米財務省

財務データを統合し、月次決算を3営業日で完了

米国連邦議会の決定によって、1789年に設立された財務省は、米国経済のみならず世界経済の繁栄と安定を推進することを使命としている。さらに、米政府の財務および財務システムの管理も担当しており、財務管理局(FMS)がその役割を果たしている。

今から遡ること100年以上前、政府が国民生活に多大な影響を与える重大な決断をする際に、信頼性と完全性の高い財務データに瞬時にアクセスできる体制を整えようという機運が高まり、1990年、議会は首席財務官法を可決した。同法は、他の数々の事案に加え、財務情報システムの改善と、会計情報と予算情報の統合を目指す、としていた。この新たな責任とともに、予算システムと会計システムの統合を余儀なくされた財務省は、この壮大なニーズを満たすためのテクノロジーを備えたソリューション探しに着手した。そして、SASに白羽の矢が立ち、SAS Financial Managementソリューションの導入が決まったのだ。

他の政府機関と同様、財務省にも数多くの下部組織が存在する。国債局、国税局(IRS)、造幣局、通貨監査局といった専門業務を担当する“専門機関”と“本部機関”の二部構成になっている。その結果、省内には、それぞれの機関が独自に利用している数々のレポーティング・システムが混在していた。


2001年3月、財務省は、局横断の財務報告書作成に関して初の無限定適正意見を得ることができました。同時に、財務省がテクノロジーを活用し、プロセスの改善を図ることは納税者の利益に繋がるとの指摘も受けました。

Steve App氏
米財務省 前副首席財務官

データ抽出の簡略化を目指して

行政管理予算局は、財務省に月に1回、6つの局を統合した財務報告書を作成することを義務付けている。そこで財務省は、各局が使用している会計システムから、それぞれの財務データを抽出し、省内の財務データウェアハウスとして機能するTIER(Treasury Information Executive Repository)にすべてのデータを集めなければならなかった。

当初、報告書は、各局が作成したスプレッドシートをもとにして、副首席財務官の直属スタッフが集計作業を行っていた。しかし、こうした情報を効率的に処理するための定法は決められていなかった上に、この財務報告書作成作業は、フルタイムの経理担当者2名がかかりきりで担当するほど手間隙のかかるものだった。それでも時間的制約とリソース上の問題から、手作業に頼るしか方法がなかったという。そのしわ寄せによって、詳しく業務を分析する時間を取ることもできず、洞察にもとづいた適切な判断も難しい状態に陥っていた。

それにも増して、各グループから月次で上がってくる財務データを集計し、局別の年次アカウンタビリティ・レポートを作成して大統領と議会に提出しなければならない。このプロセスでは、別々の情報ソースや異なるフォーマットから得た大量のデータを処理・分析し、次々と集計値を生み出していかなければならなかった。本部組織には、より簡単に、TIERから精度の高いデータを取り出すための方法がどうしても必要だったのだ。

SASがデータ統合と情報活用を提案

財務省は、年次報告書や月次レポートを作成し、財務データを分析するという目標を実現するための方法について、ある程度のアイデアをもっていた。まず、OLAPのレポーティング・モデルを構築すれば、それを利用して、類似したフォーマットのレポートを短時間で作成できるのではないかと考えたのだ。

OLAPについて簡単な説明を受けた時点では、財務省は「スライス&ダイス分析」の機能を使って財務データの山に手を加えるだけで分析や数値比較が可能になり、省が望むレポーティング・ニーズを十分に満たすことができると考えていた。しかし、SASの導入チームは、OLAPのテクノロジーを利用することは正しい選択だと認めた上で、OLAP機能だけでなく、洗練されたウェアハウス戦略や最先端の分析・統計ツールをシームレスに統合すれば、より高度な分析を行うことができると提案した。

既に財務省では、財務予測と統計分析のためにSASの分析機能を利用していたこともあり、SAS Financial Management ソリューションの導入はスムーズに終了した。 SASは早い段階から、予測ツールを使えば、財務省がSASに導入を切望していた意思決定支援システムを補完することができ、早期にROI(投資対効果)を回収できると勧めていたと、前副首席財務官であるSteve App氏は振り返る。

「2001年3月、財務省は、局横断の財務報告書作成に関して初の無限定適正意見を得ることができました」とApp氏は語る。「同時に、財務省がテクノロジーを活用し、プロセスの改善を図ることは納税者の利益に繋がるとの指摘も受けました。」

そして財務省は、2002年3月には、そのとおりの成果を上げたのだ。始まりは2001年4月、財務長官が財務省に対して、それまで20営業日を要していた月次決算を、2002年6月までに3営業日で完了させるようにと指示したことだった。さまざまな業務を再点検し修正して、財務省はこの目標を何とか達成した。

年次業績報告書が完成し、年次決算・監査・提出という手順をふんで、2002年11月15日には遂に無限定適正意見を受領した。これは、行政管理予算局が全政府機関に、対応の最終期日として示した日付より2年も早い達成だった。さらに財務省は、2003会計年度の財務報告書も11月15日に完成させ、これについても適正意見を受けた。

当然ながら、今では副首席財務官の直属スタッフが何週間もかけて財務レポートを作成するということもなくなった。重要な意思決定のために必要とされる各種レポートは、SASによって、ほぼオンデマンドで提供されている。

「SASを使って予算モデルと会計モデルを開発するという段になって、おそらく初めて予算担当と会計担当が一同に会したのではないかと思います」とApp氏は言う。「その後何年間も一緒に働くことになりましたが、予算と会計の業務がどのように相互に影響し合っているかについて、双方の担当者が議論したのは初めてのことでした。こうした経験がきっかけとなって、互いに相方の仕事を正しく認識し、評価することができるようになったのです。」

United States Department of the Treasury

課題

各局から上がってくる形式の異なるレポートを集計し、財務報告書を作成する

ソリューション

SAS Financial Management ソリューションを利用し、手間をかけずに迅速なレポート作成が可能となった

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