株式会社新薬リサーチセンター

臨床/非臨床試験のデータ分析に、業界のデファクト・スタンダードであるSASを活用

株式会社新薬リサーチセンター(以下、新薬リサーチセンター)は、業務のさまざまな場面でSASを活用している。実験動物を利用した非臨床試験、および人に協力してもらう臨床試験において、集めたデータをSASで分析して報告書を作成している。SASによるデータ分析のノウハウが定着してきたいま、外部機関からデータを受け入れ、分析サービスだけを提供する事業を展開する構想を描いている。

New Drug Research Center
人の健康に深くかかわる業界のため、臨床/非臨床試験でデータを集め、 分析し、結果を出すプロセスには確かな信頼性が求められます。業界のデファクト・スタンダードである SAS を選択したのは必然でした

舘田 智昭氏
株式会社新薬リサーチセンター
取締役 研究本部長 GLP 運営管理者

医薬からトクホまで

新薬リサーチセンターは、トランスジェニックグループの一員として、非臨床試験および臨床試験を担うCRO(Contract Research Organization)企業だ。北海道恵庭市に小動物研究所、兵庫県神戸市に大動物研究所を持ち、新薬の非臨床試験により機能性および安全性を検査。さらに関東圏および北海道で、人を対象とする臨床試験までをカバーする。近年は、特定保健用食品(以下、トクホ)市場の成長に伴い、トクホの試験を広く受託することで、事業を成長させている。

同社 取締役 研究本部長 GLP 運営管理者 舘田 智昭氏は、「トクホでも、無作為ランダム化二重盲検法という、医薬品と全く同じ手法を利用します。大きく異なるのは、機能性だけでなく、安全性を極めて重視すること。数百万人のうち、1人にでも問題が出てしまえば、弊社の顧客であるメーカー様が築き上げてきたブランドも大きくダメージを受けてしまう恐れがありますから」と話す。

すべての医薬品には副作用があり、副作用のリスクが大きな医薬品は、医師がその機能と副作用をトレードオフして処方することで対策できる。一方、トクホは消費者に身近なスーパーマーケットやコンビニなどでも手に入れられるため、だれもが望めば摂取することができる。これが、安全性検査が大切になる背景になっている。

そのため、試験は大規模になるケースが多いという。たとえば、160人を対象に3か月間行う臨床試験で、1日3食分の情報を取得する場合、それだけで4万3200件のデータに相当する。さらに採血や体脂肪などの情報が加われば、データ量は膨れ上がる。

分析にあたっても、安全性検証のための高いハードルが待っている。機能面に絞ればノイズとして無視できる値であっても、安全性を左右する重要な指標になるかもしれない。こうした詳細かつ難易度の高い分析に利用されているのがSASだ。

機能の豊富さだけでなく、信頼性もSASの価値

同社は、2009年にSASを導入した。以前は、他社製の商用統計解析ソフトを利用していたが、同社臨床研究部の要求する機能水準を満たせていなかったという。たとえば、多群間の比較にあたり、ルーベン検定のみが可能で、バートレット検定が不可能であるなど、利用できる手法も不足していた。

同社 研究本部 臨床研究部 統計解析グループ グループリーダー 薬剤師 佐藤 寿郎氏は、「われわれは、3群以上の多重比較を行いますし、正規性から外れたデータも使用します。SASの豊富な手法と機能を利用できるようになったことで、業務の幅が大きく広がりました」と話す。「SASの最大の魅力は柔軟性が高く、自分好みにカスタマイズできることと、必要な手法を作ってそれを再利用できること。そして製品がバージョンアップされるたびに、できることが増えてくるのも楽しみです」。

同社の業務は、臨床/非臨床試験でデータを集め、分析し、結果を出すことだ。その分析の部分で、軽くデータを見てみたい、という場合にはExcelで閲覧することもあるというが、基本的にすべてのデータはSASで分析する。顧客や厚生労働省に提出する報告書には、SASで処理した結果のみを利用する。

舘田氏は、「SASを使い始めてからいままで、厚生労働省からソフトウェアについて問い合わせを受けるケースはありません。SASが業界のデファクト・スタンダードになっているため、”SASを使っている”というだけで信頼性が担保されるのです」と話す。

以前は、“分析に利用したソフトウェアの信頼性が確実であると保証するための書類が必要”と言われたこともあるという。人の健康に深くかかわる業界であるため、すべてのプロセスに、確かな信頼性が求められるためだ。同社は、研究施設を医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準であるGLP(Good Laboratory Practice) に準拠させているが、ソフトウェアにSASを使用することは、それと同義であると言える。

「フリーの統計解析ソフトを試してみたこともあるのですが、その立ち上げ画面には、“このソフトウェアは無保証です”という但し書きが出てきます。すべてが厳格な業界ですから、そのようなソフトを使うわけにはいきません」(佐藤氏)

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課題

臨床/非臨床試験のデータ分析において、臨床研究部の要求する機能水準を満たす統計解析ソフトウェアが必要であった

ソリューション

利点

ビッグデータを高速に処理し、細かいセグメンテーションを瞬時に実行できる環境を構築。現場部門も必要なデータ分析を実行し、数字を根拠に適切な施策を展開できるようになった

データ分析受託業務を拡大へ

SASを使い始めてから業務効率は高まり、いまでは小規模試験の中には、1日でデータ分析を終えられるものも出てきた。これは、顧客の短納期への要望にこたえるために、努力を重ねてSASのノウハウを蓄積した結果でもある。そしていま、同社はデータ分析受託サービスの展開に向けて一歩を踏み出そうとしている。

このサービスは、他のCRO企業から試験データを預かり、その分析サービスを同社が提供するというものだ。すでに小規模な試験データの受託は開始しており、そのためにスタッフを増員するなど、大きく展開するための準備を進めている。

佐藤氏は、「統計解析グループが明示的に利益を生める存在になれますし、個人的にも意欲がわいてきます。そのためにも、SASプログラムをより深く学び、より業務を効率化しながら品質の高い分析をお届けできる体制を整えていきます」と話している。

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