顧客中心型ビジネスとビッグデータに共通するものとは?

執筆:Anna Brown

将を射んとせばまず馬を射よという言葉がある。組織の複雑性をまず理解しないことには、ビッグデータを意のままに操ることは不可能だ。

去る5月、オランダのアムステルダムにおいてSAS主催のイベントPremium Business Leadership Series(PBLS)が開催され、登壇した独アリアンツ・グループのラルフ・シュナイダーCIOは、「複雑性にスケーラブルな対応はできないが、その管理はスケーラブルにできる」と述べた。アリアンツ・グループはドイツのミュンヘンを拠点とする大手グローバル金融グループで、約70カ国、7800万人の顧客に生命保険、損害保険、資産運用、銀行業務分野において金融サービスを提供している。

金融機関にとって、顧客データを一年あるいは 四半期に一度見直せば次の意思決定ができるという時代は完全に終わった。保険業者は、顧客や市場の状況をリアルタイムで把握し、リスクの評価や商品の価格設定、適切なオファーの提供をしなければならない。シュナイダー氏は、世界中のアリアンツ・グループ会社でIT基盤を標準化することによりこれを実現している。その背景にあるのが、同社が導入したビジネス・インテリジェンス、ビジネス・アナリティクス・ソ リューションによるサービスセンター、プラットフォーム、アプリケーションの共有化だ。

CIOが主導する一体型のアプローチときくと、各部門のリーダーは使い勝手が悪くなるのではないかと不安を覚えるかもしれない。「各システムはローカルですが、データを管理するプラットフォーム環境はグローバル共通です。このやり方で複雑なデータのスケーラビリティを確保しています。」とシュナイ ダー氏は説明する。アリアンツでは、各社員が同じデータセットを使用する。各専門業務のデータに関しては別のウェアハウス、データマートに格納できるようにしていながら、アクチュアリーとアンダーライターは同じデータセットを使用できるのだ。

リアルタイムへの掛け橋

アリアンツのデータを標準化させるため、シュナイダー氏は、High-Performance Analyticsを利用したリアルタイムマーケティングを推進した。顧客に最適な旅行保険をオファーするには、顧客から得たデータ(ポータルサイトから のフライト予約など)を高速処理し、顧客にマッチした保険情報を瞬時にポップアップさせることが必要となる。さらに、オファーに対する結果を今後に生かすため、フィードバックループを構築することでオファー内容を常に改善していくことも必要だ。年間110億ほど提供されるオファーのうち、実際に申し込みに 至るのはわずか2パーセントほどだというが、アリアンツのビジネスは年間35パーセントの成長を遂げている。シュナイダー氏は、「ビジネスチャンスはたくさん潜んでいます。アリアンツは、分析により各顧客のニーズに迅速に対応することでそのチャンスをつかみ、さらなる成長を続けていきます。」 と語った。

グローバルBIの3大構成要素

High-Performance Analyticsは、アリアンツ社において、次の3つのエリアでも重要な役割を果たしている。

  • 顧客との対話の最中に、最適なオファー、アドバイス、あるいはサービスを引き出すための質問を見つける。事前に用意された質問集では十分な答えを得ることはできない。上級管理者は、これを実現できるような柔軟かつ直感的な分析システムを望んでいる。
  • 顧客生涯価値の定義を含む、顧客ポートフォリオの価値を高める方法を発見する。
  • データに基づいて不正請求対策をする。アリアンツの費用の7割は、保険金の支払いにあてられているため、必然的に重点を置いて取り組む必要がある。「これまで不正検知は、経験と勘に基づく直感で行われることがほとんどでしたが、今日その直感は、データによって支えられています」とシュナイダー氏 は語る。

アリアンツは、SASが4月に開催したSAS Global Forum 2012において、SAS Enterprise Excellence Awardを受賞している。授賞式においてシュナイダー氏は、変化する情勢にについて、「アリアンツの戦略は、組織の規模、スキル、スコープの活用にあります。リアルタイムな対応がゲームを大きく左右します。顧客は即座に満足できる結果を期待していますから、サービスをリアルタイムで提供することは必須条件です」と まとめた。

今回のイベントでシュナイダー氏はさらにこの話を展開し、「今日のグローバルデジタルワールドの複雑性に、プラットフォームとリアルタイム分析で対抗するにあたって、まず標準的な分析から始めてみてもよいでしょう。しかし、進むべき道は、High-Performance Analyticsです」と語った。

リアルタイム分析についての詳細は、ホワイトペーパー「In-Memory Analytics for Big Data」をご参照ください。

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