既存プロシジャのSAS System 8 における拡張点(抜粋)

CATMOD    CORRESP    FACTOR    FASTCLUS
FREQ    GENMOD    GLM    LOGISTIC    MIXED
MULTTEST    NPAR1WAY    ORTHOREG    PHREG
PLAN    REG    RSREG    TRANSREG    TTEST

NLMIXED    SURVEYMEANS

CATMODプロシジャ

  • CONTRASTステートメントに、ESTIMATE= オプションおよびALPHA= オプションが追加され、推定値および信頼区間が出力できるようになった。
  • 対数線形モデルの最尤推定を行う際に、ニュートンラプソン法以外にも、IPF (iterative proportional fitting)アルゴリズムが選択できるようになった。
  • 対数線形モデルの0度数のセルに対して、MISSING= およびZEROS= オプションで、小さな値を代入したり、もしくは分析から除外したりできるようになった。

CORRESPプロシジャ

  • 多重対応分析において、BENZECRIおよび GREENACREオプションが追加された。これらのオプションは、多重対応分析における調整された特異値を計算する。

FACTORプロシジャ

  • 因子負荷量の回転方法として、一般化Crawford-Ferguson族に属するすべての直交および斜交回転がROTATE= オプションで指定できるようになった。
  • 最尤推定の後、一般化Crawford-Ferguson族に属する回転を行った場合に、標準誤差(SEオプション)および信頼区間(CIオプション)が計算できるようになった。

FASTCLUSプロシジャ

  • INSTAT= オプションによって、最も距離が近いクラスターに新規のレコードを割り振ることができるようになった。

FREQプロシジャ

  • TESTステートメントが追加された。MEASURESやAGREEオプションで出力される検定のうち、自分の欲しい検定・指標だけを出力できるようになった。
  • 1元表に関しても、割合(比率)の信頼区間・検定が計算できるようになった(TABLESステートメント / BINOMIALオプション)。
  • κ係数に関して、Fleiss-Cohenスコアを用いることができるようになった( AGREE(WT=FC) )。
  • SCOROUTオプションによって、検定や指標の計算に用いたスコアを表示できるようになった。
  • EXACTステートメントに次のような機能が追加された。
    • PCHIオプションによって、1元表に対する正確なピアソンのカイ2乗適合度検定が可能になった。
    • MAXTIME=で正確検定の処理時間を指定。指定した以上の値になると、計算を打ち切る。
    • MCオプションによって、乱数シミュレーションによってp値を求めることが可能になった。
  • 共通オッズ比および共通相対リスクをMantel-Haenszel型の調整方法で推定した場合に、その標準誤差および信頼区間をRobins, Breslow, and Greenland (1986) の方法で計算するようになった。SAS System 6までは、帰無仮説のもとでの分散推定値によって計算されていた。
    参考文献
    Robins, J.M., Breslow, N., and Greenland, S. (1986),
    "Estimators of the Mantel-Haenszel Variance Consistent in Both Sparse Data and Large-Strata Limiting Models," Biometrics, 42, 311 -323.
  • TABLESステートメントのCUMOUT オプションによって、累積度数をデータセットに出力できるようになった。
  • TABLESステートメントのFORMAT= オプションによって、表中の度数や期待度数に対するフォーマットを変更できるようになった。
  • HTML出力に関して、CONTENTS= オプションが使えるようになった。

GENMODプロシジャ

  • CONTRASTステートメントだけでなく、LSMEANSステートメントやESTIMATEステートメントが使えるようになった。
  • 応答変数の分布として、負の二項分布(ポアソン回帰のover-dispersionに対処するために時々、使われている分布)がサポートされるようになった。
  • 累積ロジットモデル(比例オッズモデル)があてはめられるようになった。DIST=MULTオプションを指定した後に、連結関数としてLINK=CLOGIT(累積ロジット)、CPORBIT(累積プロビット)、CCLL(累積の補対数−対数)のいずれかを指定すると、累積確率に対するモデルが推定される
    (注:SAS 8.0 / 8.1においても、GENMODプロシジャでは、一般化ロジットモデルはサポートされていません)。
  • GEE推定の結果に対しても、CONTRAST、LSMEANS、ESTIMATEの各ステートメントが適用できるようになった。
  • GEE推定だけでなく、2値データに対してALR (Alternating Logistic Regression)モデルをあてはめることができるようになった。このモデルは、相関をオッズ比で表すモデルである。LOGORオプションを指定すると、ALRモデルの推定が行われる。
  • 独立な相関構造だけに関して、順序データのGEE推定が行えるようになった。

GLMプロシジャ

  • LSMEANS、MEANS、MODEL、およびOUTPUTステートメントで計算される信頼区間の信頼率を、PROC GLM ステートメントのALPHA= オプションによって、一括して指定できるようになった。
  • NAMELEN= オプションによって、要因に対する名前の長さを変更できるようになった。SAS System 6では20文字までの要因名になっていた(交互作用などの要因名が20文字以上になった場合には、20文字で切られていた)。NAMELEN=オプションには、20文字から 200 文字までを指定できる。
  • ALIASINGオプションによって、別名関係(1次従属関係)になっているパラメータが表示されるようになった。
  • CLPARM オプションによって、SOLUTIONオプションの結果とESTIMATEステートメントの結果の信頼区間が計算されるようになった。

LOGISTICプロシジャ

■ SAS 8.0からの変更点

  • CLASSステートメントが使えるようになった。GLMプロシジャ(GENMODプロシジャ)およびCATMODプロシジャで行われているコーディング方法を指定できる。また、交互作用も指定できる。
  • CLASSステートメントだけでなく、CONTRASTステートメントも追加された。GLMプロシジャで行っていたような対比の指定も、また、CATMODプロシジャで行っていたような対比の指定も、両方とも指定できる。CONTRASTステートメントでは、対比の各行に対する推定値も出力できる(ESTIMATE= オプション)。
  • 交互作用の指定ができるようになったことに伴い、変数選択に関して、その順番を制御するオプションが追加された(HIERARCHY=オプション)。たとえば、交互作用を含める前に、必ず、その主効果を含めるように変数選択を行うといった指定が行える。
  • OUTPUTステートメントにおいて、累積確率の予測値のほかに、各水準ごとの生じる確率の予測値や、CTABLEオプションで出力されていたクロスバリデーション法(の近似)に基づく予測値も出力できるようになった(PROBPREDS=オプション)。
  • Hosmer-Lemeshowの適合度検定を行うLACKFITオプションにおいて、その自由度を指定できるようになった。
  • 反復計算の収束規準を変更するためのオプションが追加された。

■ SAS 8.1からの変更点

  • EXACTステートメントによって、応答が2値の場合における正確な条件付きロジスティック分析が行えるようになった。この方法では、十分統計量によって条件付けした上で並び替えを行い、推定や検定を行う。EXACTステートメントでは、exact conditional score test および exact conditional probability testという2つの正確検定を行う。
  • 正確検定の処理時間は、MAXTIME=オプションで制限できる。
  • PROC LOGISTICステートメントのALPHA= オプションによって、すべての信頼区間を一括して指定できるようになった。MODEL、EXACT、CONTRAST、およびOUTPUTステートメントの信頼区間が、このオプションによって指定できる。

MIXEDプロシジャ

  • 推定方法を指定するためのMETHOD= オプションにおいて、TYPE1、TYPE2、TYPE3という値が追加された。これらは、GLMプロシジャと同じようにそれぞれTypeI、TypeII、TypeIIIの平方和(期待平均平方)から分散を推定する(なお、これらのオプションはRANDOMステートメントだけが指定されている時しか使えない)。
  • NAMELEN= オプションによって、交互作用などの要因に対する名前の制限を変更できるようになった。SAS System 6では20文字までの要因名になっていた。NAMELEN=オプションには、20文字から 200 文字までを指定できる。
  • NCLPRINT オプションによって、"Class Level Information" の表が表示されなくなる。また、 NOINFO オプションによって、 "Model Information" および "Dimensions" の表示が抑制される (これまでは、逆に INFO オプションを指定しないと、これらの表は表示されていなかった)。
  • IDステートメントが追加された。OUTP= および OUTM= オプションによって作成されるデータセットに、IDステートメントに指定された変数の値はコピーされる。
  • PおよびPMオプションが廃止され、OUTP= および OUTPM= オプションになった。
  • PRIOR ステートメントで多くのオプションが追加された。たとえば、乱数を生成するためのアルゴリズムを決めるためのALG= オプションに、幾つかのアルゴリズムが追加された。また、BDATA= オプションによって、ベースラインの分布を指定できるようになった。さらに、OUT= などのオプションによって、結果を簡単にデータセットに出力できるようになった。
  • NOFULLZ オプションによって、行列Zで欠損となっている列が除去されるようになった。
  • Kenward-Rogers法による自由度および標準誤差などの計算がサポートされるようになった (DDFM=KENWARDROGERオプション)。
  • (* SAS 8.1から)これまでAIC、BIC は、「大きな値ほど良い」形式で出力されていたが、SAS 8.1からは、一般的に使われている「小さなほど良い」形式になった。

MULTTESTプロシジャ

  • p値を調整するための閉手順の方法として、Fisherの結合法(Fisher combination)およびHommelの方法が追加された。
  • Freeman-Tukey 検定および t検定を行う時に、STRATAステートメントの層に対して、3種類の重み付けができるようになった。WEIGHT= SAMPLESIZE、HARMONIC、EQUALというオプション が用意されている。

NPAR1WAYプロシジャ

  • Ansari-Bradley検定などのk標本の尺度母数に対する順位検定が追加された。
  • 正確検定を行うEXACTステートメントのMCオプションにより、乱数シミュレーションが行えるようになった。
  • SCORE=DATAによって、データ値そのものをスコアとして順位検定が行えるようになった。
  • CORRECTION=YES|NOの指定により、2標本Wilcoxon検定および2標本Siegel-Tukey検定で連続修正を行うかどうかを設定できるようになった。
    (補足説明)
    SAS System 8において追加された尺度母数に対する検定
    →前提:各群の位置母数が等しい
    G(X-θ)=F[(X-θ) /σ]において、H0: σ=1 , H1: σ≠1

    オプション 検定名 漸近効率が最大となる分布 スコアの付け方
    KLOTZ Klots検定 正規分布 正規スコアの2乗
    MOOD Moodの尺度検定 コーシー分布に近い分布 平均順位との差の2乗
    ST Siegel-Tukey検定 コーシー分布よりも裾が重い 最小値に1、最大値に2、最小から2番目に3、…
    AB Ansari-Bradley検定 コーシー分布よりも裾が重い 最小値と最大値に1、上下2番目のものに2、…

    * SAS 6.12の段階でGLMプロシジャにおいて、既に尺度母数に対する検定はサポートされている。Brown and Forsytheの検定などは、正規性からのずれに対してロバストになるように工夫されている検定である。


ORTHOREGプロシジャ

  • CLASSステートメントおよびNOINTオプションがサポートされるようになった。

PHREGプロシジャ

  • 収束の基準を設定するためのオプションが追加された。
  • COVSANDWICHオプションによって、分散共分散行列に対するサンドウィッチ推定値が求められるようになった。
    参考文献
    Lin, D.Y. and Wei, L.J. (1989)
    "The Robust Inference for the Proportional Hazards Model"
    Journal of the American Statistical Association, 84,  1074 − 1078
  • MODELステートメントにおいて、説明変数がなくても実行できるようになった。
  • 時間依存性共変量がある場合の累積ハザード関数を計算するようになった。

PLANプロシジャ

  • PERMおよびCOMBによって、n個からk個を取り出す場合の並び替えや組み合わせを作成できるようになった。

REGプロシジャ

  • MODELステートメントのCLBオプション(およびALPHA= オプション)で、パラメータ推定値の信頼区間が出力されるようになった。
  • TABLEOUT オプションを指定した場合に、OUTSTAT= のデータセットに信頼区間も出力されるようになった。
  • PROC REGステートメントのALPHA= オプションで、すべての信頼区間の信頼率を一括して変更できるようになった。
  • MAXSTEPオプションによって、変数増加法(SELECTION=STEPWISE)におけるステップ数の上限を指定できるようになった。
  • PLOTステートメントによって作成されるグラフが、デフォルトで高解像度のものになった。キャラクターベースのものにするには、LINEPRINTERオプションを指定する必要がある。

RSREGプロシジャ

  • Lack-Of-Fitの検定(LACKFITオプション)を行う場合に、データがソートされている必要がなくなった。

TRANSREGプロシジャ

  • 平滑化スプライン変換をサポートするようになった。

TTESTプロシジャ

  • 1標本、2標本、また対応があるデータの検定が行えるようになった。
  • H0= オプションによって、0以外の帰無仮説を指定できるようになった。
  • 平均の差および標準偏差に関して、信頼区間も計算されるようになった。
  • FREQ およびWEIGHT ステートメントによって、度数および重みの変数を指定できるようになった。

SAS 8.0 で追加されたプロシジャの、SAS 8.1 における変更点


NLMIXEDプロシジャ

  • ガンマ分布および負の二項分布が指定できるようになった。
  • 「小さい方が良い」形式のAIC、BICだけが出力されるようになった。

SURVEYMEANSプロシジャ

  • DOMAINステートメントによって、部分母集団に対する分析結果も出力されるようになった。