独立行政法人日本貿易振興機構

全ての顧客データを組織横断的に扱える高品質な情報環境をSAS Data Qualityで構築
―個々の顧客のニーズに合わせたサービス提供で、日本企業のグローバル展開を強力に支援―

独立行政法人日本貿易振興機構(以下、ジェトロ)は、顧客情報の全社活用を目指すプロジェクトにおいてSAS Data Qualityを採用した。約40万件に上る全顧客データの精査・クレンジングを行い、重複や不整合を排除。信頼のおける品質の高い顧客情報を一元管理できる情報環境を整えた。現在、すべての職員は、この情報環境上に統合された顧客情報のデータベースを用い、顧客の関心や過去のサービス利用履歴から個別のニーズをつかみ、それぞれの顧客に最適なサービスを提案している。


プロジェクトの狙いは顧客ごとのニーズに応じて適切なサービスを提供すること

ジェトロは、中小企業を中心とした日本企業の海外展開を支援する、経済産業省所管の独立行政法人である。海外55カ国73カ所、国内37カ所にまたがるネットワークで日々、世界各国のビジネス情報を収集し、日本企業へのアドバイス、輸出販路の開拓、セミナーや見本市、展示会への出展支援といったさまざまなサービスを展開し、日本経済の発展に貢献している。

ジェトロの顧客は海外進出を目指す日本企業であり、顧客との接点は、メールマガジンや紙媒体のダイレクトメールの購読者、個別面談を受けにきた相談者、セミナー、見本市、展示会への出展者など多岐にわたる。そして、それらの情報は、本部内の各部門や地方拠点において、個別に管理されてきた。こうした状況が長く続いた中で、今後より高品質な顧客サービスを展開するために、これまでにコンタクトのあったすべての顧客データを一元的に集約し、組織横断的に活用することができる情報基盤が求められるようになってきた。

ビジネス情報サービス部 ビジネス情報サービス課長 立川 雅和氏は、「各担当者が個別に管理してきた顧客データは、地方の拠点を含めて44ある部門レベル内、それぞれでのみ共有することができました。しかし、個々の顧客にひもづく過去の行動履歴やサービスの利用履歴を全社規模で参照することはできず、同じ顧客に対する部門間での協調のとれた対応も困難であり、また、それぞれの顧客との関係性を把握した上で適切なサービスを提供することは難しかったのです」と語る。

顧客の過去のサービスの利用状況を履歴として一元管理し、興味や関心を把握できれば、それにもとづいて顧客が本当に欲しているサービスを適切に提供できる。たとえば、ベトナム市場への食品輸出に関心を示す顧客に対して、ベトナムの法制度、税務、労務、および食文化に関連する有益な情報提供やアドバイスを行えるようになる。

SASのソリューションが円滑なプロジェクトの遂行を支援

ジェトロは2011年6月、組織内に散在する顧客データを1カ所に集約し、全社的なデータ活用を目指すプロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトでは、各部門のスタッフがさまざまな形式で管理してきた顧客データを、新たな1つのデータベースに登録することから始まった。データ投入後、試験的に運用する中で、いくつかの課題が表面化してきた。

ビジネス情報サービス部 ビジネス情報サービス課 課長代理 田中 政輝氏は、「さまざまなツールで管理されてきたデータは、社名や住所などの入力書式も統一されていなかったため、データの重複や不整合が散見されました。たとえば、同一の取引先であっても"株式会社"の位置が違っていたり、英字とカタカナ表記が混在していたりするケースもありました。さらに大きな問題は、組織内での顧客という言葉の定義が、個人である場合と法人単位である場合があり、全てのデータベースを一元化する手法に頭を悩ませていました」と話す。

そこでジェトロでは、データベースに登録された約40万件の個人ベースのデータの精査・クレンジングを実施し、法人として顧客情報を管理したい部門のために、個人顧客データを法人別にグループ化できる、つまり、データクレンジング機能を含む、包括的なデータ・マネジメントプロセスの構築が必要となり、それを実現してくれる企業を公募したのであった。

その案件において、データ統合基盤として採用されたのが、SAS Data Qualityである。SAS Data Qualityは、市販の高価な辞書ベースのツールとは異なり、ルールベースのクレンジング手法を採用しており、GUI上で、いくつかのあらかじめ用意されたクレンジング機能をつなぎ合わせるだけで、自動的にデータのプロファイリング、標準化からデータのマッチング、さらにはモニタリングまで行ってくれる。さらには、従来から使用しているSASの分析ツールとの親和性ももちろん抜群だ。企画部 情報システム課 課長代理 箕和 希典氏は、「ビジネス情報サービス部から相談を受けた際、SASならこの要件を十分に満たすだろう、と即答しました。約10年前から、貿易統計の処理に SASを利用していたため、SASの信頼性は以前からよく知っていましたから」と語る。

円滑なプロジェクトの遂行を支えたのが、製品だけではなくSASが保有するベストプラクティスと、SASコンサルタントのサポートだった。ビジネス情報サービス部 ビジネス情報サービス課 顧客班 須貝 智也氏は、「技術的な課題解決が必要な場面に何度も直面しましたが、ジェトロの課題やニーズを深く理解してくれるSASのエキスパートが密接にサポートし、的確な技術支援を受けることができました」と話している。

「直感的なGUI画面上の操作だけでマッピングを作成できるなど、SQLを記述することなくデータのクレンジング・統合を行える操作性の高さがSASの魅力です。また、SAS社の豊富な経験に基づいて、プロジェクトを推進したおかげで、非常に短期間で当初の目的通りの環境を構築できたことが非常に大きなメリットでした」(須貝氏)

顧客分析により意思決定に役立つ知見を獲得したい

ジェトロは2012年2月より、個人情報を組織全体で扱うための同意を得るために、40万件のすべての顧客宛に確認のご案内を送付した。個人情報保護法施行以前に収集した顧客の情報を活用する狙いとともに、顧客データが古くなり使えなくなってしまっていないかどうかを確認する意味もあった。田中氏は、「お客様に関心のある国や地域、産業分野などを再度登録してもらうことで情報の鮮度を確保します。お客様に面倒な作業を依頼しているにもかかわらず、"いつも情報を提供してくれてありがとう"といった返信を多数いただくことができました。このプロジェクトに参加して得られた、いい経験のひとつです」と語る。

こうしてジェトロは、すべての顧客に最適なサービスを展開するためのデータ基盤を整えた。2013年4月に本格稼働した新たな顧客情報のデータベースには、顧客から同意を得た上で利用できる、鮮度の高い顧客情報が詰まっている。顧客の興味・関心や、過去のサービス利用履歴も一元管理され、組織横断的に参照できるようになった。これらの情報を全社で共有して業務を進めることで、顧客に最適な情報提供を実現できる。

ジェトロはSAS Data Qualityの導入により、将来のビジネスに応用のきくデータマネージメント・フレームワーク、すなわちシステム環境と方法論を手に入れ、データ・マネジメント戦略に基づいた組織と業務プロセスを確立した。今後は、組織内にあるその他顧客関連データベースとの連携を行い、あらゆる角度からの顧客データ分析を行い、その結果を新しいサービス展開に役立てていく予定だ。立川氏は、「顧客企業が興味を抱く国や地域、産業分野は異なります。ですから、われわれの提供するサービスと顧客が求めていることの間に乖離があってはなりません。すべての顧客データを一元化し、分析できるようにしたことで、そのようなギャップを浮き彫りにし、数値的な根拠にもとづいた戦略的なサービスを展開していきたいと考えています」と話している。

写真 : ジェトロのプロジェクト『チーム顧客』メンバー
写真 : ジェトロのプロジェクト『チーム顧客』メンバー

課題

各職員がさまざまな形式で管理してきた顧客情報を組織全体で活用できる体制を備えるため、重複や不整合が散見される約40万件のデータの精査・クレンジングを含めた、包括的なデータ・マネジメントプロセスの構築が不可欠だった

ソリューション

業務知識を持ったビジネスユーザーが直感的に操作可能なデータ・クレンジング・ツール、ベストプラクティスに基づく実績のあるデータ・マネジメント方法論および、SASのコンサルティングサービス

利点

データクレンジングの作業工数を抑えながら組織横断的な顧客情報の活用基盤を短期間で構築。データ品質の飛躍的な向上により、各職員顧客との関係性を把握して最適なサービスを展開している

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