フィンエアー社:的確なアナリティクスがもたらす新たな戦略

需要を最適化し、アジア路線の収益を拡大

どこに拠点を置くかの判断は、交通機関にとっても重要な課題である。その点、フィンランドは地理的な環境に恵まれていると言える。首都ヘルシンキは欧州とアジアを結ぶ最短経路に位置し、西欧の都市では唯一、24時間以内でアジアとの空路を往復することが可能だ。同国のナショナル・フラッグ・キャリアであるフィンエアー(フィンランド航空)社では、ハブ空港が備える地理的な優位性を生かしたアジア/欧州間のフライト需要拡大を目標に、アナリティクスを導入した。

アジア便の収益を10年間で倍増させる計画の達成に向けて、市場シェアの獲得、より最適な価格での座席提供、それによる競争力の向上といった領域にアナリティクスを活用している。

1つの路線のシェアや収益性分析においても、最終目的地までの間で想定される膨大な数の旅程を把握する必要があります。
Jukka Lahtinen, Finnair

ユッカ・ラーティネン(Jukka Lahtinen)氏
路線計画担当マネージャー

「航空業界の利益率は決して高くありません。それだけに、正確な分析にもとづく的確な業務運営が重要になります。特に長距離路線では、データ分析の精度がそのまま収益に直結します。戦略の実現には、データを重視した正確な計画が不可欠なのです」と語るのは、路線計画担当マネージャーであるユッカ・ラーティネン(Jukka Lahtinen)氏だ。

アジアの主要15都市に就航するフィンエアー社では収益全体の約半分をアジア便が占めている。アジアの各都市からの乗客の多くは、ヘルシンキからさらに先の40ヶ所の目的地へ向けて接続便を利用しており、欧州圏内の最終目的地は60を超える。こうした1,600通りに及ぶ路線接続の把握するうえで、大きな効果を発揮しているのがアナリティクスだ。「乗客の利用が想定される最終目的地までの膨大な数の旅程を把握したうえで、乗客の好みを理解して、競合するすべての経路や接続便に対抗できなければなりません」(同氏)

導入後、最初に直面した課題は断片化された市場データだった。ここには社内のデータストアに蓄積された乗客数、路線、需要などに関する情報に加え、一般公開されている競合他社の情報も含まれる。これらを組み合わせることで、ある地域の特定のフライトに搭乗する乗客それぞれの旅程と接続情報を把握できるが、ラーティネン氏は形式が不統一な外部データの課題を指摘する。「こうしたデータの処理は一筋縄ではいきません。データソースが異なれば、同じ情報でも定義が全く異なり、また外部ソースから取得する情報は不完全なことが少なくありません。こうしたケースでは、問題を補うための情報が必要かどうかを判断し、それらをどこで入手できるかも突き止めなければなりません」

アナリティクスを採用した同社では、想定される航空路線、搭乗率の把握、フライト頻度、時刻表、機材管理といったすべての要素をモデル化し、自動化された予測を通じて、特定のフライトが利用される可能性を推定している。乗客数の予測と実績の乖離が大きい場合には、個別のルートやマーケットといった詳細にまで踏み込んで、的確な予測が得られていた領域と目標に達しなかった領域を検証。その結果をもとに、乗客数や利益率の改善に向けて、販売、マーケティング、価格設定といった分野でどのような戦略が必要になるかを検討している。

一方、同社におけるアナリティクスの導入は、企業文化の変革という効果ももたらしている。「業務のプロセスを変革するためには、考え方の変革が不可欠だという社内認識が定着しました」と、ラーティネン氏は語る。フィンエアー社では今後、データウェアハウスの統合を通じて操作性を向上しながら、意思決定から事業運営に至る全社規模のより広範な領域におけるビジネス・アナリティクスの展開を計画している。

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課題

ヘルシンキとアジアの主要都市を結ぶ長距離便の収益倍増計画の達成に向けた、価格設定と路線計画の実効性の向上。

ソリューション

SAS® for Demand-Driven Planning and Optimization

導入効果

フィンエアー社では、就航ネットワークのモデル化、旅客の流動性の推測、路線別の市場シェア予測、競合他社と比較した路線別/市場別のパフォーマンス分析を実現。路線やサービスの価格設定とマーケティング活動にもアナリティクスを活用している。

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