テキスト分析による情報収集力の強化

執筆: トム・サボ(Tom Sabo)、SASプリンシパル・ソリューション・アーキテクト

犯罪や不正、テロを防ぐためには、利用可能なあらゆるツールを駆使して対策を講じることが重要になります。ビッグデータが大きな役割を担う現在、ソーシャルメディアや電子メールといったコミュニケーションツールから収集される大量のデータも、調査の対象にしなければなりません。ここで課題となるのは、データを効率的に分析して犯罪を示唆するパターンを探り出すことです。

法執行機関のデータ統合によって高まる情報精度、タイムリーな情報を活用した予見力

米国議会が不正防止のためにアナリティクスのパワーに注目していることは、Fraud Reduction and Data Analytics Act(不正削減・データ分析に関する法律)の取り組みからも明らかです。では、なぜアナリティクスなのでしょうか?
一言でいえば、高い効果が期待できるからです。

ソーシャルメディアは、特定の事象やその発生状況、人物や組織間の関係、さらには勧誘戦術など、重要で関連性が高い膨大な情報を情報機関にもたらしています。

米国保健福祉省のメディケア・メディケイド・サービス・センターでは、不正防止を統制する機能としてアナリティクスを拡張した結果、不正防止システムの投資対効果(ROI)が284%にも達し、さらには2014年度の連邦不正支払率(英語)を総合で4%低減できると期待されています。この4%は、金額で1,250億ドルもの不適切な支払に相当します。連邦の監査担当部局は、アナリティクスを導入することで構造化データと非構造化データの両方を分析し、不正や不適切な支払の流れを断絶できるようになっています。

アナリティクスは、防衛、情報・諜報、法執行機関にも高い価値をもたらします。国土安全保障省は「National Critical Infrastructure Security and Resilience Research and Development Plan」(全米の基幹インフラの安全性と強靱性に関する研究開発計画)の中で、データ・サイエンスおよびアナリティクス活用を促進することの必要性を指摘しており、そのための優先課題として、拡張性に優れた統合的なリスク評価・管理アプローチの確立、安全で強靱なインフラを支える統合型かつ予防型の機能・テクノロジー・手法の開発、データ・サイエンスを活用した状況認識の一元化と因果関係の把握を挙げています。

こうした動きは情報機関が使用するツールに関しても同様であり、情報機関はテロリスト集団とのグローバルな闘いにおける新たな優位性の獲得を積極的に推進しています。その中でもソーシャルメディアに対する膨大なテキスト分析は、新たな武器となりうるものです。

軍の指導部の例では、多国籍軍によって共有される情報とともにソーシャルメディア・データを活用することで、敵の拠点を特定し、早期警告やリアルタイムのアラートを生成して状況認識を改善することに成功しています。ソーシャルメディアは、特定の事象やその発生状況、人物や組織間の関係、さらには勧誘戦術など、重要で関連性が高い膨大な情報を情報機関にもたらしています。Twitter、ブログ、ニュースサイトなどで高い頻度で飛び交う膨大な書き込みは、貴重な情報源となる可能性を秘めていますが、それを実際に有効に活用するのは極めて困難な課題でもあります。

ソーシャルメディアの規模とそのスピードを考えれば、そのすべてを情報機関の分析担当者が手作業で読み解くのはまず不可能です。情報機関としては、まずこれらの情報をすべてアナリティクスによって分析し、フレームワークに取り込むことで、特定のミッションに関してどの情報が的確性、一意性、関連性が高いかの振り分けが必要となります。このアナリティクス・フレームワークが目的に沿った洞察を導き出し、また不要なノイズデータが除外されることによって、分析担当者は最も関連性の高い情報の精査に注力できるようになります。

ただし、ソーシャルメディアに対するテキスト分析の適用は、あくまで部分的な対応です。なぜなら、IT分析担当者にとって、ソーシャルメディア・データを従来から使っている他のデータソースと統合することも重要だからです。

例えば、ソーシャルメディアからの情報によって、ある地域の人々が特定の建設現場を話題にしていることが明らかになったとします。話に参加している個人はそれぞれ別の場所に住んでいる人々ですが、その書き込みは大きな構造物が建設中であることを示唆しています。これは何らかの計画が進行していることを示す兆候かもしれません。そこで分析担当者は、特殊な可視化手法(OIRDSなどのマッピング・テクノロジー)を使って、話題になっている構造物が実際に建設中であることを確認します。情報機関の幹部は、この知見から何かが起こりつつあり、潜在的に危険な活動を早期に知ることができます。

強力なコンピューティング機能によって、テキスト分析は高度なインテリジェンスを提供する反復可能な極めて効果的なアプローチを通じて、人のインテリジェンスの限界を補完します。国家の安全保障に対する脅威が止むことはありません。ソーシャルメディアとテキスト分析は、軍と情報機関によるテロリスト活動の監視と阻止に広く活用されるようになっています。多くのデータが毎日オンライン化されている以上、インテリジェンスのこうした側面は今後もさらに成長し続けるでしょう。

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