イオンクレジットサービス株式会社

次世代のターゲットマーケティングシステムを実現し、顧客サービス価値を最大化

医療機関・公共料金等の現金決済市場の開拓や、ICカード・電子マネーによるキャッシュレス化の浸透などによって市場規模が拡大し続けているクレジットカード業界。しかしながら、その一方で大規模な再編の波も押し寄せており、市場シェアの獲得競争は日々激化している。こうした状況下、イオンクレジットサービス株式会社(以下イオンクレジットサービス)では、日本およびアジアの国々で生活に密着したさまざまな金融サービスを提供することで、業界No.1 の高い生産性と成長力を実現してきた。

そしていま、日本最大規模の流通グループであるイオングループの金融サービス企業としてさらなる顧客満足を達成していくために、全社規模でのシステム再編に取り組んでいる。SASの提供するBI(ビジネス・インテリジェンス)プラットフォームとBIソリューションは、その一角をなすターゲットマーケティングシステムに採用。革新的な顧客中心型マーケティングの実現によって、国内1,300万を超えるカード会員の理解を深め、より高付加価値なサービスを提供し、イオングループおよび加盟店のビジネス成功をサポートしていく。


顧客満足を高めていくために、全社規模でのシステム再編に着手

ジャスコやマックスバリュをはじめとするイオングループの各店舗で利用可能な各種カードを発行し、流通系クレジットカード会社として1,300万人の会員数を誇るイオンクレジットサービス。
通常他社のクレジットカード会社で0.5%還元を行なっているところ、同社では、最高で利用金額の2.5%(5倍ポイント)を提供するサービスや、年間利用金額が100万円以上の会員を対象にした年会費無料のイオンゴールドカード、また急速な勢いで会員数が増えていく年会費無料のETCカードなど、業界に先駆けたさまざまなクレジットサービスを提供してきた。これにより、他社を圧倒する評価・実績を達成しているのである。

「しかしながら、カードのメリットや便利さをお客様にもっと享受していただくためには、まだまだ改善の余地があります。たとえば、ポイント5倍デーや年会費無料といったサービスが、すべてのお客様に理解されているわけではありません。現在、ジャスコなどの各店舗、またご利用明細書などのチャネルを通して我々が提供しているサービスをお客様にお知らせしていますが、これをさらに適切かつタイムリーに行なうために、システムの再編に乗りだしたのです」(取締役 情報システム本部長 清永崇司氏)。

顧客理解を深め、より価値のあるサービスや機能を開発していくには、システムをどのように作り上げていかなければならないのか。また、自社の仕組みに欠けているものは何なのか。こうした根幹部分から全社規模でのシステム再編に取り組んだプロジェクト。それが2002年からスタートした第3次システムの開発なのである。

「マーケティングシステム、コンタクトセンター、勘定系システムという3極を同時に強化していくことをめざしています。そして今回、より進化したターゲットマーケティングを実践していくために、SASのBIプラットフォームとBIソリューションを採用したのです」(清永氏)。

マーケティングシステムに、購買商品の単品情報を取り込む

イオンクレジットサービスのめざす新しいターゲットマーケティングシステムには、3つの大きな特徴がある。
まず、

  1. カード会員の属性や購買履歴、キャンペーン参加情報といった従来のデータに加えて、加盟店が保有する「お買い上げ商品の単品情報」を一元的に管理、分析できる環境を実現したこと
  2. そこから得られる分析結果を加盟店のユーザーが自由に活用できるようにしたこと
  3. そうした営業促進活動をサポートしつつ、個人情報を保護するための高度なセキュリティ対策を取っていること

である。

これらのすべてを実現することで、安全で柔軟性に富んだ真の情報活用環境が構築できたのである。

「これまでは、会員の属性情報と、いつ、どこの店でいくらご利用になったのかという簡単な情報しかわかりませんでした。しかも、クレジットカードの会員属性情報は、本人からの申請がなければ入会時のままです。一般的には、入会後5年も経てば趣味や趣向、さらには家族構成も変わることがありますが、そうしたお客様の本当の姿が見えてきませんでした。しかし、新しいシステムによって、何を購入されたのかという単品情報まで管理できます。たとえば、ランドセルを若い夫婦が購入されたという情報によって、そのお客様にお子様がいることがわかります。年配の方が購入されたらお孫さんがいらっしゃるかもしれないということになりますし、色やブランドによっても性別や趣向がわかってくるでしょう。これらの情報をすべて紐づけた、より精度の高いプロファイルを作り、お客様のライフステージやライフスタイルを把握することで、本当に喜んでいただける適切なご案内ができるような仕組みを実現したいと考えています」(情報システム本部 システム企画室 室長 桜庭博文氏)。

加盟店が利用できる自由な情報活用環境を実現

イオングループや加盟店が求めるニーズにいかに応えていくのか。これが2つ目の大きな柱であった。「これまではクレジット会社側が分析を行ない、その結果を加盟店にお渡ししていました。しかし、ビジネスの現場にいらっしゃる方のほうが、お客様を包括的に見ているはずであり、知識もあるはずです。ですからより優れた企画やサービスを開発するために、加盟店がユーザーとして自由に必要な情報をご利用いただける環境を作りたいと考えたのです。SASによる新しいシステムでは、ユーザビリティが大きく向上していますので、統計解析の知識がなくても高度な分析を行なえるため、ユーザーの裾野を広げていると確信しています。また、特別なソフトウェアを導入することなく、通常のインターネット環境で利用できるので、離れた場所にいるユーザーにも使いやすい環境を実現できたと思います。新しい仕組みを駆使して、ユーザーの皆様と一緒に、これまでにはない、いろいろな情報の使い方を模索していきたいと思っています」(桜庭氏)。

セキュリティ対策と情報活用の両立にチャレンジ

こうした環境を構築する際、一番大きな課題になったのが個人情報保護というセキュリティの問題であった。新しいシステムでは、データウェアハウスを OLTP、OLAP、フロントエンドという三層構造で構築。また、加盟店が利用する情報活用系の部分は、個人情報が特定できない形式とするなど、さまざまなセキュリティ対策を施している。

「お客様の情報をお守りするということは最優先課題です。しかしながらセキュリティだけにフォーカスしていくと、マーケティングシステムとしてさまざまな制約を受けてしまうのも事実です。個人情報にできるだけ触れないというのは、確かに情報の保護対策にはなりますが、それは業務範囲を限定していくことであり、営業面から見るとマイナスとなってしまうのです。ですから私たちは、加盟店の皆様に安心して情報を活用していただける環境をめざすため、『個人情報の保護』と『営業活動』という、相互に矛盾したものを両立させることに非常に苦心しました」(清永氏)。

マーケティングプロセスを統合し、多彩なプロモーションを素早く展開

ターゲットマーケティングを成功に導くには、お客様が本当に必要とする情報をタイムリーに提供していく必要がある。たとえば、ETCカードをすでに持っているお客様に、ETCカードの新規提案を行なっても意味がない。また、DMを制作する際には、お客様が求めている情報を包含することはもちろん、その情報が確実に伝わる形で掲載されているかにまで気を配らなければならない。さらにお客様の行動の変化に迅速に対応していく必要がある。

キャンペーンの結果分析に時間がかかってしまうと、それを活かそうとする頃にはすでに旬や季節が過ぎてしまう。だからこそ、ターゲットマーケティングを行なうためのすべてのプロセスを素早く、また戦略立案から顧客ターゲティング、施策の実行管理、またその評価とフィードバックまで、統合的に行なっていくことが求められた。それらを可能にする新しいシステム構築の中で、SASは基盤となるSASのBIプラットフォームとして、またターゲットマーケティングを行なっていくためのBIソリューションとして、データの収集、分析、活用という一連のサイクルをサポートするために導入されたのである。

「これまで請求書に同封する封入物のコントロールは、2,000パターン程度を作るのが限界でした。今回、SASと請求書の封入システムを連携させ、かつ個別にオンデマンド印刷できる仕組みを構築し、数万通りの封入パターンを容易に作れるようになりました。また、今後SASによって、日々生成されるお客様の行動情報を新たなマーケティング活動に採り入れ、プロモーションを行なっていくというプロセスを自動化していこうと考えています。この結果、1ヵ月という短い期間の中で、お客様の行動変化に合わせて柔軟にプロモーション展開できるようになってきました。理論的にはこれまでの何百倍もの種類のプロモーションが可能になりますので、お客様が本当に望まれている適切な情報をタイムリーにお届けしていけるのではと考えているのです」(清永氏)。

変化に即応できる国内最大級のデータウェアハウス

新しいシステムには、すべて最新のテクノロジーが採用されている。SASについても、最新のBIプラットフォームである「SAS®9 Intelligence Platform」と、その上でシームレスに稼働できる先進のBIソリューションである「SAS® Marketing Automation」が導入されている。こうした最新、最先端のテクノロジーやソリューションを活用することで、会員情報や単品情報をすべて一元管理した、156テラバイトの国内最大級のマーケティングシステムが実現した。今まで個々の店舗で管理されていた情報を、横串を通すように見ることができるようになったのである。
また、SASのOLAP機能によって、明細レベルのデータまでドリルダウンして分析し、次回のキャンペーンに反映することが可能になっている。

「これまでにない大規模なデータウェアハウスを構築するにあたって、その構造から考え直しました。小売業は変化が非常に激しい世界ですので、新しい情報が次々と生成されます。そのため、リレーショナルデータベースのようなOLTP部分と、情報活用のためのOLAP部分がきっちり分けられていないと、そうした変化についていけません。使いたいと思っても、情報がアウトプットされてくるのが半年後になってしまってはビジネスチャンスを逸してしまいます。新しく構築したシステムでは、状況の変化やお客様の変化に合わせてデータの見方を変えようとした時、根本から作り直さなくても、すぐに対応できるよう構造を刷新しました。こうした提案をいただけたのがSASだけだったのです」(桜庭氏)。

BIのデファクト・スタンダード、SAS

今回のシステム開発では、ROIはあえて重要視しなかった。最善の結果を得るために、考えられる最高かつ最適な仕組みを実現したかったからである。

「中途半端なツールは入れたくないと考えていました。そこで、世界各国で豊富な実績を持ち、BIのデファクト・スタンダードであるSASを選んだのです」(桜庭氏)。

一般消費財の場合、通常は価格の低い商品が選択されることが多い。しかし、システム構築などのプロフェッショナルなスキルが求められている場合、価格の低さよりも、最終的に高い満足が得られるかどうかが重要な決め手となってくる。「たとえば、少し安かったからという理由で服を買っても、結局は着ない場合が多いのではないでしょうか。これはビジネスにおいても同じことであるといえます。初期投資額に関わらず、ユーザーの皆様に満足して活用していただけるシステムを実現できれば、投資の回収にそれほど多くの時間がかかるとは思えません。BIプラットフォームとBIソリューションを一括して提供できる SASは、まさにそうした理想の環境を実現してくれたのです」(清永氏)。

新サービスの開発とコアビジネスの強化をめざして

今後は、テストマーケティングを含めて、さまざまな新しいチャレンジを展開していく予定である。

「たとえば、食品の購買情報を見て、冷凍食品を購入された方がいたら、お弁当を作っているのではないかと予想できます。また、食品の購入量によって家族構成も推察できますし、夕方にお惣菜を購入される方は共働きなのではないかといったことも考えられます。もちろんこれらは想像の域を出ませんが、何を、いつ、どれだけ買うのかといったことがわかれば、さまざまな仮説が立てられますので、テストマーケティングをたくさん展開し、いろいろな検証をしていきたいと考えているのです」(桜庭氏)。

また、同社ではSASをターゲットマーケティングだけでなく、お客様の満足を得るためのあらゆる用途に使用していく予定である。

「クレジットカード会社としてコアビジネスである初期与信や途上与信といった分野にもSASを活用していきます。より適切な与信管理を行なっていくことは、お客様により多くのお買い物の機会を提供することにつながっていくでしょう。すべてはお客様の満足と加盟店の成功のためにあるのです」(清永氏)。

新商品/新サービスの開発、拡充とコアビジネスの強化。イオンクレジットサービスでは、この2つを軸に、お客様へのサービス価値を最大化することをめざしているのである。


ターゲットマーケティングシステムの全体像とSAS
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AEON CREDIT SERVICE
桜庭博文氏 / 清永崇司氏 情報システム本部 システム企画室 室長 / 取締役 情報システム本部長

課題

新しい商品やサービスを開発し、イオングループおよび加盟店の成功をサポートする次世代のターゲットマーケティングシステムの実現

ソリューション

お客様のライフステージや、趣味・嗜好といったライフスタイル像の把握。ニーズに合わせた多彩なプロモーションを、短いサイクルで自動的に展開するマーケティング・オートメーションの実現

製品

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