バンク・オブ・アメリカ、SAS® を活用して信用リスクのスコアリングや予測を高速化

ポートフォリオの信用リスクをモデル化することは今日の銀行業の基本となる機能である。クレジットライン、住宅ローン、クレジットカードなどのローン商品は銀行に高いリスクを課すものであり、特に経済の動乱期にはそれらが大規模なリスク発生源となる。債務不履行(デフォルト)は貸手と借手を困難な状況に陥れ、双方に多大な影響を与える。銀行は定期的に信用リスク管理プロセスを用いて、信用ポートフォリオを監視・評価し、各種の推定値を計算し、任意の時点の資産価値とそのリスク・ポジションを把握している。今日の複雑で絶え間なく変化する金融制度のもとでは、処理能力が高く過酷な使用にも耐え、正確な結果を生み出す信用リスク管理プロセスこそが、貸出機関のエクスポージャー(損失の危険)の緩和において極めて重要な役割を果たす。

バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)は世界最大級の金融機関であり、個人顧客、小規模・中規模の証券会社、および大企業に対して、バンキング、投資、資産管理、その他の金融・リスク管理関連の商品やサービスを幅広く提供している。

SASを導入していなかったとしたら、処理時間が長引き、リスクヘッジの意思決定が遅れ、最終的に当行は市場についていけなくなるでしょう。

ラッセル・コンドリッチ氏
Corporate Investment Group上席副社長

およそ5,900万の一般顧客・小規模事業者と取引関係があり、支店数6,000、ATM18,000台以上を擁する同行は、世界有数の資産管理会社でもあり、幅広い資産クラスにわたって企業および投資家向けにバンキングとトレーディングのサービスを提供する世界的なリーディング・カンパ二ーでもある。

企業投資部門であるCorporate Investments Group(以下、CIG)はバンク・オブ・アメリカの売却可能証券ポートフォリオを管理し、950万件の住宅ローンについて債務不履行確率(PD: probability of default)のモデル化および計算業務を担当している。さらに、同部門は市場価値、繰上返済速度、および金利変動リスク感度を計算し、これらのリスクを190億ドルのモーゲージ・サービシング権という形の資産としてヘッジしている。最近、CIGはバンク・オブ・アメリカのクレジットカード・ポートフォリオに関する貸倒損失を予測する業務への支援を開始した。

求められるスピード

CIGは信用リスクのモデル化のためにSAS®のアナリティクス・ソリューションを長年使用してきたが、クレジットカードの貸倒損失予測が担当業務に加わったことで、モデル化と計算のプロセスを実行する社内シェアード・サービス環境の利用を再検討せざるを得なくなった。これを導入すれば、処理時間が短縮し、非定型分析のアクセス性と可用性が向上すると同時に、同行の事業の基幹系業務が強化され、事業継続性を確保することも可能になる。

「私たちは、目の前のビジネス課題を解決するだけでなく、将来のビジネス要件にも柔軟に対応できるソリューションを求めていたのです」とCIGの上席副社長ラッセル・コンドリッチ(Russell Condrich)氏は言う。「大規模なテラバイト級のデータセットを短時間で手際よく処理することが重要な要件でしたが、SASはそれを完璧に実現してくれました。SASを導入していなかったとしたら、処理時間が長引き、ヘッジの意思決定が遅れ、最終的に当行は市場についていけなくなるでしょう」

SAS®とIBMで優れた成果を達成

パフォーマンス要件を満たすためにCIGが行ったのは、処理環境を専用プラットフォームに移行することだった。このプラットフォームはSAS® Enterprise Risk Management(SAS® Grid Computing環境で稼働)、SAS® Scalable Performance Data Server(総コア数112のIBM BladeCenter®グリッド上で稼働)、およびIBMのXIV® Storage Systemで構成される。この取り組みは既にかなりの成果を上げており、例えば同行における債務不履行確率(PD)計算速度は96時間から1時間にまで短縮された。また、非定型ジョブの処理時間も90パーセント短縮され、CIGによると、以前の環境の3倍のスピードに達しているという。

このプラットフォームは8系統のSOR(Systems Of Record)からデータを取り出して処理するが、その規模はレコード数で数億件、ソースデータ容量では30テラバイトに及び、SAS環境とIBMのXIVストレージ環境との間のI/Oスループットは毎秒3.9ギガバイトに達する。現在は約30名のユーザーがこの環境を自在に利用できているという。以前のシェアード・サービス環境ではユーザータイムの競合が生じ、ジョブ数が増えると応答時間が急激に低下していたのとは対照的だ。

「卓越した」パフォーマンス

「今の環境なら、ユーザーに堅牢なプラットフォームを提供できます。所要時間や計算要件にもとづいてジョブのスケジューリングを行うことにより、非定型の利用が定期的な業務と競合しなくなりました」と、CIGのマネージング・ディレクターであるステファン・ラング(Stephen Lange)氏は言う。「この先進的なグリッド・プラットフォームは、卓越したパフォーマンスを発揮します。大規模なデータセットを独自の方法で扱うSASは、私たちに欠かせない存在です。」

一例として、ラング氏は次のように説明する。「当行では一連のモデルを使用して、400,000件のローンからなるポートフォリオのスコアリングを行う必要があります。しかも、この計算を複数のシナリオで住宅ローンの360ヶ月にわたって実行しなければなりません。以前はこのプロセスに3時間かかっていましたが、現在はグリッドの並列処理能力のおかげで、わずか10分で完了します。1つのジョブの処理時間が3時間から10分に短縮するのですから、全体で見れば、情報提供と意思決定の能力が格段に向上することは明らかです」

「当行では損失予測を可能な限り正確かつ迅速に行うことを強く希望しており、その範囲は上級経営層にまで及びます」とラング氏は言う。「それを実現するには、十分なITリソースを投入してローンをスコアリングし、的確なリスク評価を行うしかありません。SAS、IBM、および当行の技術部門のパートナーシップによって実現したプラットフォームは、私たちがリスク管理の分野で主導的な立場にあることを示すものです」

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課題

企業投資部門であるCorporate Investments Groupでは、信用リスクのモデル化、スコアリング、および損失予測の処理時間を短縮し、非定型分析を実行できる時間枠を拡大する必要があった。また、事業継続性を確保し、基幹系業務の「稼動時間」を保証することも求められていた。

ソリューション

(総スコア112のIBM Bland Center®グリッド上)
IBMのXIV®Storage System

利点

このソリューションにより、同銀行グループにおけるローン債務不履行確率の計算速度は96時間から1時間にまで短縮され、400,000件のローンのスコアリング計算は3時間から10分に短縮された。また、あらゆるプロジェクトの処理時間が90パーセント短縮され、これは以前の3倍の速度に相当する。これにより、債務不履行に関連した意思決定をタイムリーに行い、損失を最小化し、融資ポートフォリオの新たな成長機会を追求できるようになった。

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