JA三井リース株式会社

経営統合後の事業損益構造の見える化を早期に実現 ― さまざまな経営指標を多次元軸で分析し、競争時代の経営戦略を策定 ―

JA三井リース株式会社(以下、JA三井リース)は、JA系統系の協同リースと三井系の三井リース事業の共同持株会社として2008年4月に発足、半年後の2008年10月に完全合併した総合リース会社だ。約7兆円の市場規模に約240社(2009年3月末時点リース事業協会会員会社数)が存在するリース業界だが、企業の設備投資の減少、リース会計基準の変更など取り巻く経営環境は厳しさを増しており、その中で、資本系列、事業領域の特徴を背景とした大型の合従連衡が続いている。資本系列や事業領域が異なり、補完関係にある両社の経営統合では、コモディティ化したファイナンスリースやローンビジネスに留まらず、多様化する取引先のニーズに対してさらなるイノベーションを追求することを喫緊の経営課題として統合準備に入った。早期の統合効果を発揮するには、業務ラインの一本化による営業効率の向上が不可欠との経営判断により、完全合併後の翌春の基幹システム統合を決断。並行して、完全合併後の的確な経営判断、戦略的な意思決定を行うための管理会計制度の整備にも狙いを定めた。この部分に同社はSAS® Performance Managementを採用。同製品を中核とした新システムを2009年5月より稼働させ、部店、事業、商品などのセグメント別・ユニット別の損益の可視化やさまざまなKPI(重要業績評価指標)の管理を通じて企業価値を大きく向上させている。


管理会計をはじめ、将来の事業展開予測まで、経営管理フレームの中核にSAS Performance Managementを据えました。科学的分析と戦略なくしてリース会社の存続はありえず、 勝ち残る術がここに詰まっている。タイムリーに経営状況を把握し、KPI分析の結果をもとにした科学的なアプローチによって、競争時代の経営戦略を策定できるようになりました

佐藤 昭彦氏
経営企画部 経営企画室 室長

NEEDS
基幹システム統合と高度な管理会計の実現が課題

JA三井リースは、JA系統組織・農業分野において裾野の広い盤石な経営基盤を有するとともに国内トップクラスの金融・物流ネットワークを保有するJA系統グループと、商品、業界に対して専門性を生かした高付加価値サービスをダイナミックに展開する三井グループの特長を併せ持つ、リース業界のリーディング・カンパニーだ。情報・通信機械や船舶・車輌などの輸送機械、建機・工作機械、医療機械、農林水産業用機械・商業設備などのリース・ファイナンス事業を中心に、コンサルティング事業、農業生産者向けサービス事業など、幅広いビジネスを展開。顧客の多様化するニーズに応えられる企業として競争力を大幅に高めている。

経営企画部 経営企画室長 佐藤 昭彦氏は、「近年の民間設備投資の減退に伴いリース市場は大きな落ち込みを見せています。転換期を迎えるリース業界において、われわれの経営統合は経営基盤の強化と事業分野の拡大、組織合理化によるコストシナジーの創出が最大の目的でした」と語る。コストシナジーを創出し、高い付加価値を備える組織体の構築にあたっては、両社が抱える基幹システムの統合が大きな課題になった。佐藤氏は、「協同リースと三井リース事業は、もともと資本系列や事業領域が異なります。経営統合の際に、両社の保有していた基幹システムの早期統合、データの完全集約による統合効果の発揮は経営トップの合意事項であったものの、新リース会計基準への準拠・開発を走らせながらの、データモデルの異なる基幹システム統合には、実務面では相当な困難が予想されました」と話す。

最初にぶつかった壁は管理会計に対する整備状況だった。実際、商社系の流れを汲む三井リース事業の基幹システムがセグメント別・ユニット別の損益に対応した管理会計を前提とし、それに適したデータモデルを採っていたのに対し、全業務データの移管先となる協同リースの基幹システムは、リスクの計量をベースとしたシステム構成になっていた。そのため、両社の基幹システムを統合すれば、部店、事業、商品などのセグメント単位や顧客との契約単位で損益が見えなくなってしまう。的確な経営判断と戦略的な意思決定を阻害する不安要因を内包していたのだ。

CHALLENGE
要件への適合性や金融機関への導入実績などを評価

JA三井リースが新経営管理制度構築のプロジェクトチームを編成したのは経営統合前の2007年12月のこと。両社の経営企画部門が中心となり、経営理念の立案からはじまり、経営ビジョンの策定、戦略マップや実行計画書の作成、および運用方法などの検討を行った。中でも管理会計の実現にあたっては、経営目標に沿ったKPIの策定と優先順位付けを行い、基幹システム統合や機能追加、データ移行の度合いに応じて段階的にKPIを設定・管理していく計画を策定。第1フェーズに部店別粗利益やリース取扱高などの見える化、第2フェーズに部店別の損益把握および投資収益性に関連する指標の管理、最後の第3フェーズに将来損益予測と、段階的な機能強化の展望を描いた。

そのために、経営管理システムの仕様や要件などを定義。経営統合によって拡大する資産ポートフォリオのセグメント別・ユニット別の損益の可視化と、多次元データ分析の結果にもとづいた予算策定や予実管理、経費管理、およびリスク・リターン管理を行えることなどを要件とした。基幹システム統合と同時に管理会計をスタートできるシステム構築の短期化も大きなポイントだった。佐藤氏は、「大量の資産データを保有するリース会社にとって、基幹システム統合の失敗は許されません。安全、確実なシステム統合には、システムベンダーはもちろん、情報システム部門をはじめ、社内のリソースを全面的に投入していました。時間とリソースの観点から、新経営管理制度を新たに基幹システムに搭載することは不可能だったのです」と当時を振り返る。こうした制約により、基幹システムから外部に構築したデータウェアハウスに業務データを取り込み、自由にハンドリングできるシステム構成を採ることにした。

これら要件への適合を前提に行ったシステム選定では、コスト、ビジネス要件の変更に対して柔軟に対応できる拡張性、および金融機関への導入実績を中心に8つの製品を比較・検討。2008年10月、基本機能としてデータウェアハウス/ETL機能を実装し、基幹システムとシームレスにデータ連携できるSAS Performance Managementの導入を決めた。佐藤氏は、「SASは、さまざまなデータを収集・統合・分析し、メタデータもストレスなく統合管理ができます。部店別のB/SおよびP/Lを算出できる機能とパフォーマンス、そしてBSC(バランス・スコアカード)を含めたさまざまなKPIをダッシュボードでビジュアルに可視化できた唯一の製品でした」と話す。2009年5月、新基幹システムの稼働と同時に、待望のSAS Performance Managementが稼働した。

BENEFIT
損益構造の可視化で、迅速な意思決定を

JA三井リースのSASを中核に据えた新システムでは、従来の基幹システムではできなかった複数部店、あるいは全44部店を一括りにした損益の把握から、ドリルダウン、多次元軸でのデータスライスも自由自在だ。また、さまざまなKPI分析の結果をベースに経営戦略を策定できるようになったことも大きい。佐藤氏は、「それぞれの部店は、セグメント別・ユニット別の基礎収益力やパフォーマンスを月次でとらえることが可能になりました。これにより、たとえば、市場の成長や環境の変化に即した事業戦略の立案、コア事業へのリソースの集中投下など、機動的な経営インフラが完全に整備されました」と語る。
同社は、2010年度からの新経営管理制度と業績評価との完全連動に向けて、KPI管理の第1フェーズを計画どおり完了させ、第2フェーズを一部のパイロット部店で進めている。一部のパイロット部店では、売上総利益や営業利益などを包含するP/Lだけでなく、投資収益性を表すEVA(経済的付加価値)やROIC(投資資本利益率)などの指標の管理も開始。財務面における月次のパフォーマンスだけでなく、財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、および学習と成長の視点というBSCの4つの視点から設定したKPIをダッシュボードで表示している部店も現れ始めたという。佐藤氏は、「基幹システムに入っている業務データをETLでSASに持ってくる際にデータ・クレンジングを行い、データ分析基盤となるデータウェアハウスには高品質なデータのみが入る仕組みにしています。並行して連絡会議やトレーニングを定期的に開催し、社員の管理会計への意識を徐々に高めています」と話す。

JA三井リースは現在、第3フェーズとして、SASをベースに売上総利益などの予測値を算出し、将来の損益予測や事業収益シミュレーションを開発中だ。また、戦略マップの策定、組織の収益構造の把握、業績評価指標の分析、および結果にもとづく改善のPDCAサイクルを反復し、管理会計をより一層社内に定着させていく。管理したいすべてのKPIを経営と密にリンクさせ、2010年4月までに指標をベースにした予算策定や予実管理、経費管理、およびリスク・リターン管理を実現することが当面の目標だ。佐藤氏は、「この管理会計システムがなければ、経営の舵取りができなかったでしょう。すべての部店が独自にKPIレポートの作成、ダッシュボードによる経営状況の把握、市場環境の変化に即した事業戦略の立案などを行える体制を整備し、経営マインドの醸成と次世代の経営者の育成にも役立てていきたいと考えています」と話している。

JA Mitsui Leasing

課題

基幹システム統合と同時に管理会計をスタートさせ、資産ポートフォリオのセグメント別・ユニット別の損益の可視化と、多次元データ分析の結果をもとにした予算策定や予実管理、経費管理、およびリスク・リターン管理を実現したい

ソリューション

多次元的な損益分析を可能とする管理会計の実現と、さまざまな業績評価指標の可視化と共有

利点

経営状況を把握し、市場環境に即した最適な経営戦略を機動的に策定することが可能になった

製品

SAS Performance ManagementSAS Financial Management、SAS Strategy Management)

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