HSBC

世界をリードする金融サービス機関を支える、SASの不正検知システム

HSBCは不正取引や急速に変化する詐欺の脅威から派生する損失をグローバルレベルで削減することを目指し、リアルタイムの不正検知と、グローバルなネットワーク全体にわたる継続的な不正管理のための基盤システムとしてSAS Fraud Managementを導入した。このソリューションは、米国をはじめ欧州、アジアで稼動しており、すべてのクレジットカード取引をリアルタイムで監視している。HSBCは、こうした取り組みをクレジットカード以外の事業部門や他の販売チャネルにも拡大していくことを検討している。

例えば、高性能・高画質のフラット画面テレビを購入するために4,500ドル(約45万円)のクレジットカード取引を行いたい、というリクエストが入ってきたと仮定してみよう。ここで銀行は不正取引の可能性を考慮しつつも、わずか1秒程度でそのリクエストを承認するか否かという、まるで賭けのような決断を迫られることになる。もし正当な取引にもかかわらず承認を拒否してしまったら、顧客を怒らせるばかりか、取り扱い手数料も手にすることができず、顧客離れを招くリスクすら考えなければならなくなる。

しかし逆に、不正な取引を承認してしまえば、銀行が大事な顧客を犯罪の被害者とすることになり、結果として4,500ドル(約45万円)もの損失を被ることになる。詐欺犯罪のレベルは世界規模で高まりを見せ、それに伴って銀行はさらに厳しい法規制への対応を迫られることとなり、詐欺被害によって社会的評価を傷つけられる危険にもさらされている。不正行為を未然に防ぎ、ほんの一瞬の決断を正しく行う能力が、これまで以上に大事になってくるのだ。

およそ2兆5000億ドル(約250兆円)の資産を有するHSBCホールディングス plcは世界最大の銀行であり、トップクラスの金融機関の1つである。世界86の国と地域に1万ものオフィスを展開し、1億人を超える顧客にサービスを提供している。当然ながらペイメント・カード(クレジットカードやデビットカード、ギフトカードなど支払機能の付いたカード全般)やオンライン取引に伴う不正行為、さらには顧客による詐欺行為に至るまで、ありとあらゆる形態の不正と闘ってきた歴史があり、こうした闘いは今やHSBCの最優先課題となっている。

HSBCのグローバル・セキュリティおよび不正リスク部門でグループ全体の不正リスク監視に関する責任者を務めるDerek Wylde氏によると、HSBCは不正行為に対抗するための広範な方針を定めており、その方針はエンタープライズ全体に適用されているという。HSBCは既存顧客との取引の大部分を維持し続けており、同行は顧客自身が多様なサービスにアクセスするという必要性と安全のバランスとを上手に取りながら、顧客を不正行為から十分に守ってきたと胸を張ることができるだろう。「不正行為に起因する損失は事業経費として直接業績に影響を及ぼします。」とWylde氏は説明する。

「ですから、これはHSBCにとって極めて重大な関心事です。他の多くの金融機関と同様、私たちも不正防止のための方針を適用し、業務の分離を進めて二重に監視機能が働くような体制を整備するとともに、異常を検出するためのデータ追跡機能の強化に努めてきました。HSBCの不正防止戦略が他の金融機関と異なる点は、日々処理する数百万件にも及ぶトランザクションのすべてを、テクノロジーを使って監視し、スコアリングすることを義務づけているということでしょう。SAS Fraud Managementは、こうした私たちの取り組みを支える基盤となっています。」


SASは使命感をもってHSBCが引き続き最新の不正検知システムを維持できるようサポートしてくれています。われわれもシステムの導入効果に大変満足しています。

Derek Wylde氏
グローバル・セキュリティおよび不正リスク部門 グループ不正リスク監視責任者

開発パートナー

さらにWylde氏は「HSBC内のさまざまな組織がSASと長年にわたる付き合いを続けてきました。不正管理システム構築のパートナー選びに際しては、グローバルな事業展開や分析力の高さ、われわれとの協力体制といった条件が挙げられましたが、SASを選んだのは正解だったと思います。SAS Fraud Managementはお仕着せの画一的な製品ではないので、プロジェクトの初期から、この製品を気に入っていました。自ら要件定義に関われたことは素晴しい経験でしたし、ソリューションがどのような解決策を示すのか興味深く見守ってきました」と続ける。

2007年6月、米国内の最初の導入拠点でSASのシステムが本稼動を迎えた。「米国のオペレーションは最大で、カード契約者の数は約3,000万人にも上ります」とWylde氏は説明する。「当然トランザクション量は膨大になり、時に急上昇することもあります。それでもスコアリング作業は滞ることなくリアルタイムで実行されています。実際SASを利用するようになってシステムが停止することは、ほとんどありませんでした。SASは安定性が高く、処理スピードが速いのですが、これは非常に重要なことです。」

「われわれはSAS導入によって、できるだけ早期に最大限の効果を出すことを目指しましたが、米国での導入はまさに期待どおりの結果となりました。引き続き数々の拠点へ広くシステム展開を行いました。英国ではSASを利用してデビットカードおよびクレジットカードの両方の取引を監視し、アジアでも既に8カ国がSASを導入しています。システム展開が進むに連れ、社内の人材だけでほとんどの作業が可能となりましたが、SASは常にわれわれの傍らに待機して必要なサポートを提供してくれました。2~3年以内に、残りのペイメント・カード拠点でもSASを導入し、不正防止対策を推進していく予定です。」

「SASの不正検知モデルには大変満足しています」とWylde氏は続ける。「特に、デビットカードのATMトランザクションに関する不正検出率は、極めて良好な数値を示しています。われわれは今現在、市場に出回っている中で最も優れた不正防止モデルを利用していると確信しており、当行における不正発生件数が、それを立証しています。私たちは非常に厳しい目標値を掲げていますが、不正検出率においても誤判定の件数においても、SASは常にその目標をクリアしています。」

詐欺犯罪者の一歩先を読む

金融詐欺では次々と新手の手口が登場してくるので、不正検知モデルの寿命はそれほど長くはない。銀行側が不正の抜け道を1つふさぐと、詐欺犯罪者らは新たな弱点を見つけ出そうと次の手段を考え出してくる。そのため、不正監視のためのアルゴリズムも、スコアリング・モデルも常に修正を余儀なくされるのだ。

「不正との闘いには、こうした側面があるので、不正検知システムのパフォーマンスを常にチェックすることが重要です。SASを利用したHSBCのシステムは、不正防止のパフォーマンスに関する最新の情報を豊富に提供してくれるので、変化する詐欺の脅威との闘いにおいても、必要な調整を図ることができます。また、世界各国でそれぞれの国の実情に合ったモデルも必要とされます。SASを使って開発・展開したモデルは、進化を繰り返す詐欺の脅威を検出するのに有効であり、われわれはこの結果に非常に満足しています。SASを利用することによって、これまで利用してきたどのシステムよりもはるかに効率的に個々の不正取引を検知することができるようになりました」とWylde氏は語った。

他チャネルへのシステム展開

HSBCでは次なる取り組みとして、ペイメント・カード以外のチャネルにもSASを利用したトランザクション監視システムを拡大し、個々の顧客を中心とした不正監視の仕組みを構築しようとしている。オンラインによる支払処理やデビットカード取引、クレジットカード取引をそれぞれ独立したチームが別々に監視するよりも、HSBC ではSASを利用して全データを包括的にモニターすることを考えている。

Wylde氏は「別々に見ると、一見不正だとは分からないような詐欺の可能性も存在します。しかし、すべてのデータを集約することによって、より迅速に不正を見つけることができると考えています。例えば、ある顧客がデビットカードを利用した直後にクレジットカードが使用され、インターネット・バンキングにも何らかの動きがあったとしたら、3つの別々のシステムで、3つのトランザクションをそれぞれに分析していたのでは不正の可能性を見破ることはできません。ですから、すべてのトランザクションは顧客のアクティビティ検出を行うシステムを活用して総合的に監視すべきなのです」と説明する。

HSBC Hong Kongは、統合型の新たなSASシステムを最初に導入する拠点となる。このシステムは顧客のカード利用以外のトランザクションをすべてチェックして、あらゆる形態の支払トランザクションを、単一のデータベースを利用した1つのソリューションに送り込む。未だに大多数の銀行では、それぞれ独立したシステムがクレジットカード、デビットカード、手形、オンライン取引、電話による決済、従業員の行動などをモニターしているが、Wylde氏によれば、仮に組織全体が共通のソリューションを利用して個々の事業部門を監視していたとしても、相互の連携が図られていなければ組織的な詐欺集団による不正行為を見破ることは困難だという。「また、3つの組織から問い合せが入るより、1度のコンタクトで済ませる方が、よりよいカスタマー・エクスペリエンス(顧客経験)を提供できるのではないでしょうか。」

さらにWylde氏は、SASは理想的なパートナーとして目覚しい成果をもたらすとともに今後の目標を達成するために尽力してくれたと評している。「私たちは、従来のシステムでは達成することのできなかった予想以上の成果と、目覚ましい進歩を目の当たりにしました」とWylde氏は語る。「SASは使命感をもってHSBCが引き続き最新の不正検知システムを維持できるようサポートしてくれています。われわれもシステムの導入効果に大変満足していますし、IT担当者も、業務担当者も、そして経理担当者も全員がSASのシステムを評価しています。不正分析を導入するメリットは絶大だと言われていますが、それは正にわれわれがSASの導入によって経験したことでした。」

Credit Card Image

課題

不正行為の発生を防ぎ、経費削減と顧客の信頼を高める

ソリューション

SAS Fraud Framework for Bankingのコンポーネントの1つであるSAS Fraud Managementは、販売時点で、日々数百万件に上るトランザクションをリアルタイムでスコアリング、承認、拒否し、金融不正の防止、検知、管理を促進する。

利点

HSBCは、数千万件にも上るデビットカードおよびクレジットカード取引において不正発生を大幅に抑えることに成功し、厳しい検知目標をも上回る目覚しい成果を収めた。

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