Shanghai General Motors(上海GM)

SASワランティ・ソリューションへの投資から早期にリターンを獲得

上海GMは、ワランティ(品質保証)分析サイクルの効率を改善することで、大きな一歩を踏み出した。General MotorsとShanghai Automotive Industry Corp.(SAIC)との合弁会社であり15億米ドルの売上規模を誇る中国最大手の乗用車メーカー、上海GMは、SAS® Warranty Analysis導入後、ワランティ問題の原因特定とその解決を、素早く行なうことが可能となったのである。

SASの業界の最新ベストプラクティスとワランティ分析テクノロジーを採用した上海GMは、顧客サービスと品質における、中国市場でのリーダー企業という評判を獲得するとともに、中国自動車市場をリードしている。「当社製品の品質は他の業界最大手をしのぎます」と品質部門所属のWarranty Business Representative Field Performance EngineerのNanxiang Gao氏は語る。

上海GMの2004年の年間生産台数は252,000台に達し、それ以外にも国内外の市場向けにエンジンおよびトランスミッションも生産している。2004年の同社の中国での市場シェアは約10%であり、第三位に位置している。

ますます多くのグローバル自動車メーカーが参入するようになり、競争が激化している中国市場は、年間成長率が16%と世界で最も急速に伸びている自動車市場の1つである。激しい競争の結果として、各自動車メーカーは採算性、コスト、品質を再び重視するようになった。


SASソリューションを利用することにより、最初の半年間でワランティ分析サイクルに要する時間の合計が、平均して174日から52日に短縮されました

Nanxiang Gao 氏
Warranty Business Representative and Field Performance Engineer, Shanghai GM

アフターサービスと品質

上海GMは、アフターサービスと品質に対して強くコミットしており、「Buick Care」というブランド名のアフターサービスを提供している。過去3年間で生産台数が3倍になるなか、上海GMは、コスト削減と同時に、高い顧客満足度と品質に対する評価を維持するため、ワランティ分析サイクルの効率を上げる強力なシステムを必要としていた。ワランティクレームの原因追及に要する時間を短縮することが、上海GMのアフターサービス・品質部門の直面する最大の課題となっていた。素早い原因特定により、問題解決もより素早く行なわれ、ワランティコストの発生を回避できるからである。

Gao氏によると、SAS Warranty Analysisによって、上海GMは、わずか最初の半年でワランティ分析サイクルに要する時間を70%短縮することに成功し、このシステムの主要な目的であったワランティコストを大幅に削減できたという。

これらの大幅な改善のおかげで、同社は当システムで必要としたソフトウェアやハードウェアへの投資をわずか半年で回収した。システム導入から6ヵ月後、上海GMは分析サイクルの短縮により900万中国元(約1億3千万円)のワランティコストを削減し、また13件の新たな故障原因を早期に発見することで、さらに900万元のコスト発生を未然に防ぐことができたのである。

上海GMにおけるワランティ分析プロジェクトでは、品質管理部門が推進役となった。約80名のエンジニアが在籍する同部門は、フィールド・パフォーマンス検査業務における問題解決プロセス全体と、新規プロジェクトの立ち上げを担当している。同部門は製造部門、エンジニアリング部門に加えて、上海GM内でエンジン・トランスミッションを製造する独立したグループであるパワートレイン部門など、社内の主要な部署のために業務を遂行している。

長期に渡る世界規模での調査の結果、上海GMは、SASがワランティ分析パッケージ・ソリューションの唯一のプロバイダーであり、業界のベストプラクティスも提供できると判断した。また、詳細な評価ワークショップの実施により、同社のワランティ担当チームは、SAS Warranty Analysisがチームの要件の80%を満たしており、結果としてわずかなカスタマイズしか必要としないと結論付けた。

分析サイクルタイムの短縮

「SASを利用することにより、最初の半年間でワランティ分析サイクルに要する時間の合計が、平均して174日から52日に短縮されました」とGao氏は説明する。これは回転時間にして70%の短縮に相当する。

さらにGao氏は、品質問題の原因特定を可能とする「イマージング・イシュー」コンポーネントによって、SAS Warranty Analysis導入以前は不可能だった早期検知を2005年には13件実現できたと述べている。上海GMは、SAS導入前と比較して、これらの問題発見に要する時間を平均で3ヶ月節減できたのである。

BIのメリット

上海GMのエンジニアは、SASの分析力に特に満足している。統計的要因分析により、エンジニアはワランティクレームの偏差が正常か、または異常で調査を要するものかどうかを判断できる。原因分析をかなり容易にしかも迅速に行なえるようになったうえ、統計ベースの情報の提供により、エンジニアは何が起きたか、そしてどの変数がワランティの問題に影響したかをすぐに把握できるようになった。

「SAS Warranty Analysis導入前は、原因分析に月次レポートを用いていました。現在は、SAS Warranty Analysisを利用して、週次更新されるデータをもとに、必要とする切り口からリアルタイムで分析を行なえます。これにより当社のプロセスが大幅に改善されたのです」と、品質部門に所属するSAS Warranty Analysisのユーザーが語っている。

現在、品質部門の約30名のエンジニアがSAS Warranty Analysisを毎日利用している。また、一部の工場でもすでに同システムを採用している。品質部門のエンジニアはポータルから早期警告の情報を受け取り、比較分析、トレンド分析、顕在化分析、管理図分析などを実行することができる。また統計的要因分析や予測分析を含む、さまざまな高度なレポートを作成したり、履歴データを直接入手したりすることも可能である。
さらに、SAS Warranty Analysisに含まれる分析アプリケーションである、SAS® Enterprise Guide® を用いることで、同部門のパワーユーザーはワランティデータに複数の方法でアクセスできるようになるため、レポートのカスタマイズやさらなる分析が可能になった。結果として、データの抽出やレポートの作成においてIT部門に依存する必要はなくなったのである。

Senior System Analyst兼IT Project Manager のZhong Zhong氏は、「上海GMはBIのメリットを享受しています」と述べている。

全社横断ソリューション

上海GMでは、エンジニアリング部門、調達部門、製造部門へのシステム導入を第一段階として予定し、パワートレイン部門でも導入を検討している。 Gao氏は、SASの利用が拡大すれば、より多くの問題解決方法を発見できるであろうと期待している。品質部門は隔月にセッションを開催し、SASソリューションの高度なオプションを利用して獲得した最新の知識や経験をユーザー間で共有している。「私たちは常に進歩しており、SASを使い始めてからわずか半年で、当社のワランティ分析プロセスの新たな改善方法を発見しました」とGao氏は語る。

また、財務部門およびマーケティング部門にも、SAS Warranty Analysisのメリットは浸透している。正確な予測ができるようになったため、ワランティコストの見込み計画もかなり効果的なものとなった。「アフターサービスに費やせる金額を正確に把握しているため、当社のアフターサービス・キャンペーンの効率にも影響を及ぼしています」とZhong氏はコメントする。

自動車業界の指針となる

上海GMの経営幹部は、システムから生成されるレポートを見て、ワランティ分析の概要を把握できる。車両あたりのコスト(CPV)や車両1000台あたりの故障件数など、業界標準のKPIは、現在高い精度で計算され、モニタリングされている。2005年1月から5月の間に、販売後2ヶ月経った車両の CPV指標は30%下がった。Gao氏は、これは問題解決が改善されたことが直接貢献している、と語る。

ワランティのベストプラクティスであり、業界リーダーとして位置づけられたことは上海GMの誇りであり、満足感は大きい。というのも、このプロジェクトはSAICグループのTechnology Innovation Awardにノミネートされただけでなく、その評判は中国の国境を越えようとしているからである。General Motorsのグローバルワランティーチームは中国での成功に大いに関心を持ち、新たな成果を綿密に研究している。「ワランティ分析により、私たちがグローバルGMに逆に貢献できます」とZhong氏は打ち明ける。

Shanghai General Motors
Xinquan Zhang氏 CIO, Shanghai GM

課題

ワランティ問題を早期発見し、問題解決に要する時間を短縮することで、ワランティコストを抑制する

ソリューション

SAS Warranty Analysisにより迅速に結果を提供

利点

分析サイクルに要する時間が70%短縮し、ワランティコストが大幅に削減されたことで、初期投資の回収が半年で完了した。
その結果、中国でのワランティのベストプラクティスであり、業界リーダーと位置づけられた。

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