KDDI株式会社

ビッグデータ・アナリティクスでマーケティングを革新
―顧客分析に基づく最適なプロモーションを展開し、顧客のファン化を狙う―

KDDIでは、マーケティング活動の最適化を図るため、分析基盤にSASを導入。顧客のライフタイムバリューを指標化し、個々の顧客に適切なアクションを起こすことで顧客満足度の向上に成功した。その後、活用範囲は大きく広がった。SAS Customer Intelligenceを活用したau Marketのデジタルコンテンツのダウンロード履歴などの大量データの分析や、顧客のセグメント化およびターゲティングなどで成果を得て、さらに現場部門におけるアナリティクス活用にも取り組み始めた。


アナリティクスをビジネスの原動力にする

KDDI株式会社(以下、KDDI)は、固定通信事業と移動体通信事業の両輪でビジネスを展開する総合通信大手である。2011年を開始年度とする国内の中長期計画では、マルチネットワーク/マルチデバイス/マルチユースの3つの頭文字をとった「3M戦略」を推進し、あらゆるデバイスから最適なネットワークを介して多様なコンテンツをシームレスに提供できる体制の構築を目指している。同戦略の方針にもとづく代表的なサービスが、定額料金を支払えば500本以上の人気アプリタイトルを好きなだけ利用できる「auスマートパス」である。後に発表した定額の使い放題のコンテンツサービス「ビデオパス」「うたパス」「ブックパス」も好評を博している。

同社がアナリティクスへの取り組みを本格化したのは2000年のこと。厳しい市場環境を勝ち抜くためには、分析を競争優位の源泉にすることが不可欠と考え、それまでに蓄積していたものの活用されていなかったビッグデータを活用する方針が決まった。そこで、顧客プロファイルをはじめとする膨大な情報から規則性や関連性を抽出し、効果的なマーケティング施策の根拠にすることを目指すことになった。

いまや携帯電話は普及率が高く、市場そのものが飽和しているため、解約を食い止めるとともに優良顧客を持維することがビジネスの焦点といえる。新規ビジネス推進本部 ビジネス統括部 DBマーケティンググループ グループリーダー 富山秀樹氏は、「人の経験や勘だけで解約の予兆を見つけたり、顧客が次にとる行動を予測したりするのは不可能です。そこで、複数のデータソースから必要なデータを抽出・加工し、適切な意思決定の根拠となる情報を導いてくれる分析基盤が求められました。顧客行動などの情報を多角的に分析できれば、解約の予兆をつかみ、数値の裏付けのある解約抑止策、顧客満足向上を促すアクションへとつなげることが可能になります。もちろん、お客様のプライバシーについては万全の配慮をもってデータを取り扱っており、お客様に同意を得られた情報のみを分析対象としています」と語る。

高度なマーケティング分析を実現するアナリティクス・プラットフォームを導入

同社は、社内外に存在するデータを包括的に扱える分析環境を構築するプロジェクトを立ち上げた。ソリューションの選定では、SAS Customer Analytics for Communicationsをアナリティクス・プラットフォームに採用することを決めた。あらゆる目的に応じたマーケティング分析を実現するにあたり、必要な機能を網羅的にカバーする唯一のソリューションがSASと評価したためだ。また、高い導入実績を誇るSASを利用すれば、通信業に特化したデータモデルの構築、ベストプラクティスの適用を実現できると判断できたのもSASの選定を後押しした。

プロジェクトはSASのサポートを受けて円滑に進んだ。データマネジメント、データモデル構築などの開発プロセスでは、経験豊富なSASのアナリティクス・コンサルタントの知見を盛り込み、分析基盤を稼働させた。同時に、情報活用を主導するビジネス・インテリジェンス・コンピテンシーセンター(BICC)の役割を担うデータベース・マーケティング・グループ(DBMG)を社内に設置。各事業部門と情報システム部門が密接に連携して戦略的な情報活用を推進できる体制も整備した。

新規ビジネス推進本部 ビジネス統括部 DBマーケティンググループ 川端良次氏は、「営業やカスタマーサポートなどの現場サイドにとって価値のある情報を提供し、それを活用することのメリットを啓蒙することで定着化を促しました。活用を深める課程では、適切な意思決定にSASが不可欠という共通認識も形成されました」と話す。

顧客満足の向上と解約率の低下を両立

SASを稼働させて最初に取り組んだのは、解約を抑止するための分析だ。具体的なステップとしてはデータマイニングを用い、各顧客の解約可能性を算出する予測モデルを構築した。並行して、安定した収益をもたらしてくれる顧客を定義。1人あたりの顧客が離反していくまでの間にもたらしてくれる価値や利益を示す指標のライフタイムバリュー(顧客生涯価値)も算出した。

「ライフタイムバリューと解約予想率の指標を用いることにより、離反の兆候が見られる顧客に対して適切なアクションをとれるようになりました。また、過去の離反顧客時に起きたイベントを分析すると、離反のパターンやルールがわかってきますから、当該イベントが発生した際に適切かつタイムリーなオファーを提示できます。その結果、解約率を下げることに成功しました」(富山氏)

セグメントマーケティングの高度化も進んでいる。たとえば、au Marketから「だれが」「どんなデジタルコンテンツを」「どのくらいの頻度でダウンロードしているか」などのデータをもとに顧客を区分。各顧客の趣味・嗜好を分析することで、顧客グループに最適なプロモーションを展開できる。さらに、初動や反応率などの結果を分析し、セグメントマーケティングの精度を高める体制も構築した。

川端氏は、「投資対効果の観点から、継続すべきキャンペーンと中止すべきキャンペーンを定量的に見極められるようになりました。また、ターゲット顧客に合わせた最適なマーケティング・チャネルの選定が可能になり、キャンペーンの反応率も向上しています」と語る。

現在、KDDIでは現場のアナリティクス活用を推進し、分析を戦略的に用いることで競争力をさらに強化しようとしている。その第一弾は、技術部門によるSAS Enterprise Guideの利用だ。同部門ではネットワークトラフィックを分析し、新規サービスの立案や設備投資に関連する最適な意思決定を行うための科学的な根拠を得ている。営業やカスタマーサポートといった現場部門へのアナリティクス導入も始まった。今後、ビジュアル・データ探索ソフトウェアSAS Visual Analyticsを社内展開し、エンドユーザーが視覚的に大量データを探索できるようにすることで、これまで見えなかったデータの相関関係を突き止めようとしている。

富山氏は、「アナリティクスをもとに緻密なマーケティング施策を展開することで、イメージアップや顧客満足の向上を図り、多くのユーザから長期的に愛されるブランドを育てていくことが大きなミッションです。今後も、さらにビジネスを伸ばすために、SASの活用を推進していきます」と話している。

KDDI

課題

複数のデータソースから必要なデータを抽出・加工し、解約の予兆を見つけたり、顧客が次にとる行動を予測したりできる分析基盤が必要になった

ソリューション

あらゆる目的に応じたマーケティング分析を実現し、数値の裏付けのある解約抑止策、顧客満足向上を促すアクションへとつなげられる

利点

離反のパターンやルールをつかみ、当該イベントが発生した際に最適なオファーを提示することで解約率を下げることに成功。各顧客の趣味・嗜好をもとに区分した顧客グループに適切なプロモーションを展開し、キャンペーンの反応率を高めている

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