EDF Energy

需要家の離脱傾向を把握
EDF Energyは顧客情報を分析してマーケット戦略を策定

英国のエネルギー市場は利用者の出入りが激しいことが特徴だ。1999年に市場が完全に自由化されて以来、エネルギー供給会社を変えた利用者は1,900万人に上り、国内の多くの消費者が光熱費を最高で150ポンド節約した。現在、同国内では毎週およそ16万人の消費者が電力やガスの供給会社を変更しているとされ、平均の変更率は38%に上っている。

そのため、需要家の離脱を減らすことがエネルギー供給会社にとっては経営上重要になる。これを念頭に、EDF Energyのカスタマー・インサイト・チームは、SASを使ってデータを戦略的に分析し、需要家の電力会社の乗り換え等の要因について、新たな実態把握を行うような仕組みを取り入れている。「お客様が何を考え、何を買い、何を使い、どのようにエネルギー供給会社と付き合いたいと考えているかをはっきりとつかむことで、お客様のニーズにより的確にこたえることができます」と同社B2Cエネルギー調達・顧客供給(ESCS) カスタマー・インサイト・マネージャー Clifford Budge氏は話す。SASがこの会社で行っているのはまさにそれだ。

400の異なる変数を処理しようとすると問題が起きてしまうソリューションもあります。しかし、SASは問題なく処理を続け、200万件のデータの管理がしっかりとできています

Clifford Budge 氏
EDF Energy
B2Cエネルギー調達・顧客供給(ESCS)カスタマー・インサイト・マネージャー

需要家の実態把握で需要家の離脱低減に対応

EDF Energyは、需要家のセグメンテーション、需要家の離脱の調査、離脱可能性のモデリング、製品投入のモデリングなどの重要分野を担当する分析専門の部署を立ち上げた。カスタマー・インサイト・チームが、テクノロジー市場の評価や、数億件にも上る大量のデータの分析などのニーズに対応するために最適なソリューションを選定する際に、辿り着いたのがSASだった。実際に、すでにSASは同社内の他の部署で使われ、成果を出していた。

同チームがまず取り組んでいたのは需要家の離脱確率のモデリング、つまり、需要家が離脱する傾向を把握することだった。モデリングには、「供給継続期間」(年齢が高い需要家のほうが若年層よりも利用を継続する傾向がある)や全体的なインタラクションのレベルなど、さまざまな主要指標の検討が必要であった。そのためにEDF Energyは、SASのデータ管理と予測分析のプラットフォームを導入した。需要家の離脱確率のモデリングの最初の段階は、同チームができるだけ多くの関連データを集められるようにすることであった。それをサポートするために同社は、外部データを購入している。利用者の行動をより良く把握するための行動データ、住んでいる場所や世帯構成などの人口構成の情報も含んだライフスタイルについてのデータがそれである。モデリングのツールを最適化するためには、このようにさまざまなデータソースを集約することが不可欠である。

需要家の離脱を減らすこと:それは「大幅な節約」

SASを使って需要家データを整理し、他社へ乗り換える可能性の高い需要家を選別した上で、EDF Energyは、こうした需要家をモニターするためのバリデーション・データを利用している。こうして選別された需要家がその後自社での利用を中止した場合には、カスタマー・インサイト・チームはその「証拠」を同社のマーケット部門に提出し、需要家とのコミュニケーションの優先順位を、明らかになったリスクをもとに、決めるようにする。もうひとつ重視しているのは、「需要家離れを減らすための電気とガスのセット契約アップグレード」プログラムである。Budge氏は、「どのお客様が、現在は『電力だけ』だがガスを利用する可能性があるか、つまり2種類のエネルギーを使うようになる可能性があるかを把握することが狙いです」と説明する。

同社が作ったSASのモデルの予想では、上位25%の需要家は電気とガスのセット契約を始める可能性が他に比べて4倍で、したがって利用を中止する可能性はかなり少ないとしている。同様に、電気とガスのセット契約に切り替える可能性がきわめて低い需要家を選別することで、同社は、そうした需要家にアップグレードを売り込むためのコストを節約することができる。さらにBudge氏は「1年間でお客様が100万減少している場合でも、上位25%のお客様の年間平均利用金額が1,200ポンドであったとすれば、それは離れていったお客様の分の年間およそ3億ポンドのリスクに相当する金額になります。その5~10%に働きかけるだけで、かなりのコスト削減になるのです」と話している。

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課題

競争が厳しい市場で需要家の離脱傾向を把握し、それを低減すること。平均の変更率は38%

ソリューション

SASのデータアクセス、データ管理、そして、予想分析のプラットフォームは需要家の離脱と傾向のモデリングに重点

利点

  •  迅速、簡単かつ正確に大量のデータの評価が可能
  • 複数の変数を処理
  • ロジスティック回帰など、さまざまなモデリング手法を採用
  • 新たな実態把握で需要家の離脱を低減

      本記事に掲載された導入効果は、各企業によって異なる状況やビジネスモデル、入力データ、業務環境に固有のものです。SASの紹介する顧客体験は、各企業に固有のものであり、業務面や技術面の背景もそれぞれ異なるため、各事例に掲載されたあらゆる証言は、導入の典型例を示すものではありません。導入にともなう金銭的効果、導入結果、ソリューションのパフォーマンスなどの特徴は、個別の顧客のコンフィグレーションや使用条件に左右されるものです。本事例は、すべてのSASの顧客が当該事例と同じ導入効果を得られるとするものではなく、そうした効果を保証するものでもありません。SAS製品および提供サービスの保証内容は、各製品・サービス向けに締結された契約書内の保証条項に記載された内容に限られます。したがって、本事例に掲載された内容は、それらの保証内容をなんら補足するものではありません。事例に掲載された顧客は、各事例をSASとの契約にもとづいて提供しているか、SASのソフトウェアの導入成功にともなう体験を共有しているものです。