ソーシャル・メディアで犯罪と戦う

~分析技術が変える司法・警察の捜査手法~

執筆:Joanne Taylor, DIRECTOR OF PUBLIC SECURITY

ソーシャル・メディアの爆発的な普及で、近年の私たちのコミュニケーション方法は、劇的に変わった。Digital Insightsの最新の発表によれば、Facebookの利用者は全世界で11億5000万人を超え、Twitterの利用者は5億人以上。現在、42億人もの人々が、モバイル機器からソーシャル・メディアにアクセスしている。そして、これらの数字以外にも、注目すべき点は多い。

ソーシャル・メディアの登場により、人々の考え方は変わり始めている。ソーシャル・メディアは、社会情勢をただ反映するだけでなく、社会の動きそのものを作りだす。最初は単純なコミュニケーションの手段としてとらえられていたサイトが、今や活動家たちが意志を共有するチャンネルとして機能している。そのようなチャンネルが、政府を転覆させるほどの力を発揮する。

ソーシャル・メディアの力を理解する

ソーシャル・ネットワークを通じたコミュニケーションに、国家が巻き込まれることもある。2010年に始まり、現在も進行中の「アラブの春」において、ソーシャル・メディアは間違いなく主要な原動力のひとつだった。中東や北アフリカ地域では、アラブの春の勃発以来、ソーシャル・メディアの利用者数が急激に増加している。

テクノロジーは、ソーシャル・メディア上で交わされる大量のやりとりを分類し、その中から規則性や感情を読み取る作業の中心的な役割を果たすだろう。

2011年夏、イングランドの複数の都市で同時多発的に暴動が起こった際は、大規模なアクションを引き起こすソーシャル・メディアの力が注目された。しかし、問題の本質は、英国の暴動のように広く報道される出来事よりも深い部分にある。ソーシャル・メディアは日々、一般的な犯罪の温床になっているのだ。犯罪の内容は、特定技術の漏えいからギャングの起こす犯罪、テロリストのメンバー勧誘など多岐にわたる。

各政府機関も、ソーシャル・メディアを利用した犯罪の増加にようやく気付きはじめた。私たちはもはや、この状況の傍観者であってはならない。ソーシャル・メディア上のやり取りを頻繁に監視すれば、大量のデータから有用な知識を引き出すことができるのだ。

現在、国・地域や国家、国際的な組織を含むあらゆる捜査機関では、ソーシャル・メディアの監視に携わる人員の増強に乗り出している。ただし、それらの機関が利用しているシステムは、基本的な機能しか備えていない場合が多く、その監視手段も、時間やリソースに大きく左右される。これらの要素に制限されてしまい、多くの組織が、ソーシャル・メディアから引き出せるはずの情報を利用できずにいる。

解決策とは

応用分析を使うことで、ソーシャル・メディア上に氾濫する大量の情報をふるいにかけ、犯罪と関連性の高い情報だけを 抽出することができる。たとえば、「だれがだれに対して何を言ったか」など、互いに関連した内容を特定することや、ある行動の規則性や影響を監視すること も可能だ。

ソーシャル・メディアに特化した分析では、「大量の情報から重要な部分にフォーカスする」という特殊な機能が必要になる。

Message

テキスト分析は、自然言語で投稿された文章の意味を理解し、多言語に対応する。ソーシャル・メディア上で急速に使用頻度が伸びている言葉の特定も可能だ。 この機能は、各投稿の意味や内容、参照先、意図などを継続的に監視する上で必要になる。こうして、特定の存在について何が言われているかを理解した上で、 さまざまな投稿やメッセージを抽出し、有意義な形で比較することも可能になる。

Balloon

ソーシャル・メディア分析は、人や場所、地名などの特定の「存在」を自動的に抽出して関係性を読み解き、互いの関連やある出来事の文脈を理解する作業にも役立つ。

Group

「人々がどのようにつながっているか」「あるグループの中心はだれで、どのようにグループにかかわっているか」など、ソーシャル・メディアの背後にある人 間関係の理解にも、ソーシャル・ネットワーク分析が役立つ。カギになる人物に的を絞り、注目すべきリソースを最も効果的に割り出すことが可能だ。

Heart

センティメント・アナリティクス(感情分析)は、投稿される文章に表れる感情を評価・監視し、投稿者の態度の変化を察知することで、投稿者が特定の行動に 移る兆候を見逃さないようにする。テクノロジーを利用した監視を続けることで、各リソースから特定の脅威が高まる様子が検知された際、それを妨害すること が可能になる。

データの山を制覇する

経済情勢が厳しさを増す状況において、新たなリソースの確保に予算を注ぐことは難しい。既存のリソースを賢く利用し、スタッフがデータ不足で立ち往生する前に、分析を通してより多くの価値を引き出す作業に集中する環境をつくる必要がある。テクノロジーの進化によって、すぐ行動に移せるレベルの知見がネットの世界から取り出せる時代になっているのだ。

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