい結果を数多く目にしてきました。すでに疑わしい請求を検知するという課題は解決しました。今後は分析機能を利用してカスタマー・エクスペリエンスを向上させる方法を考えていきたいのです」。

Tisera氏は、不正検知はGEにとって氷山の一角であると承知していると説明し「われわれが目指すのは、すべてのタッチポイントでお客様に有意義なエクスペリエンスを提供することであり、分析機能を利用して今後改善の取り組みを進めていく中で最も重点を置くべきポイントを明確にしていきたい」と結んだ。

Consumer Experience マネージャー Julie Tisera氏
Consumer Experience マネージャー Julie Tisera氏

課題

毎年1万件にも上るサービス請求を分析し、問題のある請求を自動的に提示するための、既存プロセスの統合が可能なホスティング型のソリューションの導入

ソリューション

SAS Fraud Framework および SAS Solutions OnDemand

利点

人的リソースの割り当てと運用の最適化を行い、SAS導入から1年で510万ドル(5億1,000万円)分の不正請求を防止

顧客満足度の最適化

各サービス代理店から受ける印象や不満足の根本原因も含め、ライフサイクルを通じた顧客満足度を計測する

生産性の向上

サービス担当者や技術者のパフォーマンスをモニターし、改善点を明確にするとともに従業員リソースの最適配分や非生産的活動の廃止を目指す

品質改善を管理

個人・チーム・部門レベルで発生する品質関連問題やトレンドを見極め、顧客経験価値向上のため、迅速な問題解決を図る