IoTとは何か ~その活用と導入事例~

モノのインターネット(以下、IoT : Internet of Things)が話題です。インターネットに接続された自動車、家電、スマートフォンなどのデバイスが絶え間なく生成するデータを、企業が適切に管理・分析することができれば、大きな価値を得られるためです。SASが開催したIoTセミナーでは、トランスペアレントクラウドコンソーシアム(略称 : Tクラウド研究会)の立ち上げを、同研究会の会長江崎 浩先生と共に主導した、大阪大学サイバーメディアセンター准教授を務める株式会社インテック先端技術研究所の中川 郁夫氏が、国内外の最新事例を紹介し、IoTの本質について語りました。

IoTは、大きな話題になっていますね。

私たちがトランスペアレントクラウドコンソーシアムを立ち上げた2012年には、M2M(Machine to Machine)と呼ばれていましたが、今ではIoTという言葉のほうが浸透していますね。デバイスとクラウドが連携して、新しいビジネスが生まれるという考えは、すでにいくつかの成功事例を生み、現実のものになっています。
アント・サイズ・チップ(蟻のような大きさ・軽さのチップ)をご存知でしょうか。電磁波給電のため電源不要なチップで、スタンフォード大学で研究されています。その単価が1円を切れば、極めて小さなデバイスにもチップを搭載できるようになり、爆発的に普及すると考えています。

現在のIoTで、海外の最新事例に面白いものはありますか?

Nest社の事例が有名です。Nest社は、スタイリッシュでインテリジェントなサーモメーターのメーカーです。家庭にNest社のサーモメーターを設置して使用することで、デバイスが家族の生活スタイルを覚え、インターネット経由で最も安い電力を発注し、最適な室温を維持してくれます。Nestは家の中の電力制御を自動化することにより、街全体での電力消費量のピークカットを実現するなど、エネルギーセクターのコスト構造にも大きな影響を与える可能性を持っています。Nest社は、Googleに買収されました。クラウドの巨人も、IoTの価値を高く評価しているのです。
ディズニーランドのマジックバンドも面白い取り組みです。クレジット・カード情報や個人情報を登録しておくことで、園内でパーソナライズされたサービスを受けることができ、デバイスをかざすだけで支払いも行えます。ホテルの部屋を解錠したり、ファストパスの機能を果たしたり。来場者がさまざまな「マジック」を体験できる、楽しい試みと言えるでしょう。

国内ではどうでしょう?

ICカードを使った取り組みは、日本が最も進んでいます。Suicaで購入できる自動販売機は、最近多く見かけますが、そこにもIoTがあります。購入者のある程度の属性がわかりますから、設置場所に合った品ぞろえにすることができます。ある販売会社からは、自動販売機の設置台数が変わらないにもかかわらず、売上50%増を達成したという報告がありました。
オムロンとNTTドコモが合弁で設立したドコモ・ヘルスケアによる、「カラダのキモチ」も、優れた国内のIoTサービス事例です。2013年6月のサービス開始後、わずか3カ月で30万ユーザーを集めたこのサービスは、利用者に基礎体温や体調を毎日送信してもらい、データ分析の結果、おすすめの食べ物や体と心のケアアドバイスを提供するというものです。

IoT Image

IoTは、今後発展していくのでしょうか?

ガートナーのハイプ曲線で、IoTはちょうど期待のピークの位置にあります。その後、実際の評価にさらされ、さまざまな失敗事例が報告され、期待は急速にしぼむことになるのですが、本当に価値のあるものは、必ず生き残って再び成長局面を迎えます。IoTは、世の中を変えるさまざまな成功例を生み出すでしょう。何度も失敗するかもしれませんが、そこには成功の種があります。すでに成功事例も数多く報告されていますから、そうした体験を参考に、IoT時代に自社の強みをどう生かせるかを考えることが大切です。

データ分析は、IoTにとってどんな役割を果たすのでしょう。

コピー機のトナーが切れかかると、ネットワークを経由して状況が送信され、販売店が補給してくれるサービスがあります。これも、広義にはIoTと言えるのですが、データ分析がありません。デバイスが大量のデータを送信し、受け取って蓄積したビッグデータを分析し、価値のある情報として役立てる。Analyticsを入れてこそが、IoTのあるべき姿なのです。IoTの本質は、Analytics of Thingsであり、データ分析をどう実現するかあるのでしょう。SASの活躍の場が広がることを期待しています。

Back to Top