オーランド・マジックのCEO、ビッグデータの価値について語る

データが大量に生産される現代、経営会議室での意思決定にはバスケットコートでの意思決定と同じスピードが求められる。まばたきした一瞬の間に、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性もあるからだ。

SASのCMO ジム・デイビスは、オーランド・マジックのCEO アレックス・マーティンズとスポーツにおけるアナリティクスの重要性について語り合った。ゲームの質を改善するために、あるいは顧客との関係を改善するためにデータ分析を利用することについて、マーティンズは、価値ある機会を逃さずに正しい判断を下すための好機であり、プレッシャーでもあると受け止めているようだ。

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オーランド・マジックCEO アレックス・マーティンズ(Alex Martins)

ジム・デイビス: アナリティクスによって、あなたのビジネスはどう変わりましたか?

アレックス・マーティンズ: われわれはデータ分析のアプローチを何年も前に導入しました。データ分析は、顧客に対するより良い理解や、チケットの価格設定などのビジネス・プランニングに役立ちます。データ分析を利用すれば、試合ごと、年度ごとのデータを読み解き、それぞれの試合、それぞれの座席を基準にして、オンデマンドな形で理想的なビジネスプランを立てられるようになるのです。

たとえば、データ分析を使ってチケットの売上を予想できますし、試合の進め方を変えることもできます。まさに、映画になった「マネーボール」の世界です。監督とデータ分析チームは、コートで動き回る選手を含め、試合の全局面を俯瞰します。データを分析して、相手チームの攻撃に対してどうすれば理想的なディフェンスを行えるか予測するためです。すでに、「ある試合における最も能率的な出場メンバーのラインナップは?」、「どのチームが他のラインナップに対して多く得点できるだろうか?」、「どのチームが他よりもディフェンス面に優れているか?」とシステムに問いかけられるようになりました。

かつては、試合レポートを手作業で作成していました。明日の試合に備えて、夜中に5時間もかけて作っていたのです。今はマウスを5回クリックするだけ。わずか数分でスタッフが活用できる何十ものレポートを作成することができます。分析は、われわれのやり方をよりスマートにしてくれました。

デイビス: マーティンズさんにとってビッグデータとは何ですか?

マーティンズ: ビッグデータによって、顧客をより深く理解できます。顧客それぞれの好みを総合して、試合やイベントをカスタマイズすることができるのです。また、ビッグデータは、年度、試合、あるいは時間単位で、特定の座席に対する需要を判断する、といったビジネス予測にも役立ちます。以前はスタジアムのロウアー(1階席)対アッパー(2階席)といった形で指定席の価格を設定していました。現在は、セクションとして席をとらえるのではなく、ビッグデータに基づいて個別の席に対する需要をつかめます。ビッグデータは、試合や対戦相手によって何を価格の計算に入れるべきか線引きすることを支援してくれます。

さらに、ビッグデータはわれわれのビジネスを進化させる予測にも活用できます。なぜなら、ビッグデータはわれわれにビジネスモデルをより良くする提案をしてくれるからです。SASは顧客のニーズ、チケットの用途、シーズンのイベントと相互に影響する商品購入など、それ以外にも多くの面で、ビジネスの進化を支えてくれています。

デイビス: あなたが重大な決断を下す際に、根拠にしているものは何ですか?

マーティンズ: われわれのビジネスは、シーズンチケットを購入してくれる顧客がコアになっていて、彼らを毎シーズン1万組確保しようと努力しています。毎晩のように、チケットを売るために最善の手法はどういうものかと考えなくてはなりません。過去には1年を通したセールスレポートと定期的に顧客と情報交換するタッチポイントプログラムを活用していました。現在は、データ分析によって完璧な状況を作り出せます。今や、われわれは彼らのお気に入りの選手がだれかを把握していますし、ライバルに差をつけるような魅力的なプランを彼らに提案することもできます。スコアリングモデルを通して、リセールオプションを提示したり、顧客の1人ひとりにとって魅力的なオプションを販売したりすることもできます。われわれの成功は、予測モデリングのおかげです。

デイビス: あなたは最良のデータレポジトリ、最善のソリューション、最速のプラットフォームを利用することができます。ただ、組織文化の課題に折り合いをつけられない限り成功はできません。組織がソリューションの導入にあたって直面する課題とはどのようなものですか?

マーティンズ: 乗り越えるには、組織のトップが信念を持ち、課題を引き受けなければなりません。分析チームが自分たちのアプローチを成長させるために必要だからです。NBAの他のCEOたちは、導入を遅らせ続けています。われわれの組織にいる多くのエグゼクティブやコーチたちは、導入プロセスによく順応してくれました。「この選手はデキるやつだと直感する」という意識によるアプローチは、データのサポートがなければ受けいれ難いものです。われわれのチームは利益につながるモデルや予測を発展させています。人々にデータ分析を信頼させるためには、証拠になる例をいくつか挙げられれば十分です。分析チームは、CFOにもレポートを提供しています。われわれは隔週で会って状況を確認し、将来何が必要になるかを検討しています。課題を乗り越えようとする者は、組織の上から下まですべてを俯瞰して、組織のすべてを変革する必要があるのです。

デイビス: High-Performance in-memory Analyticsによって、何億行というデータをインメモリで読み込み、プロセシングにかかる時間は1時間単位から分単位にまで短縮してきています。このようなテクノロジーの進化はあなたの組織に何をもたらすでしょうか?

マーティンズ: リアルタイムにデータを得ることはわれわれのデータ分析を成長させる次の段階です。試合当日に、どのチケットが売れ残っているか、そして販売可能なチケットのもたらす利益を最大限に引き出すためにどうすれば良いか判断して行動するためにも、リアルタイムに入手できるデータは決定的な価値を持ちます。われわれは、今まさに大きな技術の変化とその技術需要をベンチから眺めていて、試合がどのように進んでいくかを見ることになるでしょう。ひょっとしたら次のシーズンが始まってまもなく、コーチたちがiPadでリアルタイムにデータを見ながら、相手チームが何をしてきて、それに対してどんな対策をとればよいかを検討しているのを目にするかもしれません。それは、将来必要になることなのです。

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