IIB Bank

SAS Risk Management for Banking により Basel IIに対応、資本準備金を大幅に削減

ベルギーのブリュッセルに本拠を置くKBC NVの全額出資の銀行小会社の IIB Bank(以下 IIB)は、1973年以来、アイルランド市場で活発な活動を続けている。従来は伝統的な商業銀行であったIIBは現在、より広い銀行業務に力を入れている。

IIBには、商業銀行部門、トレジャリー/キャピタルマーケット部門、富裕層取引/プライベート・バンキング部門、IFSC(国際金融サービスセンター)部門、そして住宅ローン部門の5つの大きなビジネスユニットがある。最も重要な部門は、住宅ローン部門で、2002年 12月の時点で、86億ユーロ(105 億米ドル)という、銀行全体の稼動資産の3分の1以上を占めている。

新BIS規制(Basel II)は、各国の銀行業務の評価と健全化を目指して、G10諸国により設置された国際委員会である。新BIS規制による自己資本の枠組みは、市場リスク、オペレーショナルリスク、信用リスクの3つを含んでいる。たとえば、信用リスクの場合は、銀行はローンの債務者が返済不能に陥った場合に備えて一定の自己資本を用意しておかなければならない。現行規制では、一律に(アセット x リスク・ウェイト x 8%)という一律の規制を適用している。IIB では 50 %のリスク・ウェイトの住宅ローンについては、32億ユーロの貸付額に対し、約1億 2,800万ユーロの引当金を用意しなければならなかった。


われわれがSASを選んだ理由は、投資がいろいろな形で戻ってくるからです
IIB Bank

Tony Barnes氏
Head of Programme Office, IIB Bank

ベスト・プラクティスへの報い

新BIS規制では、一律の規制を適用するのではなく、リスク管理を巧みに行なっている銀行が報われる仕組みになっている。新BIS規制では、リスク・ウェイトを35%まで引き下げることが可能である(内部信用評価に基づかない標準的手法)。基礎的内部各付手法(当局の定めたリスク・ウェイトに対応)を導入している場合は、さらにリスク・ウェイトを引き下げることが可能になる。また、先進的内部各付手法を用いる場合には、リスク・ウェイトをより一層引き下げることが可能になる。

仮に、リスク・レーティングが25%あるいはそれ以下に引き下げられ場合は、新BIS規制により相当額の所要自己資本を削減できることが算出できる。その結果IIBとしては、さらに競争力の高いモーゲージ商品を提供できることになる。

KBCはいち早く新BIS規制への対応に乗り出し、IIBについても同規制への対応を目指した。そのためには内部リスク管理モデルを、新BIS規制が施行される 2007年1月までに3年間運用することが必要であった。

2003年2月、KBCは正式にIIBに対して、(a)新BIS規制に準拠し、(b)全組織を通じて最高水準のリスク管理を適用し、(c)可能な限りあらゆるビジネス優位の機会をとらえる、の3点を実現する効果的なリスク管理手法を開発することを公式に求めた。
この課題を実現するため、IIBはSAS Risk Management for Bankingを採用した。

プログラムの開始

このプロジェクトを、KBCが内部で定めた 2003年10月1日ではなく、新BIS規制に合わせた 2004年1月1日という、かなり厳しいデッドラインに間に合わせるために必要な専門知識は、IIBの内部にはなかった。また、信用リスク関連データのブリュッセルの親会社への送付は、早々に選択肢から外されていた。さらに重要なことに、現地の規制当局である IFSRA(アイルランド中央銀行)がデータの自国管理を求めたため、ソリューション自体がアイルランドのモーゲージ市場の詳細な部分に対応しなければならなくなった。規制当局は、「ブラック・ボックス」タイプのリスク管理システムの提示は望まず、必要であれば日次でも、銀行がリスクのモニタリングと管理を率先して行なっている状況を見ることができるよう求めたのである。

「ベンダーを見つけ、わずか 6ヶ月でソリューションを実行に移すには少し不安でした」と IIB銀行のプログラム・オフィス部長の Tony Barnes 氏は語っている。3月から4月にかけ、Barnes氏のチームは市場で入手可能なソリューションを迅速に調査し、SAS であれば限られた時間内にソリューションを提供できるとの結論に至った。そして5月にはプロトタイプが完成し、結論が正しかったことを確信した。

「メリットだけを考えて、SASを選択しました。IIBではこれまでSASを使用したことはありませんでしたが、SASがわれわれの要件を満たし、さらに重要なことに、IIBにとって必要な統計とリスク管理の深い専門知識を提供してくれたからです」とバーンズ氏は語っている。ダブリンでのSASの評価も高まった。「IIBが適切なデータさえ提供すれば、何とか期限に間に合わせることができるに違いない、と感じていたのです」とBarnes氏は述べている。

モデルの有効性の確認

住宅ローンの内部リスク管理を有効に実施するための鍵は、同質のモーゲージ・データのプールにある。目的は多数の資産購入者に対する貸付のリスクの正しいウェイトを見出すことである。これを効果的に実施するためには、それぞれの顧客について、個々の債務者のデフォルト確率(PD)、デフォルト時エクスポージャー(EAD)、債務者のデフォルト時損失率(LGD)を計算することが重要である。これらのリスクに準じて顧客を同質のプールにセグメント化することで、IIBは100,000人の個人顧客を大規模な数の顧客からなる少数のプールとして対応することが可能になった。

もちろん、このようなアプローチは、全ての顧客を常時モニタリング・分析し、顧客のクレジット・レーティングが変わった場合に、プールからプールへの移動を確実にしてこそ初めて可能となる。IIBはSASを使った最初の分析で、顧客をデフォルトの傾向によって7つのプールに分けることができた。「リスクの視点から見て、これら7つのプールの顧客を管理することは、大口法人顧客7社を管理するのと同じことです」とBarnes氏は語っている。

このモデルの信頼性を立証するためには、ローンプールの安定性をモニターすることが不可欠である。定められた帯域からの出入りが多い場合、規制当局はモデルの有効性を疑うことになる。このソリューションの重要なアウトプットが、各プールに属する顧客の数がいかに決定されたかとプール間の移動の理由を示す“Movement Report”なのだ。

SASのソリューションは、ホストシステムから、過去4年間の取引履歴について、70の主要項目、そこから導かれる50の各種比率に基づいて抽出されたデータを分析してこのレポートを作成する。
「リスク管理分野でのSASの経験は、適切なビジネスの定義と、解釈のルールを確立するのに不可欠でした」と Barnes氏は述べている。SASは、時間の制約がある中で、ソリューションを構築するためにSAS Rapid Warehousing Methodologyを用いた。中核となるソリューションは2003年7月には導入され、8月から9月を、現地およびヨーロッパの規制当局の高い水準に適合させるための微調整に費やすことができた。

投資の多面的な回収

IIBはすでに今回の投資を回収し始めている。「新BIS規制の3年ルールに適合することにより、モーゲージ・ローン勘定に対するリスクキャピタルのレベルを引き下げることができる内部格付手法に適合することができました。SASを選択したことが正しかったわけで、まもなく投資も回収できる見込みです」とBarnes氏は述べている。

次の課題は、金利の変化、為替の変動、住宅不況、失業等の外部要因に対するこのモデルのストレステストを実施することである。現在のところ、規制当局はまだどのようなテストが必要かということについては規定していないが、IIBでは2004年初頭にもストレステストを実施する予定である。
「どのようなテストが義務付けられたとしても、SASならば対応できるという安心感があります。われわれ自身も必要な専門知識を身につけることができました」と Barnes 氏は語っている。

IIBがデータ・ウェアハウスに蓄積している情報は、もちろん、他のリスク、およびリスク管理以外の目的にも再利用できる。IIBは、オペレーショナル・リスクのソリューションと顧客維持のためのソリューションの導入を計画中である。
「われわれがSASを選んだ理由は、投資がいろいろな形で戻ってくるからです」と Barnes氏は結んでいる。

課題

住宅ローンの内部リスク管理を有効に実施する

ソリューション

SAS Risk Management for Banking により、新BIS規制への準拠、リスク管理の最適化、さらに競争力のある金融賞品の開発を実現

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