東京理科大学

統計解析の素養を身につけた200人以上の人材を輩出
―高度なSASスキルを手に、医療統計の現場へ―

―高度なSASスキルを手に、医療統計の現場へ―

東京理科大学は、SASの教育機関向けライセンス「SAS® Academic Program」を導入している。このため、学生および教職員はSASソフトウェアをいつでも自由に利用できる環境にある。医薬統計を研究テーマとする工学部経営工学科 浜田研究室では、すべての学部生・院生がSASプログラミングを利用した統計解析に取り組み、研究論文を作成している。浜田 知久馬氏にとってもSASは研究活動に欠かせない存在だ。使い慣れていること以上に、広範な統計手法をカバーし、プログラム記述後の再利用性に優れていることを評価している。

重要な研究成果の裏にSASの存在

東京理科大学は、8学部33学科、11研究科31専攻を擁する日本最大級の理工系総合大学だ。「理学の普及を以って国運発展の基礎となす」という理念のもと、1881年に創設された同大学の伝統として受け継がれているのは徹底した「実力主義」。真の実力を備えた学生だけを卒業させる教育方針を貫く校風は社会から評価されており、卒業生の就職率は高い水準を誇る。

同大学の工学部経営工学科は、人間・情報・数学を基礎教育の柱とし、人間・情報工学、およびシステム数理工学分野の高度な専門知識とコンピュータ技術を身につける場だ。1~2年次に経営工学の基礎を学び、3年次に専門科目の履修、4年次に卒業研究を行う。同科には、1~4年の学部生約400人が在籍し、大学院の修士課程(M1/M2)には約60人、博士課程(D1/D2/D3)に約20人の学生が学んでいる。

工学部経営工学科 教授 浜田 知久馬氏は、ユニークな経歴を持つ。東京理科大学 薬学部製薬学科を卒業後、大学院で経営工学科を修了。1989年より民間企業でSASを用いた統計解析・臨床開発業務に携わった。その後、アカデミックな世界へ戻り、東京大学医学部薬剤疫学講座助手に就任。東京大学で博士号(保健学)を取得し、京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻の助教授を経て、2008年より現職に就いている。

同氏とSASの出会いは、25年以上も前のことになる。当時、SASの日本語の教科書はなく、英文で書かれたマニュアルを読み込むことになった。東京大学大学院 教授 大橋 靖雄氏(現職。当時は講師)の指導を受け、統計解析の基本からSASプログラミングを用いた高度な統計解析に至る知識・ノウハウを学んだ。

浜田氏は、「修士の1年間、東大に出向いて研究した際に、約3,000人の糖尿病患者のデータから導いた生存時間解析を行い、修士論文にまとめるためにSASを学びました。このデータを解析できたのはSASのおかげ。以来、私のやってきたすべての仕事はSASを使ったものです」と語る。

修了後に就職した民間企業では、入社してすぐにSASプログラミングを命ぜられたところ、上司が作業期間として1カ月程度を見ていたにもかかわらず、修士研究の成果でわずか1時間で終わらせてしまった。その後、社内のSAS関連の仕事を一手に引き受けるようになったが、それでも余裕があったという。余った時間は、業務の一環としてSASの勉強に充てた。在籍した約4年間で、浜田氏はさらなるSASスキルを習得することになった。

修士学生によるマンツーマン指導で統計解析の基本を学ぶ

現在、浜田氏は自身の研究室で学生を指導しながら、2年次の必修科目である確率統計の講義も担当している。この講義は、座学が中心。ハンズオンでSASを学ぶことはないが、学生は統計手法の基本原理や応用方法などを習得する。工学部経営工学科では卒業論文が必修になっており、学部生は3年次からゼミに参加することになる。2年で受けた講義で興味を持った学生は、医薬統計を研究テーマとする浜田ゼミを志望するケースが多い。研究室は、これまでに学部生と院生を合わせ、研究を通じて統計解析の素養を身につけた200人以上の学生を輩出してきた。

研究室に所属する学生は、全員がデータを扱うため、SASの知識やノウハウが必須になる。そこで、浜田ゼミでは、SASインストール済みの高性能のノートPCを所属する全学生に支給する。卒業論文では、主に経営工学と医薬統計の学問分野を扱う。テーマは大きく、統計デザインと解析の方法論に関する理論的研究と公的統計データを使った実証研究に分かれる。

とはいえ、研究室に入ってくる学生は、はじめからSASの知識を持っているわけではない。まずは、データに親しんでもらうことや、統計解析の面白さを知ってもらうことに重きを置くのが浜田氏の方針だ。たとえば、プロ野球選手の年俸の決定要因を明らかにして年俸の予測モデルを作成するなど、身近なデータを用いた分析を演習形式で行う。それと並行し、学部生は修士課程の学生からデータの扱い方や、SASを利用した統計解析の基本についてマンツーマンの指導を受け、知識を深めていく。

世界的な研究論文の作成にSASを使うのは常識

1年間、SASを学んだ学生は、ある程度SASを使えるようになる。その過程で、それぞれの適性もわかる。4年生になると卒業研究がスタートするが、浜田氏はテーマを決めることからサポートする。

浜田氏は、「私の役目は、学生の能力に応じて学生が挫折することなく上れる階段の高さを正確に見極めてあげることです。学生の研究テーマに応じた解析モデルは私は数十分あれば作れますが、答えはすぐに教えません。学生が自力でステップアップするためのヒントを段階的に提示してあげて、最終的にSASによる統計解析を独力で行わせます」と語る。

こうしてスキルを身につけた学生たちは、製薬会社・医療機関に就職し、医療統計の現場で働くケースが多い。巣立った学生は200人を超える。いまや国内に、浜田ゼミ出身者のいない製薬会社はないかもしれない。浜田氏は、卒業生とも交流を重ね、講演会やSASユーザー総会で弟子たちに会うのを楽しみにしているという。

そして、浜田氏自身の研究においてもSASは不可欠な存在になっている。同氏がSASを使い続けるのは、単に使い慣れているからだけではない。SASが広範な統計手法をカバーし、一度、プログラムを記述すれば、反復の解析作業をすばやく正確に実施できる再利用性を高く評価しているためだ。SASは統計解析のデファクト・スタンダードとして国際的に認知されている。フリーの統計ソフトウェアが解析結果の品質を保証できないのに対し、SASは厳格な品質管理によって解析結果の信頼性を担保している点も大きい。

浜田氏は、「世界の一流の研究論文はSASの統計解析結果をベースに作成されるのが常識です。つまり、SASを学ぶことは研究活動に必要な一生ものの技術を習得するプロセスそのものと言えます。近年は、特にビッグデータが重要な研究分野として脚光を浴びています。これからの日本の若い研究者には、大規模なデータ処理に関する方法論を研究対象として世界をリードする成果を生み出していくことが求められるでしょう」と話している。

Tokyo University of Science
写真 : 東京理科大学 工学部経営工学科 教授 浜田 知久馬氏

課題

(研究テーマ)

  • 医薬データの統計解析

ソリューション

アカデミックサイトライセンス

Back to Top