アナリティクスを活用して、刑務所内の潜在的なトラブルスポットを特定
フロリダ州矯正局(Florida Department of Corrections)
SASを活用することで、フロリダ州矯正局は情報提供要求に素早く対応できています。
データドリブンな
アプローチを矯正プログラムに適用
フロリダ州矯正局(Florida DOC)がこの事例で活用した製品 • SAS® Analytics
フロリダ州矯正局、市民の安全確保を促進するためにSASを導入
米国のフロリダ州矯正局(Florida Department of Corrections; Florida DOC)では、州の刑事司法制度を支える主要な柱のひとつとして「市民を守り、犯罪者を社会復帰させる」というミッションを掲げており、その実現手段として50以上の大規模施設を運営している。それらの施設で100,000人以上の受刑者を収容しているほか、さまざまなタイプの「コミュニティ監視」(地域社会での生活を許可しながら監視対象とする措置)に関して145,000人の犯罪者を追跡管理している。
こうした大規模な業務の結果として、同局は受刑者と “コミュニティ監視の対象者” の集団について膨大な量の情報を収集しており、そこには健康、教育、薬物乱用治療プログラム、受講したクラス、受験したテスト、刑務所制度内での移送、出廷歴、雇用記録、人口統計学的属性、逃亡企図歴、ケースノート、仮釈放中/保護観察中の犯罪者との面会履歴などに関するデータが含まれる。
同局は、実現しうる最大限に包括的な視野を形成するために、州内の他の刑事司法機関からの追加情報を用いて、そのデータを補完する。
我々はSASにより、“市民の安全の保持”、“局内リソースの配置効率の向上”、“当局の関係者への報告” を遂行するための適切な情報を得ているのです。 David Ensley Research Director Florida DOC
数十個のデータソースを統合
同局の研究部門のディレクターであるデビット・エンスリー(David Ensley)氏によると、同部門では、SASを駆動力とする包括的なレポーティングおよびアナリティクス戦略により、さまざまなプラットフォーム上にある数十個の異種混合データソースを統合することが可能になったという。
彼は次のように説明する。「スケジュールされたデータ抽出処理は毎月100以上を数えます。これらはデータをテキストファイルとして出力するシンプルなジョブです。我々はその後、SASを使ってその情報をデータウェアハウスにインポートします。」
そこまで進むと、それ以降の作業は16名のSASエキスパートからなるチームが引き継ぎ、「さまざまな関係者や情報要求者に年次、四半期次、月次、半月次のペースで配信される各種の標準的な統計解析とレポート」の広大なスイートを構築する。
立法関係者たちの疑問をすぐに解決
このチームは、膨大な数の要求元(訴訟の証拠開示、州知事室、州議員、監査機関、連邦機関、記者/レポーター、一般市民など)から定常的に届き続けるアドホックな(非定型の)情報要求への対応も行う。
これらの即興的な対応を求められる情報要求の内容は、単純なリストの作成から、「この特定のプログラムに登録されている受刑者のこのサブセットの再犯率は?」といった複雑な質問まで、多岐にわたる可能性がある。
「彼らは皆、すぐに答えが欲しいのです」と、エンスリー氏は言う。「ですから我々には非常に高い即応性が求められます。この種の質問に答えるためには、通常は複数のSASデータセットが必要であり、それらをマージしなければなりません。我々のチームは、ほとんどの場合、シンプルな編集ウィンドウを用いて手作業でコードを書く、という方法でこれらのレポートを作成します。ただし、複数のステップを含む独特なカスタム・リクエストの一部については、SASを用いて構築し始めています。」
フロリダ州矯正局に関する事実と数字
50
主要施設数
100,000
受刑者数
145,000
監視下にある犯罪者数
受刑者と介入措置の適合性が向上
研究部門が直面していた大きな課題の一つは、矯正サービスを必要としている膨大な数の受刑者に対し、希少なプログラム・リソースをどのように配分するべきか、ということだった。
この課題に対処するべく、同局は「Corrections Integrated Needs Assessment System」(直訳=矯正に関する統合ニーズの評価システム)と呼ばれるリスク/ニーズ評価ツールを開発した。その目的は、プログラムを最も必要としている受刑者を特定し、彼らがプログラム登録に関して優先的なランキングを確実に受け取るようにすることである。
また、同局の研究部門も、局のデータベースに蓄積されている受刑者の特徴に基づき各人の再犯を予測するためのモデルを開発した。このモデルは、プログラムの介入措置から最も恩恵を受けるであろう高リスクな受刑者を特定する。数千人の受刑者に関するデータと数百種類のデータ要素を用いてこれらのモデルを開発するために利用された手法は、SASに内蔵されている生存時間分析とロジスティック回帰だった。
ダッシュボードで状況をモニタリング
同局では、受刑者集団を刑務所レベルで分析する際も同様のコンセプトとアプローチを適用している。「Correctional Operational Trends and Analysis System」(直訳=矯正業務のトレンドおよび分析システム)は多種多様な要因を分析することを通じて、“脱獄の企て” や “受刑者の騒動” のような混乱に関するリスクが高いのはどの施設かを実際に予測する。
「我々は混乱と、特定の特徴群、ギャングの存在、その他の指標との間の相関を解明し、統計的に証明しました」と、エンスリー氏は言う。
「SASを用いた我々の分析に基づき、当局のIT部門はその結果を、“信号機風のインターフェイスで各施設の状況を表示するWebベースのダッシュボード” へと変換します。するとユーザーは、その警告の背後にあるリスク要因 ── 例えば “最近、ギャングの構成員である新たな受刑者たちが波のように押し寄せてきた状況” など ── をドリルダウン操作で見ることができます。我々はSASにより、“市民の安全の保持”、“局内リソースの配置効率の向上”、“当局の関係者への報告” を遂行するための適切な情報を得ているのです。」
本記事に掲載された導入効果は、各企業によって異なる状況やビジネスモデル、入力データ、業務環境に固有のものです。SASの紹介する顧客体験は、各企業に固有のものであり、業務面や技術面の背景もそれぞれ異なるため、各事例に掲載されたあらゆる証言は、導入の典型例を示すものではありません。導入にともなう金銭的効果、導入結果、ソリューションのパフォーマンスなどの特徴は、個別の顧客のコンフィグレーションや使用条件に左右されるものです。本事例は、すべてのSASの顧客が当該事例と同じ導入効果を得られるとするものではなく、そうした効果を保証するものでもありません。SAS製品および提供サービスの保証内容は、各製品・サービス向けに締結された契約書内の保証条項に記載された内容に限られます。したがって、本事例に掲載された内容は、それらの保証内容をなんら補足するものではありません。事例に掲載された顧客は、各事例をSASとの契約にもとづいて提供しているか、SASのソフトウェアの導入成功にともなう体験を共有しているものです。