Dunnett法による多重比較

[OS] ALL
[リリース] SAS 6.10 以降
[キーワード] Dunnett-Hsu

[質問]

GLMプロシジャのLSMEANSステートメントにてPDIFF=CONTORLオプション(もしくはPDIFFとADJUST=DUNNETTオプション)を指定していますが、出力結果に「Dunnett」と表示される場合と、「Dunnett-Hsu」と表示される場合があります。この違いに関して教えてください。

[回答]

対照群からの差異があるかを検証する方法として、Dunnett法、およびDunnett-Hsu法の2種類があります。この2つの手法は、多重調整を行なう際に用いる共分散行列の形式に違いがあります。

たとえば、一元分散分析において、各水準のLS平均(m_0,m_1,・・・,m_k)を対照群のLS平均(m_0)と比較し、多重調整を行なうとします。 この場合、対照群も含め、LS平均間には相関がありません。そのため、LS平均の差(m_1-m_0,・、・・・,m_k-m_0)の共分散は、「Factor-Analytic Structure」と呼ばれる特定の形式になります。このように、LS平均の差の共分散が「Factor-Analytic Structure」である場合には、Dunnett法が用いられ、出力画面で「Dunnett」と表示されます。

しかし、多くのバランスの取れていないデータの場合や、共変数がモデルに含まれている場合には、LS平均の差(m_1-m_0,・、・・・,m_k-m_0)の共分散は「Factor-Analytic Structure」の形式とは異なることがあります。 このような場合、GLMプロシジャでは、自動的にHsu (1992)における反復主因子法の近似を行ない、多重性に対して調整します。そのため、「Dunnett」ではなく「Dunnett-Hsu」が出力画面に表示されます。

理論の詳細に関しては、以下の文献を参考にしてください。

  • Hsu, J.C. (1992), "The Factor Analytic Approach to Simultaneous Confidence Interval for Multiple Comparisons with the Best,"Journal of Computational Statistics and Graphics, 1, 151 -168.
  • Hsu, J.C. (1996), Multiple Comparisons: Theory and Methods, London: Chapman & Hall.