鈴鹿医療科学大学

IR推進によるデータにもとづく意思決定基盤にSAS® Visual Analyticsを採用

鈴鹿医療科学大学は、IR(Institutional Research)活動を支える情報基盤にSAS® Visual Analyticsを採用。学内に散在していたさまざまな情報をこの基盤に集約し、IR推進室メンバーが自由に分析できるようにしたことで、データにもとづく活発な議論を交わす土壌が出来上がった。IR推進室が学長直下に置かれ、迅速な意思決定を実現できていることも、改革を加速させている。

SUZUKA UNIVERSITY OF MEDICAL SCIENCE
大量データを高速に扱える上に、相関分析やグラフ化などの機能面も充実するSAS Visual Analyticsは、IRにおいて科学的な意思決定をするために欠かせない存在です

豊田 長康氏
鈴鹿医療科学大学 学長

しっかりとしたデータを示すことが最強の説得

鈴鹿医療科学大学は、「科学技術の進歩を、真に人類の福祉と健康の向上に役立たせる」を建学の精神として1991年に開学した。日本で初めての4年制医療系大学として注目を集め、その後新設された医療系大学に少なからぬ影響を与えてきた。現在は、5学部9学科2研究科で約2500人の学生が学んでいる。教育理念は、「知性と人間性を兼ね備えた医療・福祉スペシャリストの育成」だ。

同大学のIRへの取り組みは、スピード感にあふれたものになった。学長 豊田長康氏は、「私の着任した2013年に、すぐにIRとEM(Enrollment Management)の必要性について議論を始めました。ただし予算化するためには理事会の承認が必要で、その準備段階にあったわけです」と振り返る。

豊田氏は、学長就任前に「国立大学病院データベースセンター」の立ち上げと運営に関わった経緯から、新任地の大学においてもIRを推進したい考えを持っていた。退学者/留年者の数を減らす、国家試験合格率を高める、就職率アップ、高大接続への対応など、教育目標は多面的だ。そして多くの場合、到達目標は、「現在達成できていないものの、頑張れば達成できるレベル」に設定される。目標に向けて取り組むためには、現在の状況を知り、適切な数値目標を設定して、的確かつ迅速な改善活動を実施することが不可欠になる。

「普段からデータに接している大学の先生方を説得する最善の手段は、しっかりとしたデータを示すこと。改革には、教員と理事会の協力が欠かせません。IRを推進して数字で語れるようになることで、全学が一体となって取り組めると考えたのです」(豊田氏)

そのころ、日本私立学校振興・共済事業団が私立大学等相互支援事業を行うことが発表された。その教育改革ジャンルに応募するにあたって、チェック項目の中にIR推進室の設置が明記されていた。豊田氏は、それをテコに理事会から承認を獲得し、2013年9月、学長直下の組織としてIR推進室が設置された。

実感という暗黙知が、数字で示される

IR推進室長には、医用工学部 医用情報工学科 教授 窪田 英明氏が兼務で就任し、専従職員も他部門からの人事異動で確保した。当初は学内に散在するデータの所在をつかむことから始め、並行してソフトウェアの選定を行った。検討したのは、3つのソフトウェアと、Excelを利用した手作りの仕組みの4つ。その中から、SAS Visual Analyticsが採択された。

選定の際には、各社に匿名化済みの実データを提供。提案の中には、ニューラルネットワーク分析のデモなどもあった。窪田氏は、「SAS Visual Analyticsは大量データの高速分析に最適でした。機能面でも、相関分析やグラフ化に優れ、決定木のように統計解析の基本的なことにも対応しているため、IRで必要とする分析の9割以上はカバーできると判断しました」と話す。

「このシステムなら、必ずしもデータ分析の専門家を専従で雇わなくても分析ができるのではないか。SAS Visual Analyticsのデモで印象的だったのは、データを見ながら“これとあれの相関を取ったらどうなる?”という疑問の声が上がると、会議の場ですぐに結果が出たこと。議論を活性化できるような仕掛けだと感じました」(窪田氏)

2014年、SAS Visual Analyticsが導入され、データの整備が始まった。小さく始めて大きく育てる方針をとり、まずは退学、留年、および国家試験合格に絞ってデータ分析を開始。その結果、1~2年次のGPAが極めて大切になることが導き出された。ある分野の国家試験合格率では、1年前期のGPAを分析すると、90%が成功し、50%が失敗する群が判別できたという。

これは決して”意外な結果”ではなかった。教員たちの実感という暗黙知が、数字として示されたのだ。ただ、問題を可視化した事実は大きかった。1~2年次の教育次第で”救える”学生は多いと考えることができるためだ。鈴鹿医療科学大学は、この結果を受け、リメディアル教育を開始することにした。

リメディアル教育は、いわゆる補講である。高校までに習得しておかなければならない学習内容を、大学で補習する。大学の講義は、高校卒業能力を前提として組まれているが、たとえば高校時代に、受験科目として物理を選択しなかった学生は、物理の授業についていけない可能性が高い。同大学では、4月に新入生全員を対象に基礎学力テストを行い、不得意科目を特定。一定水準に達しない科目について、リメディアル教育を開始した。

一般に、リメディアル教育を体系的に実施することへのハードルは高い。リメディアル教育のような「余分」の教育活動に予算をかけることは、理事会にとって必ずしも容易な決断ではない。教員にとっても負担が増える要因となるため、協力を得るためには努力と工夫が必要となる。同大学では、教員の協力を得るために、まずは学長と副学長が高校の授業内容を率先して教えることにした。それと並行してデータを示しつつ教員を説得し、徐々に協力が得られるようになってきたという。

中期計画に基づくKPIを設定

リメディアル教育の開始は、データに基づいて実施した改革の特徴的な例だ。鈴鹿医療科学大学は、そのほか入試改革や教育改革におけるさまざまな施策にIRを利用している。IR推進会議には、毎回学長の豊田氏が出席し、積極的な議論が展開される。

たとえば、健康診断時に全学生が受けるUPIと呼ばれる心理テストの結果を分析すると、ある年次で退学や成績との相関が強いことがわかった。そこで、「カウンセリング体制を充実させる」「カウンセラー任せではなく教員に周知して協働で学生をケアする」など、さまざまなプランが議論された。会議で検討された対応策は、学長のリーダーシップのもと、迅速に施策化され、実行に移される。予算が必要なものは理事会に諮られて検討される。こうして、意思決定の流れがスムースになった。

同大学は、3年間の中期計画を、建学後初めて策定したばかりだ。今後はSAS Visual Analyticsで設定するKPIに、中期計画で明示された目標値を取り入れ、それに向けた施策の立案にも結びつけていく計画だ。

SUZUKA UNIVERSITY OF MEDICAL SCIENCE Logo

課題

IR活動を推進するにあたり、学内に散在していた大量の情報を扱える分析基盤が求められた

ソリューション

利点

SASにより導いた分析結果をもとにさまざまな議論ができるようになり、意思決定の流れがスムーズになった

Back to Top