京阪電気鉄道株式会社

販促効果を最大化する検証・改善のサイクルをSASで運用
セグメント・マーケティングを最適化し、京阪ブランドの価値向上を目指す

京阪電気鉄道株式会社(以下、京阪電鉄)は、京阪グループ共通のポイントプログラムによって得られる会員の属性データや購買データを分析するツールとしてSASを導入し、分析結果を販促活動における意思決定に役立てている。沿線のブランド価値向上やグループ全体の収益拡大を推進するエンジンとして、今後さらにSASの活用を深めていく。

KEIHAN
データ分析の結果を販促活動に生かし、成果も出てきたことで、グループ各社から分析の依頼も増えています。SASの分析結果を踏まえて、迅速に施策へと展開し、さらに愛される京阪ブランドを育てていきたいと考えています

神田 愛氏
京阪電気鉄道株式会社 経営統括室 事業推進担当 課長

分析で競争力を高めたい

京阪グループは、関西の私鉄大手である京阪電鉄の鉄道事業を軸に、運輸、不動産、流通、レジャー・サービスなどさまざまな事業を展開している。沿線の魅力を高めることをテーマに、京阪グループとしてのシナジーを高め、沿線住民に対して住み心地の良いサービスを提供することを目指している。

その一環として、同グループは2003年よりグループ共通ポイントプログラム「おけいはんポイント」を導入した。さらに、2004年の京阪電車での交通ICカード(PiTaPa)導入に伴い、加盟店での買い物だけではなく、京阪電車を利用した会員にもポイントを進呈することとした。現在、カード会員数は約51万人(2014年9月現在)へと大きく成長。京阪沿線主要都市の人口カバー率は25%~38%と、沿線住民のメインカードとして広く普及した。これにより同社は、グループ施設利用データと交通利用データに加え、他社施設を含むクレジットカード利用データを統合したビッグデータを管理することとなった。

経営統括室 事業推進担当 課長 清水 裕介氏は、「グループ共通のポイントプログラムは、会員の属性や購買行動をつかむための手段。そこで得られるデータを分析し、結果を効果的な販促活動や沿線のブランド価値向上、グループ全体の収益拡大に生かすのが目的でした」と語る。

しかしながら、他社製の分析ツールとデータウェアハウスから構成されたシステムは同社のニーズをみたせなかった。データ蓄積年数はわずか2年で、年度別比較は不可能。その状態でも抽出対象期間が長期になるとシステムが固まってしまうため、蓄積データ量を増やすという選択肢はなかった。簡単な分析にも時間がかかっていたため、最終的には会員状況の確認や、月に数度ダイレクトメール送付用の住所を抽出する程度で、当初構想していた活用はされなくなったという。

とはいえ、グループ内では経験やカンに頼ったビジネスで競争を勝ち抜くことはできないという問題意識も芽生え始めていた。経営層からも、グループ全体でデータを活用し、収益力向上につなげるためには、グループ全体でノウハウを蓄積できる体制の構築と、システム整備が不可欠という判断が下され、分析基盤を再構築するプロジェクトの立ち上げに至った。

経営統括室 事業推進担当 課長 神田 愛氏は、「立地を重要視し、経験とカンに頼る文化から転換し、顧客データを経営の意思決定や課題解決に活用する文化をグループ全体に根付かせることが狙いでした」と話す。

BIの枠を超え、将来を予測し、意思決定を最適化するBAを

新たな分析ツールの選定にあたって京阪電鉄は、6社のコンペを実施した。コストや性能、拡張性だけでなく、プロジェクトを通じて分析のノウハウやスキルを吸収できることも重要な評価項目として比較・検討し、SASの導入を決めた。テクニカルサポートやユーザー教育を含めた定着化の面で、高品質なサポートを得られると判断できたことも、採用を後押しした。

開発着手から3ヵ月後の2013年3月、それまでの環境をSASに置き換え、高速なデータ抽出を可能にする分析基盤が整備された。次のフェーズでは、グループ各社の担当者も交え、分析手法講習会や実際のデータを使っての優良顧客化施策立案に至るプロセスの講習を実施することにより、グループでの分析風土醸成の端緒とした。また、ビジュアルな画面でフローを作成できるSAS® Enterprise Guideをフロントにしたことで、SASに習熟していないビジネスユーザでも短期間で効率的に分析を行えるようになった。経営統括室 IT推進部 課長安橋 正子氏は、「カード利用データの分析にあたって、事前に分析フローを構築してデータモデルや結果の妥当性を検証できるようになったのは、SASを導入してからでした。以前のシステムでは数時間かけても答えが返ってこなかったようなリクエストが、SASのシステムではわずか数分で完了することに驚きました」と話す。

さらに、グループ会社にWebブラウザ経由でデータ検索やレポート作成・閲覧を行える環境を用意。月次の定例会議で各社の分析ニーズを吸い上げたうえで本部の事務局が分析を行い、各社とのディスカッションを重ねて施策につなげるというプロセスも確立した。

メールによる販促効果を最大化する

SASの導入によって業務効率が格段に高まった。トライ&エラーを重ねながら分析できるようになったほか、分析のやり方を共有することで担当者間の分析ノウハウを高めあえる環境も整った。また、グループの流通業を中心に毎月定例会を実施し、施策の改善提案や新規提案につなげられるようになった。分析依頼は、定例会を開催している各社をはじめ、京阪電鉄本社内からも増えてきたという。このように、経営統括室が管理するデータと、現場の経験とカンを組み合わせ、より実効性の高い分析へとつなげている。

具体的な成果も得られた。経営統括室 IT推進部 スタッフリーダー谷口 麻衣子氏は、「これまで折り込みチラシを中心にプロモーションを行っていた京阪園芸が、初めてSASを使ってカード会員にダイレクトメールを送ってみたところ、反応率が20%を超え、ダイレクトメールを受け取っていない顧客と比較すると利用頻度や利用回数が向上するなどの成果がありました」と話す。京阪シティモールでは、顧客分析によって離反予備軍を顕在化させた。対象顧客にイベントのオファーを提示すると、期中の反応率は7%だったものの、期間を3週間に広げると21%が再訪してくれていた。実際に離反を食い止める成果があったことになる。

グループシナジーを発揮し、潜在顧客へアプローチしやすくなったことも大きな成果だ。たとえば、樟葉駅の利用者で、くずはモールを利用していない会員にオファーを出したり、モールの買い物客に向けてグループのレストラン利用を促したりするキャンペーンを実施するなど、グループ内の業種と施設を連携させる施策や、グループ内相互送客を促す施策の立案が可能になった。

2013年11月には、SASと連携するメール配信システムも導入した。経営統括室 事業推進担当 スタッフリーダー 河野 直揮氏は、「SASを使ってメールによる販促効果を定量的に把握し、次の施策へとつなげるというトライ&エラーを低コストかつ容易に行えるようになりました。成功事例をグループ内で横展開することで徐々に成果も出始めています」と語る。

同社は今後、データの拡充によるシステムのさらなる有効活用を図る。グループ全体としてのシナジーを高める一方で、グループ会社単体の専門性を深堀し、収益力や企業価値をさらに向上させる分析にも取り組んでいく。現状ではSASを使ったデータ活用に至っていないグループ会社にも、積極的に働きかけていく方向だ。

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課題

既存の分析ツールは簡単な分析にも時間がかかり、大量データを分析対象にするとパフォーマンスが大幅に低下してしまう問題があった。グループ共通ポイントプログラムで得られる会員の属性データや購買データから規則性や関連性を導き、適切な意思決定を支援してくれる分析ツールが求められた。

ソリューション

SAS® Enterprise Guide
SAS® Enterprise Miner
SAS® Enterprise BI Server

利点

SASによる分析結果をもとに効果的な販促活動を展開。顧客分析によって明らかになった顧客グループに適切なオファーを提示し、グループ施設の利用頻度・利用回数を向上させるとともに、離反を食い止めるなどの成果も上げている。

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