ロサンゼルスの社会福祉サービス、不正や詐欺にSASで対抗

数百万ドル規模のコスト削減と市民からの信頼回復に貢献

米国カリフォルニア州ロサンゼルス郡の社会福祉課(DPSS: Department of Public Social Services)は、貧困層の市民を支援し、健康の増進、個人の自立、経済的自立を促すために幅広い施策を展開している。郡内の隅々にまで目配りしながらDPSSが実施しているサービスには、一時的な貸付、就労支援、無償/低負担の医療保険、食料品購入補助、高齢者や障害者向けの在宅サービス、その他の金銭的支援などがある。

カリフォルニア州の低所得者向け社会保障プログラムであるCalWORKs「ステージ1育児プログラム」の公正な運用を支援するため、同郡はSASのアナリティクス・ソリューションを導入し、潜在的な不正行為の特定、調査の強化、不適切な支払の防止を図った。その結果、コミュニティの最も恵まれない弱者に対する支援を維持しながら、貴重な税金を何百万ドルも節約できる目途が立ち、現在はさらなる改善策を計画中である。

このシステムはソーシャル・ネットワークを分析し、個人が詐欺行為に関与している可能性を浮き彫りにします。ソーシャル・ネットワーク分析は、複数のケースにまたがって共謀する詐欺集団の特定にも効果を発揮しています。最終的に期待できる節約額は680万ドル以上に及びます

データを分析して不正行為のパターンを発見

不正行為の例としては、同プログラムでは金銭給付と就労活動がセットになっていることから、実際には存在しない従業員を捏造した不正な雇用証明を用いた虚偽申請などがある。また、詐欺集団が偽装会社を設立してサービス受給者と共謀し、実在しない保育所に子どもを通わせているかのように受給者に虚偽の申告をさせるケースも見られる。働いた時間を捏造、つまり実際よりも少なく申告する不正受給者も少なくない。

不正と闘うために同郡がまず必要としたのは、郡当局内外の膨大なデータソースを取りまとめて予測モデルを構築・実行するためのデータ統合ソリューションと強力なアナリティクス・エンジンだった。ソーシャル・ネットワーク分析と高度なアナリティクスを組み合わせて活用すると、不正行為を犯して巨額の資金損失を招く可能性が高い受給者やサービス事業者のタイプを予測することができる。

同郡では予測モデルとピアグループ分析を駆使して育児サービス利用の変則性を検出することで、ハイリスクのスコアを独自に算定し、誤判定ケースが調査担当者に伝えられる件数を減らすことに成功した。このシステムは、予測モデルを使用してソーシャル・ネットワークを分析し、育児支援プログラムに関する不正行為の可能性や詐欺事犯の共謀関係の見極めをする。ソーシャル・ネットワーク分析は、複数のケースにまたがって共謀する詐欺集団の特定にも効果を発揮している。

同郡ではSAS Fraud Framework for Governmentを導入し、SASのデータマイニング・テクノロジーにソーシャル・ネットワーク分析、予測分析、ルール管理、さまざまな予測手法を組み合わせている。また、レポートの運用や詐欺事犯情報の監視・共有を行うための情報ポータルの構築には、SAS Business Intelligenceを使用している。不正行為の過去のパターンを特定できれば、調査担当者は詐欺の可能性が高いケースに集中することが可能になる。そして、そうしたプロセスの効率が高まれば、調査担当者はリスクの高いケースに、より多くの時間を割けるようになるというわけだ。

数百万ドルもの節約を達成

DPSSの社会福祉不正防止・調査チームは、SASの分析モデルを活用することで、業務委託契約を結んでいる機関や他の照会先からの返答が届くよりもはるかに早く、疑わしいケースを特定し、調査を開始できるようになった。

運用開始後の10ヶ月間で、新システムは育児サービス詐欺調査に関して197件の要照会事案をあぶり出した。そのうち143件は現場で受給の優先度を選別する過程で検出されたもので、残りの54件は別のケースを調査中の担当者が発見したものだ。育児関連以外でも、優先度選別の過程で67件の要照会事案が特定された。

また、SAS Social Network Analysisによって2つの共謀グループ(16件の詐欺に関与)を非常に早い段階で検出し、詐欺行為が蔓延する期間を大幅に短縮できた例も報告されている。同郡のチームは、プログラムの参加者(受給者で就労活動を義務付けられた者)と事業者のつながり(ネットワーク)を洗い出し、その関係を視覚的に表現した。具体的には、ある小さなネットワークがより大規模なネットワークの一部となって、参加者が他の育児サービス事業者と共謀していないかどうかを調べたのである。その結果、中心的な役割を果たしていると思われるノード(参加者または事業者)をいくつか特定したほか、あるケースでは、多くのノード(参加者)にサービスを提供している育児事業者が詐欺行為に手を染めていることを発見するに至った。今現在、共謀が疑われる6件の申請について調査が進行中であるが、いずれも調査担当者によるデータマイニング分析の直接の成果として見つかったものだという。

不正調査に最も役立つネットワーク関連機能は、ソーシャル・リレーションシップ・ネットワークの表示である。この表示は、例えば共通の電話番号や住所などにより、クモの巣状に複雑につながり合う関係を明らかにする。育児サービスの受給者と事業者からなるこのネットワークを即座に参照できる機能のおかげで、不正調査担当者はケースワークの準備に費やす膨大な時間を節約できている。ある調査担当者はこう語った。「新システムで特定できる関係のすべてを従来の方法で明らかにしようと思ったら、何ヶ月、いえ何年もかかることでしょう」

「私が担当したあるケースでは、マウスを1回クリックしただけで、追加の証拠につながる糸口がすぐに目に飛びこんできました。他の方法では見つけ出すのに何週間、何ヶ月もかかったと思われます。見つかった情報の中には、当局が把握していない可能性のある雇用主の住所と氏名、別宅と思われる住所などの証拠が含まれていたのです。また、私が担当する容疑者と、別の2件のケースで調べられていた2人の容疑者とのつながりも、新システムによって明らかになりました」(同担当者)

別の調査担当者は、10名が関与する共謀事犯の調査が終結に近づいた段階で、主犯格の姓名をソーシャル・ネットワーク分析にかけてみたところ、それ以外の方法では発見できなかったであろう7名の潜在的な共謀者を新たに特定することができたという。

ロサンゼルス郡のパイロット導入は、数ヶ月という短期間で、共謀詐欺集団の特定に関して85パーセントの精度を達成した。これをもとに本格導入の際に回避できるコストを推定すると、不正行為の照会費用で約220万ドル、詐欺の早期検出で160万ドル、その他の効率向上で約300万ドルに相当するという。同郡ではさらに調査の精度を高め、さまざまな領域で改善を図っていく予定だ。

  • 疑わしいケースの早期検出
  • 疑わしい育児サービス事業者の早期検出
  • これまで特定できなかった疑わしいプログラム参加者の検出
  • これまで特定できなかった疑わしい育児サービス事業者の検出
  • 調査効率の向上
  • 共謀行為の検出
  • 推定したコスト削減額680万ドル
  • 関係部署間の協力体制の強化
rt-dpss

課題

米国でも最大規模の同郡政府では、経済的に恵まれない市民向けの社会福祉サービスを食い物にする組織的な詐欺行為を摘発することが急務となっていた。

ソリューション

利点

調査担当者はより迅速により多くの詐欺事犯を特定できるようになり、資金の損失と調査コストが減り、市民の信頼も向上した。システム導入の結果、最終的に期待できる総コスト削減額は680万ドル以上と推定。

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