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株式会社帝国データバンク

高精度の倒産予測で、企業取引を活性化させたい ~さらにサービスの拡充と社内業務の効率化も実現する~

企業取引や与信管理をサポートする企業評価の新たな指標として、日本初の定性データによる倒産予測モデルを、SASを用いて構築した株式会社帝国データバンク。予測モデルを利用したサービスは、顧客ニーズに応じてさまざまな形に展開していった。

それを契機に、予測モデル開発以外の分野でもSASは採用され、さらなる顧客向け商品やサービスの拡充と、社内の業務効率化や高度化の実現に至っている。

定性データによる日本初の倒産予測モデル

毎日刻々と変化していく経済環境において、あらゆる企業がさまざまなリスクに潜在的にさらされているが、倒産リスクもそのひとつである。企業が取引を行なう際には、倒産リスクを正しく把握し、与信管理を効率的にするための企業評価の指標が求められている。それは一般的には、財務データと審査担当者の経験や勘を頼りに行なわれる傾向にあった。また、信用調査会社の評点も、多面的に「総合評価」を行なっているため、評点が低くても、倒産する確率が高くない企業が出てきてしまい、企業の積極的な取引の妨げになっていた。そこで株式会社帝国データバンク(TDB)は、新たな企業評価の共通の物差しとなり、企業の安全性をよりシャープに予測するモデルを開発した。それが「倒産予測モデル」である。

この予測モデルは、財務データではなく、高品質かつ膨大な量の定性データのみを利用した、日本で初めてのモデルである。TDBの調査員が直接企業を訪問して作成した信用調査報告書には、“経営者の人物像”“支払能力”“資金調達余力”そして“担保設定状況”といったさまざまな定性データが含まれている。予測モデルでは43万社分にものぼるこうしたデータを利用し、倒産/非倒産を判別する約150個の変数の中から、最終的に10個程度の変数が選択された。このような大量データ処理と分析を実現するためには、SASの存在が不可欠であった。さらに、財務データのみを利用した予測モデルに定性データを加えて精度向上を図ったMIXモデルも開発。この2種類のモデルによって、企業の向こう1年間の倒産/非倒産の確率を70~80%という精度の高さで判別している。

「走りながら考えられる」SASでモデルの精度を維持したままサービスを拡充

今をさかのぼること2000年7月、信用リスクの定量化や研究を行なう全社的なプロジェクトにおいて、倒産予測モデルは開発された。それ以来、2001年3月には決算書の定量情報を所持する金融機関のニーズに応える形で試験的にデータを提供開始。これにより審査担当者は、科学的に裏付けされた一定の企業評価基準を共有することができ、例えば既存の評価方法で同じ評点を得た複数の企業に対して、どちらの倒産確率が高いかといった予測が行なえるようになったのである。

2001年7月には「倒産予測値」サービスとして本格的にリリース。リリース後は、地域金融機関向けに都道府県別で絞ったデータ提供のサービスも開始した。また、2003年6月には、一社ごとに倒産予測値と10段階に格付した予測値グレードをセットにしたサービスを提供。その後、2005年4月にはCOSMOSNETというインターネット上のサービスへのアドオンとして、倒産予測値やグレードの閲覧が可能になった。

顧客によっては、与信管理のためだけでなく、新規顧客開拓のためにデータを望む場合もある。そうしたさまざまなニーズに応え、サービスが毎年のように拡充していった結果、「倒産予測値」サービスは今や、TDBの保持する全企業の予測値を提供するフルサービス、500社までを選べるセレクトサービス、個別報告書へのオプションサービス、COSMOSNETで提供するC-モニタリングの4種類のサービスへと進化してきたのである。

「SASを利用する最大のメリットは、言わば走りながら考えられるということです。今までのように仕様を決めてその都度作っていくのではなく、できそうなことを試しながら進むことができます。SASのシステムは非常に柔軟であるため汎用機で開発するよりも安く、素早くサービスの実現につながるのです。また、サービスで利用している予測モデルは構築当初のものを現在でも使っています。社内では新しいモデルもバックアップ用に何種類か開発しましたが、毎月の検証でも安定した精度を保っているため、新しくリリースする必要を今のところ感じていません」(木村公平氏)。

ビジネスの攻めの武器として全社に浸透していくSAS

企画部でサービスの要として利用されていたSASは、TDB社内の他の部門へも浸透していった。当初のミッションは倒産予測モデルの構築だったが、データ加工や抽出など、SASのデータ処理に対するパフォーマンスの良さが認識されるにつれ、社内システム整備にも活用の道を見出したのである。
たとえば、業務推進部では、TDBの提供するさまざまな商品データベースの品質の維持管理に。経理部門では、多岐にわたるさまざまな価格の商品の仕分けデータの集計に。営業推進部では、日々の営業実績の管理と営業現場のサポートにSASが利用されている。また、システム部門でも、社内で増加の一途をたどり、散乱し重複するプログラムやデータを、SASを用いて効率的かつシステマティックに管理し、共有化するための検討を始めた。

だが、SASが評価されたのはツールとしての性能だけではない。SASのきめ細かく十分なコンサルティングやサポート体制もまた高く評価された。産業調査部では、顧客から要望の多かった数十万件規模の大量データを扱った名寄せ処理や、調査報告書に記載されている文章からのキーワード検索処理を実現したが、このプロトタイプ作成にもSASコンサルタントが尽力した。TDBの期待する成果物を予想以上のスピードで提案するSASコンサルタントの協力で、開発工程はスケジュール通りに進んでいったのである。

「また、昭和40年代から使用している決算書のデータベースを、会計制度の変更や銀行再編などに合わせて自前で作り替えなければならないという課題がありました。数年前にホスト環境で開発を試みたのですが、コストや工数、変更が及ぼす影響が莫大なため、結局なし得ませんでした。この半ばあきらめかけていたものに対して、SASを活用し、コンサルタントの方と共に取り組んだことで、最終的には再構築に成功しました。これは表面にはあまり出ませんが、弊社としては非常に意義のあることでした。SASが弊社にもたらしてくれた“革命”は、分析系だけでなく、このように商品にまで及んでいます」(小島将信氏)。

信用リスクは永遠のテーマ。さらなる高付加価値サービスを創出する。

インフラとしての人づくりが長期的な課題となっているTDBでは、今後、SASを自在に使える人材を「第二世代」として育て、TDBの可能性を広げていくことが求められている。将来の戦略決定者が、SASのポテンシャルを理解し、最大限に活かすことができるかどうかが、ひいては現場の調査員たちの集めてきたデータを無駄なく使い、活用する道でもあるのだ。データを十分に利用し、さらに付加価値の高いサービスを作り、次の新しい事業として展開すること。例えば、企業の価値や成長を計るという、より前向きな指標を今後のサービスとすることが考えられている。

「弊社が信用調査機関である限り、信用リスクは永遠のテーマです。今後も企業評価という枠の中で、さまざまなパターンのモデルを作っていきたいと思います。新しいものを作るためには、試行錯誤なくしてはできません。それを可能にしてくれたのがSASであり、ツールとしても人的サポートの面でも大きく貢献してくれたのです。今後も引き続き、私たちにとって最適なデータの扱い方や分析の考え方を具体的に紹介いただくコンサルティングなど、単に分析ツールの導入にとどまることのないSASからの提案を期待しています」(岩渕勝成氏)。

Copyright © SAS Institute Inc. All Rights Reserved.

後列:左から
・小島将信氏  企画部 研究開発課 課長
・岩渕勝成氏  同課 新事業開発担当
・木村公平氏  同課 課長補佐

前列:左から
・矢内紘之氏  同課
・田中佑樹氏  同課

株式会社帝国データバンク

課題:
日本初の定性データによる倒産予測モデルの開発、およびさまざまなユーザー・ニーズに応えるサービスの拡充。 
ソリューション:
大量データを高速に処理できるSASにより、TDBの43万社分の定性データを利用した倒産予測モデルを構築し、ユーザー・ニーズにきめ細かく対応したサービス展開も達成。
利点:
全社的なSAS利用の広まりとSASコンサルタントのサポートにより、TDB社内の業務効率化や高度化を実現。