Cronbachのアルファ係数

仕事の満足度、運度能力、感覚認識、顧客満足度などの潜在的な構成概念を分析するには、対象となる構成概念を正確に測定するための手段が必要となります。相互に関連する項目を合計することにより、各関与者の全体的なスコアを取得できます。Cronbachのアルファ係数は、検定の内的整合性や検定内の項目の平均相関を判定することにより、このようなタイプの尺度の信頼性を推定します(Cronbach 1951)。

値を記録する場合、観測値にはある程度の測定誤差が含まれています。同一個体の同一変数に関する測定を2回行った場合、測定値が同じ値になるとは限りません。ただし、一連の個体に関して測定を繰り返すことで、ある程度の整合性が示されます。信頼性とは、ある測定値と別の測定値の間の内的整合性を測定する指標です。観測値は、真の値と測定誤差という2つの構成要素に分割されます。測定誤差は、真の値とは独立であると仮定します。これは次の式で表されます。

     

測定の信頼係数は、観測値と真の値間の相関係数の2乗として定義されます。これは、次の式で表されます。

     

これは、標本内の個体間の真の差異に起因する観測された分散の割合になります。 が同じ特性を測定する複数の観測変数の合計である場合、を推定できます。Cronbachのアルファ係数は、の下限値に基づく信頼係数の推定値です。

変数を()で使用するとします。ここで、は観測値、は真の値、は測定誤差です。測定誤差()と真の値()とは互いに独立です。を観測スコアの合計とし、を真のスコアの合計とします。次の式が成り立つため、

     

の下限値は次の式により与えられます。

     

(ここで、)が成り立つ場合、信頼係数の下限値はCronbachのアルファ係数により与えられます。

     

項目の分散が大きく異なる場合、アルファ係数を計算する前に、標準偏差が1となるようにそれらの項目を標準化します。変数が(0,1)に2分される場合、アルファ係数はKuder-Richardson 20 (KR-20)の信頼性測定値に等しくなります。

各変数ペア間の相関が1である場合、アルファ係数の値は最大値である1になります。一部の変数間に負の相関が存在する場合、アルファ係数はゼロより小さい値となります。全体的なアルファ係数の値が大きいほど、項目が信頼性の高い尺度を構成する可能性が高くなります。Nunnally and Bernstein (1994)は、受け入れ可能な信頼係数の値として0.70を推奨しています。この値よりも小さい信頼係数は不適切であると見なされます。ただし、この推奨値は分野により異なります。

各項目が尺度の信頼性をどのように反映するかを判定するには、尺度とは独立に各変数を削除した後、アルファ係数を計算します。すべての変数(ただし番目の変数を除く)を使用したCronbachのアルファ係数は次の式で表されます。

     

ある項目を尺度から取り除いた後に信頼係数が上昇する場合、その項目は尺度内の他の項目との高い相関がないものと仮定できます。逆に、信頼係数が低下する場合、その項目は尺度内の他の項目との高い相関があるものと仮定できます。Cronbachのアルファ係数の解釈方法に関する詳細は、Yu (2001)を参照してください。

Cronbachのアルファ係数を正確に計算するには、欠損値を持つオブザベーションのリストワイズ削除が必要となります。ALPHAを指定した場合、CORRプロシジャはリストワイズ削除を自動的には使用しません。このため、データセットに欠損値が含まれている場合、NOMISSオプションを指定する必要があります。そうでない場合、CORRプロシジャは、ALPHAオプションと共にNOMISSオプションを使用するように伝える警告メッセージを表示します。