第一三共株式会社(旧: 三共株式会社)

医薬品業界IT化の新たな潮流。そのフロントランナーとして、新薬開発に挑む

医薬品業界において、新薬の承認申請電子化の流れは世界的な規制になりつつある。
そして日本においても2005年4月から電子申請による受け入れがスタートした。
グローバル新薬の開発を進める三共株式会社は、非臨床試験のスピードアップ、それに伴う日米欧の三極で求められる各種規制への対応に向けてSAS® Drug Development(以下、SDD)を導入。業界に先駆けて本格的な承認申請の電子化への道を歩みはじめた。


業界初の本格的導入だったため、開発は試行錯誤の連続でしたが、現在少しずつその成果が上がってきています。

山之内直樹氏
三共株式会社 医薬開発本部 臨床解析部

新薬パイプラインの拡充と電子申請への流れ。

ひとつの新薬が市場に出るには、15~17年にわたる長い研究開発期間と、数百億円にものぼる莫大なコストがかかる。製薬企業にとって市場投入の遅れは、特許という限られた時間の中で一日につき数億円の損失を意味するとも言われている。そこで三共は、新薬パイプラインの拡充、つまり新薬の芽となる研究開発段階の医薬品の充実化を計画。特に、その初期である非臨床解析の信頼性とスピードの向上を求めたのだ。

「解析結果に違いがあれば、数十億円単位のコストが無駄になります。ですから、非臨床解析を十分担保することが優先されました」(山之内直樹氏)。

一方で、世界の医薬品業界では、新薬の研究開発を促す試みのひとつとして、承認申請書類の電子化が進められている。書類を紙で用意すればトラックいっぱいになるため、電子化する方がはるかに効率的で、開発プロセスのスピードアップが図れる。ただし電子書類では、ねつ造や改ざんが簡単にできてしまうデメリットもあり、それを解決し、公式文書としてそのまま採用するための指針を規制当局が定めたのである。

「米国の21 CFR Part 11。EUのGAMP。そして2005年4月から始まるER/ESガイドライン。当社でも、こうした規制に対応していく必要がでてきたのです」(春山義公氏)。

※「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等に関する電磁的記録・電子署名利用のための指針」

 

Part 11に準拠したSDDを導入し、より多くの研究者が「使える」解析環境へ。

これまで三共では、年間何百本もある非臨床試験において、数人の解析専門担当者が数百人の研究者のデータを扱っていた。このため、解析結果を得るまでには、2~4週間のタイムラグを生むことが日常的で、解析担当者にはつねに大きな負荷がかかっていた。

「非臨床試験期間を短縮化するには、これまで解析担当者が使っていた解析プログラムをマクロ化して解析業務を標準化し、一元管理することによって、多くの研究者が使えるようにする必要がありました」(澤向慶司氏)。

SDDが米国Part 11に準拠しているという情報をもとに、導入に向けて調査したところ、カスタマイズのためのAPIも用意されていることが分かった。そこでSDDを導入してGUIを構築し、研究者なら誰でも解析できるようなシステム構築を目指したのである。SDDは、医薬品業界でもグローバルスタンダードな解析ツールとして高い評価を得ている。米国Part 11を定めるFDA(食品医薬品局)が、報告書のデータ移送ファイルをSASのフォーマットで提出することを推奨しているのだ。

非臨床試験のスピードと信頼性の向上、そして蓄積されたナレッジ。

優れた解析ツールであるSDDにGUIを搭載し、標準化した試験手法で多くの研究者が利用できる環境。それが「REDPOST」である。

「業界初の本格的導入だったため、開発は試行錯誤の連続でしたが、現在少しずつその成果が上がってきています。試験期間の短縮化はもちろんですが、ひとつひとつプログラムを書いていた解析担当者の業務を20~30%削減し、より重要な計画策定に時間を充てることが可能になりました」(山之内氏)。

また、誰が、いつ、どのデータを、どのように解析したのかという履歴が残るため、解析の信頼性も向上した。

「これまで非臨床試験のデータの取り扱いに対する意識が低く、解析に用いたデータや解析の最終出力の電子ファイルは、研究者個人が管理していました。そのため、後で検証するのが困難でした。REDPOSTでその点が改善され、きちんとしたデータマネジメントが可能となったのです」(上森光才氏)。

現在、REDPOSTには、汎用的な解析手法が17種類ある。一年後にはこれを数十種類に増やし、利用頻度を上げることを目指している。

「利用頻度が上がれば、非臨床試験の期間短縮の効果がさらに高まるでしょう。また、解析手法の標準化は、当社オリジナルのナレッジとして蓄積されていくことも魅力的です。ですから、ユーザーの欲しい手法をいかに早く追加していくのかが今後の課題です」(山之内氏)。

Daiichi Sankyo

左から
医薬開発本部 臨床開発部/研究開発情報管理部 システムG 課長 澤向慶司氏
医薬開発本部 臨床解析部 統計解析グループ 課長 山之内直樹氏
医薬開発本部 臨床解析部 統計解析グループ 係長 上森光才氏
研究開発情報管理部 システムG/医薬開発本部 臨床開発部 課長 春山義公氏

課題

非臨床試験のスピードアップとそれに伴う各種規制への対応に向け、承認申請の電子化を業界に先駆けて実施

ソリューション

SAS Drug Developmentを利用して、標準化した試験手法で多くの研究者が利用できるアプリケーションを構築、より高度な解析環境へ

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