Telstra社、SASを活用してカスタマー・エンゲージメントを強化

テレコム業界は非常に競争が激しく、不満のある利用客は簡単にプロバイダーを乗り換えることができるため、顧客ロイヤルティの確保が重要な課題となる。

オーストラリア最大のテレコム企業であるTelstra社は、顧客を事業の中心に据えることを最優先事項として掲げている。これを実現するには、顧客が望む商品やサービスを開発できるように顧客ニーズの理解を深める取り組みが欠かせない。

Telstra社でリサーチ・インサイトおよびアナリティクス担当ディレクターを務めるリズ・ムーア(Liz Moore)氏は、このプロセスにはイノベーションをより迅速に実現する能力が極めて重要だと説明する。「私たちは、『今日的なスピード』で洞察を生成できなくてはなりません。以前は6週間から8週間かけていた分析や洞察を、今では数日で開発し現場に提供する必要があるのです。何ヶ月もかけることはできません。」

ネット・プロモーター・スコアで顧客との距離を縮めたTelstra社

Telstra社はSASと緊密に連携してデータを分析し、個々の顧客世帯に関する総合的な理解を深め、顧客がTelstra社についてどのように感じているかを把握するために役立つ指標の策定に取り組んでいる。この目的のために算出しているのが、各顧客のネット・プロモーター・スコア(NPS)だ。

NPSは、マーケティング活動やサービスにおけるカスタマー・エンゲージメントの実態と効果を測定する最重要の指標として会社全体で利用されている。NPSを用いて顧客価値、顧客が利用中の商品、顧客離反の可能性を把握することにより、Telstra社ではそれぞれの顧客世帯との間で、より有意義な一対一の会話を持てるようになったという。

「あらゆる顧客対応を前回よりも優れたものにしたいのです」と、ムーア氏は説明する。「全ての達成目標は、NPSの測定結果に応じて顧客へのアプローチ方法を継続的に改善していく、という方向性を確保することにフォーカスしています。」

ムーア氏は、顧客一人ひとりのニーズに合った体験を提供することが重要な目標だと付け加えた。「私たちは毎年3万もの戦略的NPS調査を実施していますが、以前は、調査対象になっていない顧客に関する戦略的NPSをどのように補完(補定)すべきかという点や、きめ細かな応答と個人別のオファーを実現するにはどうすればよいかという点が課題となっていました。」

SASは、当社の現状や将来の可能性を理解するために役立ちましたが、それだけではありません。既存の業務に新しい考え方を融合させて価値向上を推進する方法について推奨事項も示してくれました。

リズ・ムーア
(Liz Moore)氏

リサーチ・インサイトおよびアナリティクス担当ディレクター

継続的な改善という課題への取り組みをSASが支援

Telstra社がこの課題に取り組むためには、顧客離反とクロスセル機会の予測に使用しているアナリティクス手法を取り出し、それらをサービス計画で使用できるようにカスタマイズすることが必要だった。多くの業者がTelstra社に対し、それは不可能な作業だと告げたが、SASは違った。そしてTelstra社は、SASのソフトウェアを活用することで、顧客一人ひとりの現状や個々の顧客対応を改善するために何ができるかをより詳細なレベルで理解できるアナリティクス・プログラムを開発することに成功した。

今では任意のタイミングで、Telstra社の900万の顧客の一人ひとりに対し、補完(補定)されたNPSを算出できるという。「これはお客様にとって大きなメリットです。私たちは、お客様が任意の時点でTelstra社からどのような体験を得ているかを把握し、それにもとづいて個々の顧客対応を調整できるようになりましたから」(ムーア氏)。

ムーア氏によると、SASはこの領域における同社の活動を支えるアナリティクス・プラットフォームであり続けている。「当社は400名以上の分析担当者を抱えており、彼らはSASを使って、マーケティング目的の予測モデリングから信用スコアリングまで、幅広い活動について洞察を導き出しています。」

洞察の拡充がキャンペーン成功率の向上を促進

同社で成功を収めたマーケティング活動の1つとして「大感謝」キャンペーンがある。これは4万5,000人の従業員がTelstra社の顧客に電話をかけ、ロイヤルティへの感謝の気持ちを伝えるという取り組みであり、3ヶ月の期間中に300万人以上の顧客が電話を受けた。

このプログラムの成功は「チェックイン」イニシアチブの開発につながった。これは、中小企業を含む顧客をいくつかの販売窓口チャネルに招待し、自社の商品やサービスがそれぞれの顧客に適したものであるかどうかをレビューしてもらうという取り組みだ。アナリティクス・チームは、顧客との会話が円滑に進むように、個々の顧客の商品およびサービスの利用に関するデータをすぐに利用できるようにしておく必要があった。

「これらのチャネルでは、非常に有意義な会話を持つことができました。12ヶ月間にわたり、チェックイン・キャンペーンの一環として約900万件のコンタクトが発生したのです」(ムーア氏)。

ムーア氏によると、大量のデータを分析するTelstra社の能力は改善され続けているという。「SASは、当社の現状や将来の可能性を理解するために役立ちましたが、それだけではありません。既存の業務に新しい考え方を融合させて価値向上を推進する方法についての推奨事項も示してくれました。SASは当社の優れたテクノロジー・パートナーであると同時に、イノベーション・パートナーでもあります」。

Telstra logo

課題

  • 900万の顧客のそれぞれに、ニーズに合わせて調整した個別の体験を提供したい

ソリューション

導入効果

  • Telstra社は顧客一人ひとりの状況をより詳細なレベルで理解し、個別に調整した顧客対応を行えるようになった

                        本資料に記載の導入結果は、各企業によって異なる状況やビジネスモデル、入力データ、業務環境に固有のものです。SASの紹介する顧客体験は、各企業に固有のものであり、業務面や技術面の背景もそれぞれ異なるため、各事例に掲載されたあらゆる証言は、導入の典型例を示すものではありません。導入にともなう金銭的効果、導入結果、ソリューションのパフォーマンスなどの特徴は、個別の顧客のコンフィグレーションや使用条件に左右されるものです。本事例は、すべてのSASの顧客が当該事例と同じ導入効果を得られるとするものではなく、そうした効果を保証するものでもありません。SAS製品および提供サービスの保証内容は、各製品・サービス向けに締結された契約書内の保証条項に記載された内容に限られます。したがって、本事例に掲載された内容は、それらの保証内容をなんら補足するものではありません。事例に掲載された顧客は、各事例をSASとの契約にもとづいて提供しているか、SASのソフトウェアの導入成功にともなう体験を共有しているものです。記載されているブランドや製品などの名称は各社の商標または登録商標です。