株式会社日本医療データセンター

145万人分のレセプト/健診データ分析に、
「SAS® Visual Analytics」とSASの分析基盤を活用

株式会社日本医療データセンター(以下、日本医療データセンター)は、SASを使って医療データを分析してきた。近年、データ作成業務におけるクレンジングとチェックにSAS Visual Analyticsを導入。大きな成果を収めた。さらにSAS Visual Analyticsは、データ分析部分にも展開され、SASと組み合わせて幅広い業務に利用されている。

Japan Medical Data Center
SAS Visual Analyticsで全体を見て、相関の強そうなものに当たりをつけ、SASを使ってきちんと分析するイメージです

久野 芳之 氏
株式会社日本医療データセンター データソリューション事業部
インシュアランスグループ グループマネージャー

145万人分の医療記録を蓄積

日本医療データセンターは、データ分析に基づく保健事業支援や医薬品の安全性評価、医療経済分析など、さまざまな医療統計サービスを展開する企業だ。全国の健康保険組合と提携して、レセプト(診療報酬明細書)データと健康診断データを集約。完全に匿名化した上で、分析可能な状態にした医療データベースを構築し、そこで分析した結果を、研究機関などへ提供している。

同社 代表取締役社長 上沢 仁氏は、「事業のコアになる医療データベースは、実際に行われた医療記録を正確に反映したものです。そのため、われわれはそこに蓄積されたデータを“リアルワールドデータ”と位置づけ、さまざまな分析サービスを提供しています」と話す。

提携する健康保険組合は順調に増加し、2015年現在、リアルワールドデータは145万人分の医療記録が収められるまでに成長した。

レセプトデータには、年齢層や性別といった患者属性情報、投薬、処置、検査、手術などの診療情報、疾病名や初診時期などの診断情報、診療科などの施設属性情報が含まれる。さらに、一部健保からは健康診断データも預かっている。健康診断データには、血液検査値やBMI、血圧、喫煙・飲酒習慣など、60項目以上が含まれるため、より精細なデータ分析が可能になる。

これらの情報が含まれるリアルワールドデータは、母集団を規定して行う全数調査や、時系列に患者の推移を追跡する分析など、多方面に活用されている。そして、同社は、リアルワールドデータを構築して以来、この膨大なデータを高度に分析する際にSASを利用してきた。健康保険組合からデータを預かるため、65歳以上の加入者が少なく、サラリーマン家庭の多い特質を踏まえて、拡大係数を用いて正確な拡大推計を行うなど、独自のノウハウも蓄積している。

レセプトデータと健診データを高品質に保つノウハウ

日本医療データセンターの強みは、SASを活用した分析力だけでなく、データを利用可能なリアルワールドデータの状態に持っていくところにもある。一次情報は、電子データの場合もあれば、紙で送られてくるケースもある。それらをすべて入力し、「MediC4」と呼ばれる同社独自の不可逆的匿名化名寄せ技術を用いて匿名化する。医療機関によって異なる“ 医療方言”には、独自の医療辞書を適用して標準化し、疾病や医薬品、診療行為などのマスタを付与する。

これらの作業は、長年の経験によってノウハウを蓄積し、医療辞書による自動変換能力を増強するなどの取り組みにより、自動化の範囲が拡大されてきた。ただ、リアルワールドデータの品質を高く保つために、数値異常や時系列整合性など、100を超えるチェックは欠かせず、そこに大きな労力を割いていた。

同社 データソリューション事業部 インシュアランスグループ グループマネージャー 久野 芳之氏は、「医療データベースの認知度が高まるにつれ、分析のハードルは上がっています。より深く、より精緻に、より品質の高い分析が求められるのですが、最も大切なのはデータの品質になります。そのデータを作る部分を支援してくれるツールを求めていたのです」と話す。

そこで目に止まったのが、「SAS® Visual Analytics」だった。大量データを扱えることと、視覚的にデータを扱えること、および操作性の高さに魅力を感じた。当初は、品質管理のためのチェック作業において見える化を実現することを目的に導入し、大幅な作業効率の向上を実現。チェックの精度を高めることもできた。

「SAS Visual Analytics」で当たりをつけ、SASで分析する

そして現在、SAS Visual Analyticsが活用される分野は分析部分にも広がっている。同社は、生存率や治療継続率など、シンプルなSQL文だけで帳票出力まで持っていける集計レベルの分析を、定形レポートで行ってきた。しかし、定形レポートでは、そこにほんの少し手を加えたいケースなどに柔軟に対応することは難しかった。SAS Visual Analyticsは、あらかじめ仕様が決められた定型レポートと、柔軟かつ高度な分析を行うSASの間を埋めてくれるツールとしての利用が開始されたのだ。

「SAS Visual Analyticsで全体を見て、相関の強そうなものに当たりをつけ、SASを使ってきちんと分析するイメージです」(久野氏)

たとえば、疾患別の医療費を入院・退院後通院別に把握するため、主病が明確に把握可能な対象に絞りデータを抽出する。その群から、疾患別に入院医療費・通院医療費を切り分け、ビジュアルな画面で視覚化し、分析対象の疾患を絞り込む。ここまでをSAS VisualAnalyticsで行い、その後の詳細な分析や、結果が統計的に有意であるかどうかを判定することはSASの役割になる。

当初、SAS Visual Analyticsを利用しているのは、品質管理部門のスタッフだったが、この活用範囲拡大により、コンサルティング部門での活用も始まった。興味を持ったスタッフが特別なトレーニングを受けることなく、使い方を質問しながら利用しはじめたが、すぐに使いこなせるようになったという。高度な分析はSASに回すため、深い分析を行うことはない。とはいえ、メリットは大きい。柔軟に群を絞って行う生存率分析など、軽い分析の自由度を高めることができるため、顧客の質問から回答までの時間は短縮されている。

完全に匿名化した上で、個人を詳細かつ時系列に調査できるリアルワールドデータは、こうしてより柔軟に分析できるようになった。現在は、大学などの研究機関に加え、製薬メーカーや医療機器メーカー、生命保険会社などの民間法人でも活用され、さまざまな研究が行われている。

同社 代表取締役会長 木村 真也氏は、「現在の研究者は、自らデータを作る必要はありません。われわれの提供するような、優れたデータを分析することで、薬の副作用や飲み合わせの問 題などが明らかになるケースもあります。われわれの事業は、そういう面で間接的に患者利益に貢献しています。これからも、SASを活用し、品質を高く維持した医療情報を提供していきます」と話している。

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課題

医療データベースのレセプト/健康診断データの品質を高く保つために、視覚的に
データを扱えるSAS Visual Analyticsが不可欠だった

ソリューション

SAS® Visual Analytics

利点

数値異常や時系列整合性など、高いデータ品質を担保するための100を超えるチェック作業の効率化と精度の向上を実現。定型レポートに少し手を加えるような分析も柔軟に行えるようになった

ビデオ

インタビュー・ビデオ

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