スルガ銀行

コンシェルジュバンクへの、成長バランスをはかる

BSCで、すべての経営課題を一気通貫で管理

お客さまのニーズを汲み取り、価値ある提案のできる『コンシェルジュバンク』となることをめざしてスルガ銀行では、お客さまの目線に立った商品/ サービスの開発、BPR/CRMの導入、提案能力の向上をめざしたロールプレイング形式での社員教育など、さまざまな取り組みにチャレンジしてきた。同行では、この『コンシェルジュバンク』を第1ステージと位置付け、今後は、金融分野全般に精通し、お客さまの金融に関わるすべてのニーズに応える『ファイナンシャルコンシェルジュ』、さらに銀行の概念にとらわれず、幅広くお客さまの暮らしとビジネスを支える『ライフアンドビジネスコンシェルジュ』へと進化していくことをめざしている。こうした中、スルガ銀行ではこれまでに投資/実践してきた、さまざまな施策やプロセスを一気通貫で管理できる仕組みとして、SASソリューションを中核にしたバランス・スコアカード(BSC)を導入した。

「たとえば、社長をはじめとしたほぼすべての社員が業務関連の資格を取得するなど、各セクション、各個人はスキルアップや営業・業務のプロセス見直しを愚直に積み重ねています。しかし、以前はこうした日々の活動が、ひとつの線で結ばれていない状態にありました。そこで、すべての社員が経営戦略を理解した上で、知識を共有し、提案型のセールスを行なっていける新しい仕組みが必要でした。その答えがBSCだったのです」(スルガ銀行 審査部 企画管理部長 米山明広氏)。

戦略を可視化し、確かなアクションへつなげる

スルガ銀行では、現在、100を超えるすべての店舗においてBSCを活用している。経営トップから派遣社員を含んだすべての社員に対して、共通の言語を提供し、戦略を可視化することに成功しているのだ。これにより、日々の活動において、会社がどのような方向性で、自分はどのような業務をすべきかが、つねに明確になっている。また、同行では、戦略マップの作成にあたって、『この指標は違うのではないか』、『このリンクはこう繋がるべきではないか』といった現場との徹底した対話を積極的に行なっている。これにより、経営者、管理職、担当者全員が、つねに戦略を念頭に置いて日々の活動に取り組むスタンスが定着している。また、戦略マップを改訂する際には、現場担当者の意見を取り込むことで、より効果的な重要成功要因や実態に沿った成果指標を選んでいる。

「BSCによって、明らかに業務のあり方が変わりはじめています。たとえば、業績評価や社内会議において、スコアカードを資料として活用することで、毎月、どの視点で何が達成できていないのかが明確に把握できるようになっています。これによって、全社的なミーティングだけでなく、それぞれの重要成功要因を担当する社員ごとにミーティングを行なうなど、BSCを中心とした企業文化が根付きはじめています」(営業本部 カスタマーサービス マネージャー 藤井敦氏)。

目標達成度のシミュレーションもSASで実行

BSCを実践するにあたって、当初、同行では紙ベースで考えていた。しかしながら、目標達成への進捗を全ての支店で、いつでも素早く把握する必要があったこと。また、約180のスコアカードと60の指標に関するデータを月次で集計する必要があったこと。さらに、財務と営業のデータだけでなく、お客さまやビジネスプロセスの視点に関するさまざまな種類のデータを収集し、指標ごとに一つひとつファイルを作成していく必要があったことなどから、BSCのIT化を推し進めていくことを決定した。そこで、戦略マップの設計/修正ができることはもちろん、評価指標の追加、変更、削除などが容易にできるメンテナンスの柔軟性と、さまざまな外部データを取り込めるオープン性などを兼ね備えたソリューションが求められたのである。

「私たちはBSCソリューションとして、内外の大量データの取込みや加工/修正など、システム的な制約を一番受けなかったSAS Strategic Performance Managementを選択しました。これによって、社内イントラネットから個人IDを認識させて、それぞれの部店長が戦略マップにアクセスし、目標達成度を把握できるようになりました。また、各エリアを統括する部署や本部からは、各部署のスコアカードにドリルダウンできる仕組みが実現できました。また、BSCの戦略マップの定義がサーバ上でヒモ付けされているため、指標を一つ変えることによって、目標達成度がどのように変化するのかといったシミュレーションを簡単に行なえるようになっています」(業務管理部 システム 杉山拓也氏)。

一人ひとりの力を同じ方向へと集結

CRMの導入時より、MCIF(Marketing Customer Information File)を適切に構築/活用し、業績評価を行なってきたスルガ銀行では、BSCを採用したことで、全体最適への確かなシナジー効果が現れはじめている。今後は、現場からの意見を取り込むことはもちろん、指標のモニタリングやマイニングによる原因分析まで踏み込み、指標設定のさらなる見直しをはかっていく予定である。

「BSCとは、グリッドコンピューティングのようなものではないでしょうか。つまり、一つひとつの小さなコンピュータが無数につながることによって、スーパーコンピュータよりも処理能力が高くなるように、私たち一人ひとりの社員が同じ目標に向かって努力することで、より大きな成果を発揮できるようになる。その実現のために、今後は、社員全員に戦略マップを解放し、より戦略とアクティビティがつながるような、確かなコミュニケーション環境をつくり上げていきたいと考えています」(米山氏)。

Suruga Bank

写真左より:
スルガ銀行 審査部 企画管理部長 米山明広氏
同 営業本部 カスタマーサービス マネージャー 藤井敦氏
同 業務管理部 システム 杉山拓也氏

課題

すべての社員が経営戦略を理解した上で、知識を共有し、提案型のセールスを行なっていける新しい仕組みづくり

ソリューション

経営トップから派遣社員を含んだすべての社員に対して、共通の言語を提供し、戦略を可視化することに成功