VR Group electric train in snow

列車のスムーズな運行を支えるIoTと予知保全

フィンランドの鉄道会社「VR Group」が、列車の定時運行と顧客満足度の向上に向けてSAS®のアナリティクスを導入

交通機関にとって最も悩ましいのは、運行における遅延の発生だろう。特に想定外の遅延は深刻な課題だ。だからこそ鉄道会社は最大限の知恵を絞って、可能な限り列車を正確に運行して、顧客満足度の維持に取り組んでいる。

フィンライドを代表する旅客輸送会社になることが、VR Groupの将来的なビジョンです。予測分析の効果的な活用なしに、これを実現するのは不可能と言わざるを得ません。
VR Group Kimmo Soini

キンモ・ソイニ(Kimmo Soini)氏
保守担当上級副社長

このカギを握るのが、保有する最新のデータ(または簡単に手に入るデータ)をサービス向上につなげる新たな手法の開発だ。この課題にチャレンジしているのが、フィンランドの国有鉄道のVR Group社である。同社は、保有する1,500に及ぶ車両をスムーズに運行しながら、より快適で安全な乗車体験を顧客に提供することを目指し、アナリティクスとモノのインターネット(IoT)の導入を決断した。

どのような気象条件の中でも、列車は過酷な状況に耐えながらダイヤ通りに運行しなければならないため、同社が業務コストの相当部分を保守に当てているのも確かに頷ける。それだけに同社は、必要に応じて部品を交換する従来のメンテナンス手法から脱却して、コストの削減と稼働率の最大化を両立させたいと考えていた。

VR Group社の保守担当上級副社長であるキンモ・ソイニ(Kimmo Soini)氏は、次のように説明する。「当社はフィンランドで唯一の旅客鉄道会社ですが、このところ他の交通手段との競争が厳しさを増しています。また、保守コストは運賃にも反映されるため、保守面での競争優位性も高めていきたいと考えています」

VR Group社では近年、各種システムやサブシステムにセンサーを装着して、消耗の度合いや故障に関する症状のモニタリングに取り組み始めたが、センサー自体は生データを収集するだけの機能しか備えていない。(多くの場合)データはリアルタイムの分析を通じて、エンジニアがより迅速かつ適切に対応できるようになって、はじめて真の価値を発揮するものであり、同社はこうしたレベルのインテリジェンスを求めて、SASのアナリティクスの導入を決断した。

VR Group smiling employee

事後対応的な保守から、予知保全への転換

これまでVR Group社では、2種類の方法で保守業務を行っていた。1つは、車輪やボギー台車などの重要なシステムの定期保守だ。ここでは、まだ十分に使える(=耐用年数に達していない)部品が交換されるということが少なくなかった。もう1つは、ドアなどの部品に不具合が生じた場合の保守である。こうした部品は故障の予測が難しく、いざ発生した場合には運休を余儀なくされることから、顧客の不満につながっていた。

そこでVR Group社は、部品の状態を常にモニタリングするための予知保全プログラムを開発。部品が故障する時期を数理モデルによって予測するこのプログラムによって、計画外のダウンタイムが発生する前段階での部品の交換が可能になる。SASのアナリティクスを活用したセンサーデータのモニタリングによって、同社は車両の状態をリアルタイムで把握することができる。同社の最終的な目標は、保守に対する考え方を根本的に変革し、すべてをリアルタイムにモニタリングベースで行えるようにすることである。

VR Group electric train at station

「車両ドアの開閉が正常時の速度よりも遅くなり始めたら、一定期間内に故障する可能性が高いと言えます。こうした対処は故障が発生する前段階で行わなければなりません。アナリティクスの活用によって、予知保全をベースに修理の計画を立てられるようになりました」(同氏)

SASのアナリティクスは新規および履歴データを分析することにより、VR Group社が特定の保守作業(車輪を旋盤で削って補正する転削や輪軸の交換など)を実施する間隔を最大化できるように支援している。こうした部品は1編成の列車全体に3万点以上も使われており、車輪転削などの作業日程を最適化できれば、車両を線路上でより長く稼動させることが可能になる。「実際、保守の作業量を3分の2まで軽減できる可能性があります」(同氏)

また、SASのアナリティクスはVR Group社が故障の根本原因を特定する取り組みも支援しており、ここでは節減効果の拡大と列車の信頼性向上に期待が寄せられている。さらに同社は、IoTに関する実用的な洞察をもとに補修部品や資材の在庫レベルを最小限に抑え、本当に必要なものだけをストックしておけばよくなる。

VR Group electric train in background

センサーデータから行動を導く

「センサーから生み出されるデータは爆発的に増大しており、データの管理はより対象を絞り込んだものになっています。センサーデータとアナリティクス、そしてこれらの自動化は、当社が次のステップに前進するために欠かせないテクノロジーなのです。遅かれ早かれ、あらゆる業種の保守業務がモノのインターネット(IoT)によって変革されることになるでしょう」(同氏)

「フィンライドを代表する旅客輸送会社になることが、VR Groupの将来的なビジョンです。予測分析の効果的な活用なしに、これを実現するのは不可能と言わざるを得ません。」

写真提供:VR Group 

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課題

  • 保有する鉄道車両における保守の品質と効率性の改善
  • 顧客の期待に応え、かつ費用対効果に優れた旅客輸送サービスの提供
  • 列車の安全な定時運行体制の確立

ソリューション

利点

  • 列車の定時運行率が高まり、鉄道サービスが円滑化
  • 部品が故障する前に交換時期を予測可能
  • 保有車両の信頼性が向上
  • 補修部品の在庫レベルを最小限に抑制
  • より快適な乗車体験と高い競争力を備えた運賃の実現

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