人事データウェアハウスで、適正な『人財』管理を実現。
人事データを自由に検索・分析
総合商社として膨大な種類の商品やサービスを取り扱う三菱商事株式会社(三菱商事)では、『人』こそが最も重要な財産である。
いかにして最適な人材をそれぞれの業務に割り当てるかが、ビジネスの成否を決める重要な要素となる。たとえば、海外赴任の場合、語学力だけでなく
、異文化にうまく接し、共存していくという能力も必要になる。同社の人事部では、人という財産を管理していくために、全社員9,122人分(
1998年10月1日現在)のデータ、42GB分を格納した人事データウェアハウスを構築した。これにより、人事担当者は、全社員のデータを給与、職歴、
語学力、海外勤務経験など3,000の項目をベースにさまざまな切り口で検索・分析でき、適正な人事決定ができるようになる。
SASが、エンドツーエンドのソリューションを提供
今回の人事データウェアハウス構築プロジェクトは、人事だけでなく給与なども含めた基幹業務系の給与厚生システム(SAP HRを利用)の再構築の
一環として行なわれた。業務系システムがクライアント/サーバ型にシフトするのに合わせ、人事関連の情報系システムもホストシステムから
ダウンサイジンズしたのである。従来の人事情報システムは、追加開発の繰り返しで継ぎはぎの部分が多くあり、整合性が取れていないデータ項目もあった。また、データは業務系システムから直接ロードしていたため、エンドユーザーが非常に使いにくい形になっていた。
新しい人事データウェアハウスは、使いやすいGUIの実現も併せてこれらの問題をすべて解決している。コンセプトの確立やレビューを終え、
新システムの構築は1997年8月にスタートし、約8ヵ月で完成。1998年4月に給与系が稼動し、1998年10月から人事系も含め本格稼動する。
「SASを選択したのは、1つのツールでデータウェアハウスの管理から検索・分析までを行なえるからです。
また、SASは統計解析のイメージがありますが、最近ではビジネスデータ分析用のソフトウェアとして認知されはじめているので、
これならいけるのではと思いました」(三菱商事株式会社 職能担当役員付(部門A)部長代理 HR・人事関連システム開発チームリーダー 深沢哲男氏)。
さらに人事データウェアハウス構築において今回、システムエンジニアリングを務めた株式会社ティー・シー・エフの高橋聖美氏はSASについて
次のように語っている。
「機能の豊富さに加え、ユーザーフレンドリというメリットも備えています。いままでSASに触れたことがなくても、比較的容易に利用でき、
開発言語を使ったことのないエンドユーザーでも、3ヵ月もあればかなり使えるようになるでしょう」。
人的資源の配置分析を実現
人事データの分析は、数字ではない部分が非常に多い。社員の名前と写真データを見比べながら、家族構成や資格、経歴、免許、
語学力など、一人ひとりの情報をいろいろな角度・切り口で取り出せることが最も重要になる。
「実際の現場では、データウェアハウスから取り出した個人データだけでなく、自己申告や上司の所見・評価などを参考にしています。
あくまでも、そういった時のサポートツールとしてデータウェアハウスを使うのですが、どのように分析するのかというアイデア次第で
その価値は大いに違ってきます」(深沢氏)。
ある営業グループでこれまで海外にどのような傾向の社員を出向させてきたのか、そしてそれは成功しているのか、否かといったことなど、
各事業投資先ごとの人的資源の配置分析も行なっている。新しいデータウェアハウスでは、こういったデータ分析をデータ構造をまったく
意識することなく行なえるようになっている。さらに、検索・分析に擁する時間も、従来のシステムに比べて2〜3割削減できる。SASは、
これら一連のプロセスだけでなく、分析結果のレポート作成や、データをExcelやAccessに落として汎用的に使用していくこともサポートしている。
充実した開発後のフォロー体制
三菱商事では、海外の現地法人・支店の社長や支店長などトップマネジメントの人事は人事部主導で行なっているが、 その他の人事権は各営業グループに委譲している。今回構築された人事データウェアハウスは、社内に6つある営業グループのうち、
すでに5グループに導入されている。役員付説明会でもかなりの評価を得ている。
「どんなに優れたシステムでも、後のフォローがしっかりしていなければダメになってしまうと思うのです。トレーニングやサポート、講習会などを頻繁に行なっています。こうした開発後のフォローを充実させることで、ユーザーも旧検索システムからの移行が容易になっていると思います」(株式会社ティー・シー・エフ
システム部 部長代理 大谷和昭氏)。
人事データウェアハウスでは基本的にエンドユーザーがすべて自分で行なうEUCをめざしているが、現在、難しいプログラミングについては三菱商事太陽株式会社*に開発を依頼している。また、優れた情報や分析手法を人事担当者同士で共有化できるスペースをシステム上に設けたり、交流を深められるフォーラムも設置されている。つまり、ユーザー同士が切磋琢磨して、互いにスキルアップしていく仕組みになっているのである。
「しかし、来年3月にはサポートを大幅にレベルダウンさせる予定です。サポートに頼り過ぎてもユーザーのスキルは向上しないからです。そこで、エンドユーザーの中から数人を選びSASを使いこなせるユーザーを育て、グループ内で完全にサポートし合える体制が作れればと思っています」(大谷氏)。
今後は、今回のプロジェクトで拾い切れなかったニーズや、これから生じるであろう新しいニーズを取り入れたり、必要無いと分ったデータをカットしていく。
「データウェアハウスはこれから2年くらいかけて少しづづ成長していくでしょう。そして最終的に、各営業グループで社員データをあらゆる角度から見られると同時に、人事部では人事の全体を見渡せるような仕組みを実現していきたいと考えています」(深沢氏)。
* 三菱商事太陽:大分県にある社会福祉法人「太陽の家」と三菱商事が合弁して設立した身体障害者によるソフトハウス。
| 左から: | 株式会社ティー・シー・エフ システム部 高橋聖美氏 |
| 三菱商事株式会社 職能担当役員付(部門A)部長代理 HR・人事関連システム開発チームリーダー 深沢哲男氏 |
| 株式会社ティー・シー・エフ システム部 部長代理 大谷和昭氏 |
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